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127話

あのままあそこにいたら圧力で仕方なく相手の要求を飲むことにしていたかも知れない。

ルーレットも……あ。


「桃萌っ。ルーレット回収」

「あ、やば……取ってきます」


桃萌は何事も無くルーレットを取ってきた。

返して貰えて良かった。


……でもあんな風に防ぐなんて流石にビックリした。


「…………ちなみに出目は?」

「日本一周っす。……水戸黄門の格好で」

「ぷっ。何ソレ? 何の会話?」

「……………………秘密です」


と言っても後でバレるだろうな。

だって出かけちゃうし。


まぁそんな話は後回しだ。何なら彼女にも廻して貰うし。

多分私たちよりは少し年上のギャル。


一体何の用事だろう?


「……っと、此処で良いか」


ジュースの自販機が幾つか置いてありベンチも付いている休憩するには丁度良い場所。


「…………何飲む?」


勝手に買ってねと桃萌と二人、ギャルのお姉さんにお金を渡された。


うーん、コーヒーにしよ。


小さめの缶だけど大っきめの顔が描いてあるコーヒーにした。

親父が良く買ってる奴。


「…………さてと、ああ先ずは自己紹介かな。私は瑞姫。ウチの若い者がゴメンね。そんなに悪い奴らじゃ無いんだけどさ、でも商売柄仕方ない所もあるのよね」


「…………はぁ」


「キミたちあそこの高校だよね? 私ソコの卒業生なのよ。まぁでも社会に出てお金を稼ぐって結構大変でさー。多分先週2人ぐらいお店の子逃げ……止めちゃったからさ。彼等もシノギを守るために必死だったのよ。怖い思いさせてゴメンね! …………でも、気のせいかも知れないけど、そんなに怖そうにして無かったね、キミたち」


「…………そうですか。まぁ最近結構トラブルに巻き込まれる事が多いんで少しは……慣れました」

「デスよねー先輩。何ならボコってたし!」

「…………へぇー。キミたち強いんだ?」

「まぁ程々には」


「ふーん。あ、そうそう、私もリフレのお店みたいなのしていてさ、これでも店長なのよ。何かの縁だしウチで働かない?」


ギャル風の瑞姫さんがそんな風に私たちをスカウトしだした。

リフレねぇ……。


「仕事内容はね、手を握ってお喋りするぐらいだよ。まぁ接客業かな……」

「思いっきり怪しいじゃ無いですか!」

「あはは、面白そー」


「ウチのお店は手を握ってお話する。オプションに膝枕とか、耳かきとかあわあわで手を洗ってあげるとかだよ」


「……ホントに手だけですか?」

「あ、ソコは本当だよって、いやいや全て本当だから!」

「あはは、何処が嘘なのよ」


桃萌はギャルの話にツボってる。

うーん。バイトかぁ……。


「体験だけでも良いからさ。あぁ二人に名刺渡しておくから……少しでも気になったら連絡頂戴よ! よろしくね、あ、そろそろお店行かないと。連絡待ってるねー」


…………瑞姫さんは行ってしまった。

名刺には『ぴっくポップメーカー』店長瑞姫と書いてあった。


「先輩、あのギャル店長、面白そうですよ。ウチの卒業生みたいだし」

「…………そうだなぁ。ま、今日は帰ろうぜ……」


桃萌と今日の出来事を話しながら家に帰った。

今日は変なのに巻き込まれたなぁ……。


次の日、学校の裏庭で休んでいると……お、いたいたと昨日のギャル、瑞姫さんがいた。


「ホントに此処の卒業生だったんですね、瑞姫さん」

「あ、ギャル店長だ。おはよっす」

「ういういおはよお。嘘は言わないさね。此処で良くサボったもんあたしも」

「昨日の今日で何か御用ですか?」


「……いやいやウチの政が昨日突然日本一周してくるって出ちゃったんだけど…………何か……知ってるよね?」


「………………」

「ぶっ…………」

「……ダウトっしょ。昨日キミたちそんなこと話してたしー」

「桃萌え…………」


「いや先輩、だって水戸の者ですよ? そんなん笑うっしょ?」

「そうそう。印籠と台詞付きだったし……」

「門出に立ち会いたかったっす! あははははは」

「でさ、一体何したん? うちの政にさぁ」

「…………秘密っす!」



「えー。良いじゃない。教えなさいよー。あ、そだ、私にもやってみてよ! それなら良いでしょ?」

「面倒だな。桃萌……解らせて」

「…………ういっす」



ギャル店長の瑞姫さんは何これ何これルーレット? と桃萌に「まわすっす」と言われて廻している。


「何が出るかなぁーわくわくわくわく」


瑞姫さんは楽しそうだがどうかしらね。

世界一周とか出たら結構な感じだけど…………。


「………………んん?」

「どうした? 桃萌って…………」


「えーと、なになに? 『可愛い店員を2人バイトで雇うことが出来る』…………だって。あ、じゃあキミたちウチで働こうよ」


はぁ? え…………そんな事もあるのかよう。聞いてないぞ?


「おい桃萌? どうなってんだ?」

「あははっ。知らないっす。……こんなの初めてですね! 先輩」


意外な展開に桃萌は運命ですよと楽しそうだ。

働くのかよう…………えー。

マジか――――あれ、何か急に働かないとイケナイ気がしてきた。




「「よろしくおねがいします。店長」」


うーん。まぁ良いか。

お金にもなるし、少し早めの社会経験か。


という事で『ぴっくポップメーカー』という瑞姫さんが店長のお店で明日から働くことになった。

流石に不味いと思い、桃萌とルーレットの検証をしたら、その時々のシュチュエーションで出目が変わる事と、変わらない事があったけど理由は良く解らなかった。


「せめて廻す前に確かめないとギャンブルになるぞ? コレ……」

「あっは。私はギャンブルー好きですよ! 先輩。楽しいじゃないですか!」

「まあそうかもだけどなー」

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