118話
木々から地面へ落ちた黒死鳥は他の黒死鳥が様子を伺うように観察され、タイミングを見計らって嘴でつつかれていた。
本当に嫌な光景だ。
「この世界にある万物の源より紡ぎしマナにより、その力を我に示せ。ファイア」
私は遠目から魔法による攻撃を続けた。
木に止まっている黒死鳥は様々な向きで休んでいて上下左右、中には斜めに身体を向けている個体もいる。
観察もしながら一殺ずつ魔法による攻撃で倒していく。
何匹ぐらいだろう。倒した数が多分30匹を越えた辺りから動きが変わった。
飛んでいる黒死鳥が増えたこと。
一本の木に数匹が固まって口喧嘩も無く休んでいたり。
何かを探すような動きをしている黒死鳥もいた。
流石に警戒されたというかそれ以上な感じだった。
しかし私も殲滅しなければという戦い。
何か良い手は無いかなぁ。
と考えながらもはぐれている黒死鳥をファイアで倒してゆく。
そして50匹。約半分ほど倒した辺りで気が付かれた。
私のハイドが見破られ黒死鳥に認識されてしまった。
それ以降は遠目からのファイアの魔法は当たらなくなった。
尚且つまだ良く解っていない変な攻撃をしてくる黒死鳥。
甘ったるい臭いと共に風を受けるとダメージを受けた。
この攻撃、未だに防ぎ方が解らなかったが、大きそうな岩の後ろへ逃げたらダメージを受けなくなった。
しかしその後で回り込まれてからは駄目だった。
しかも私の攻撃は当たらなくなった。
私は次の手を考えながら再びゆっくりと死んだ。あはははは。
その後も時間を空けてから行ってみたんだけど私は完全に認識されていてその後は同じ攻撃を受けた。
今日は終わりにしよう。
精神大事。
壁の中の家へ、ついだけど楽な方法で死んで帰るとイトウさんに「そういう使い方は関心せんが、今時なのかのぅ……」と言われた。私はちょっぴり壊れかけていたんだ。
そっか、普通は死んだら終わりなんだ。
少し命が希薄になっている自分に今更気が付いた。
すぐに後悔する事も知らずに……。
途中までは悪くない。
順調に倒せていた気がする。
でも何か、これで良いのかしらという思いはあった。
もしかしたら攻略方法が全然……的を射ていない様な、そんな不安もあったと思う。
とりあえず何度死んでもコンティニュー出来るんだ。
このまま行こうと今の方法を続行した。
精神を削りながら。
死ぬまでの過程と死の瞬間の感覚に少しずつ囚われなくなっていく私。
確かに徐々に数は減らせてはいたんだけど、もう何回此処で死んだんだろうというぐらい自分の見えない屍を量産していた。
そんな時にふと気が付いた。
祭壇に置いてあるというか、文字的にはお供えされている私の左腕。その人差し指の部分に靄がかかり削れて無くなっている様に見えた。
ちょっとした違和感。
あれ……あんな風だったっけという第六感。
あ…………コレ、この感覚。
スキル第六感が発動した……と思う。
直ぐにイトウさんに人差し指の話をすると「ほぉ。良く気が付いたの、そうじゃよ? 命に代えてるのじゃ、代償は払わないとな」
そう当たり前の事を話している摂理だよという感じで話しているイトウさん。
いやいや無い無い聞いてもいない。とか思ったけど確か、ダンジョンに取り込まれるとかいう話しは聞いた気がする。
でもでもそんなという都合の良い私。
ソレを聞いてから当たり前なんだけどもう私は死ねなくなった。
そんな代償も払いたくない。
腕一本…………無くなったときにどうなるのかとか消えていく過程でどうなるのかなんてもう怖くて聞けなかった。
「死ななければ…………良いんだ」
単純な私はそういう答えに辿り着いた。
しかし…………あの黒死鳥。どうやって殲滅させようか。
うーん…………。
ダメ元でイトウさんに聞いてみると「うーむ。そうじゃのう……お主が此処から地上に出られたら儂の願いを叶えてくれるというのなら良いぞ」
という交換条件を求められた。言葉に詰まりそうになったケド条件次第かなとかも思った。
腕一本依代にしている私は懲りていなかった。
でもイトウさんからの交換条件はそんなに悪い話しでは無く、此処を出たら学校に行って協力して欲しいという話し。
その代わり、此処での情報やコツは教えてくれるという私にとってはとてもいい話だった。
どうせ学校へは行く予定だったし、乗りかかった船に荷物を載せる様なもんだよ、うん。
得した気分でラッキだよ。
もう死にたくないし。
そんなウハウハな私は早速、黒死鳥の話を聞く事にした。
すると近づいて倒す。ソレだけなんじゃがのうと言われた。
きっとお主はモタモタしすぎなのじゃと…………。
トロ子ちゃんなさらお。確かに私は少しトロい所も有るケド……いいの。個性だし。
治らないし。だから良いのだ。
でもそうか、頑張れば良いのだというある意味変な根性論的な発想に辿り着く私はスポ根もののテレビやアニメとかも結構すき。
たまに見たくなるんだよ。何故か。
よし、死なないように瞬殺していく。明日はコレで行こう!




