115話
再び法則に従い扉の前へ来たら、扉は先程開けたまんまになっていて近づいたら祭壇の前に居た。
「………………え?」
ま、また死んだの? 私。
意味が解らなくなりイトウさんに聞いてみた。
教えていとーさん。
「……仕方ないの。今日だけじゃゾ」
「……お願いします」
「マッドドラゴンの尻の鱗を削りすぎると肉の部分が出てくるんじゃが、そこから何て言うかの……簡単に言うと『臭い』で死んでおるんじゃお主は」
「に…………臭い」
つまりは人間が耐えられないらしいその臭いは無臭に近く、臭いの耐性を持たない者がその空気に当てられると一瞬で死ぬらしい。
なにそれこわわ。
イトウさんは私の死因を教えてくれた。
尻の鱗を削りすぎるとその臭いが強くなると。
2時間後には消えているからと教えてくれた。
臭いで死ぬとか現実味が無いのが怖いね。
一瞬過ぎて脳が理解出来ていないのかしら。
無臭だからタチが悪いとか以前に多分一瞬だから猛毒過ぎるという感じなのかな。
2時間後に行くと特に何事も無く削って地面に落ちていた鱗の粉を採取出来た。
「コレは知っていれば簡単だね」
次はラージドラゴンの爪。
これも削らないといけない。そいで粉を集める。
『便利な場所』と私が名付けた場所まで再び。
ここの道はやけに整備されているんだよね。
私が知っているダンジョンって壁はデコボコの石だったり砂混じりとか土なんだけどここだけは雰囲気が違うんだよね。
見た目はレンガを積み上げたような道というか壁が整っている。
次は右回り2回に左回り1回。
進むと大きい空間に出た。
そして眠っているっぽいラージドラゴン。
大きさというか身長は多分私の10倍はありそ。大っきいなぁ……。
クルッて丸まる様に寝ている。爪は見えるけど、目と鼻の先に手があるので、まぁそういうコトだ。
ソロリソロリと近づくけどラージドラゴンの鼻息で充分に飛ばされそうになる私。
もう数歩という所で手が動いて私を潰した。ペシャンと。
「……………………」
ただいま状態の私。
今回の意味は解る。普通におててで潰された。ペシャンと。
鼻息を我慢して進んでいたら急に手が動いていた。
何も出来ずに潰されるなんて。
私はハエ以下だった。
今回の人生。臭いで死んでから始まって叩かれて死んで終わった。短いじんせーだった。
そして次の人生の始まり。次こそは足掻くよ。
再び祭壇から『便利な場所』を経由してラージドラゴンがいる場所へと向かった。
コイツは大きい癖に手は早いんだ。
あ……そっか、爪は足にもあるし。
というコトであんよの爪に狙いを変えてみた。
今回のは爪を削らないといけない。
要するに爪の粉が必要らしい。
手の部分。前足は近づくまでが大変。
そう思っていたんだけど後ろ足の方も厳しかった。
後ろ足付近の皮膚に触ると尻尾が飛んでくるんだ。
凄い勢いで……潰されて理解した。
前足の方が未だマシかな。
イトウさんも前足だったし。
イトウさんはひょいひょいって感じで採取はしていたから多分いまの私には参考にならない。
同じ動きが出来るとも思わないし。
でもコツは必ずあるんだ。考えながら試していこう。
先ず、前のお手々は顔の近くにある。そこへ行くルートは主に2つ。
身体側から前へ進み後ろから爪へと辿り着くパターンと顔の正面からそのまま近づくパターン。
さっきは正面から鼻息に抵抗して前へとじわりじわりと進んでいく最中に手がいきなり動きペシャンと。
今度は後ろから行こう。
ラージドラゴンの後ろ身体側から沿うように前へと進む。
背中の鱗? はカッチカチ。
何食べたら、こんなんなるんだとか少し頭に浮かぶ。
天然の盾だね。
身体は呼吸毎に微量の動きはあるが基本寝ているっぽい。
やっと前足のお手々に辿り着くケドここも中々の風、鼻息が当たる。ドラゴンの鼻息はそんなに良い匂いでは無かった。
頑丈な銅の剣を取り出して爪の手入れをするように削ってみた。
おおっ。これならイケそうだと思ってたらもう片方の手が飛んできてペシャツと潰された。
「うーん…………難しいなぁ」
あれで良さそうなんだけど、何かが駄目なんだよね。
何だろうなぁ。うーん。
あ、今日だけって言ってたし。イトウさんに聞いてみよう。
「イトウさん、ラージドラゴンの爪は何か攻撃されない工夫とかあるんですか?」
「…………そうじゃの。そこまで出来るなら何回か試せば気が付くとは思うがの……まぁ今日だけは良いか。――――――――呼吸じゃ、吐くタイミングのみ削ってみなされ」
「そ、そんなので良いのですか?」
「そうじゃのう……今日はもう遅いから、また明日…マッドドラゴンの尻の鱗から始めるとええ」
なるほどね。そういうタイミングとかもあるんだ。
でも順番はあるみたい。そっかそっか。




