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112話

「先ずはお主の実力を見ようかの」

「……お手柔らかに、よろしくおねがいします」



もう一度お手柔らかにと言ってみたけど「それは無理」と言われた。


「此処は始まりのダンジョンの最深部で地下200階。つまりはこれ以上深いダンジョンは存在しないんじゃよ?」


色々なモンスターがいるけど、どれも倒すとなると一苦労らしくそうは倒せないと。

倒せなくても経験値にはなるだろうから、頑張れと。


イトウさんと見えない壁の入り口から出て、ダンジョンを歩く。

先ずは此処、地下200階の法則を教えられた。


「ここはそんなに広くは無いのだが、とある法則で進まないと何処へも行けない仕組みになっておる」

「法則…………」


「うむ。順序よく進めば次に進めるとか、道が開けるとか、つまり順序、法則を覚えれば、何処に居ても此処へ帰って来られる」


イトウさんに聞いた法則によると、数字とか記号、アルファベット等の文字を組み込んだものらしく、その順番を教えて貰った。


「で次にこう進むと、此処へ出る」

「…………壁じゃ無いですか? ここって……」


「いやいや、これは壁じゃ無くてマッドドラゴンの尻の部分じゃ」


「……………………またまたー。そんな訳」


扉を塞いでいる壁をペタペタと触ってみた。……あれ、何かってほ、本当に生き物だ、コレ。


…………ドラゴンのお尻が扉を塞いでいるの???

とても堅くて…………柔らかい気もする不思議な感触。


「お主の剣、それで攻撃して、鱗を削れば良い。日に200グラム迄じゃぞ」

「…………それ、それ以上削ったらどうなります?」


「……今度試してみるがええ、運が良ければ死なないから」

「……………………そうですか」


「次はラージドラゴンの爪にスフィンクスの髭じゃ、それが終わったら、ヘルジャイアントの産毛で最後に…………」


「ちょ――――ちょっとちょっと、ソレってどの敵もとんでもなく強くないですか?」


「ん……そりゃーの。でも運が良ければ死なないから大丈夫じゃよ?」

「いやいや、ワタシ運が悪くて、何回も死んで此処へ来たのですが……しかも、もう死ねないかと」


「ほお、そうなのか?」

「だから、先程話した通り、ブレスレットが命の代わりをしてくれたみたいで……」

「それは聞いたの。まぁだから、それの代わりを作ろうではないか――――」

「……………………ほへ?」


イトウさん曰く、代わりを作るから今日の夕食後に気持ちの用意だけしてきてくれと…………。

でも気持ちの用意って何よ。


ううーん。


…………あ、覚悟って事かしら。


もう今更な状態だよ。

私の気持ちも覚悟も使い切ったよ。


煮るなり焼くなりが近いよね。


結局、今日はその後のノルマ。

ラージドラゴンの爪とかその他、色々を今日だけじゃぞと言って取り方を教えて貰った。


「……………………イトウさん。多分ですけど、命が幾つあっても足りないと思います」


「そうかえ? まあ大丈夫じゃろ。ここへ来られるぐらいじゃ、お前さんに資格はあるよ」


イトウさんは無傷で今日のノルマを完遂した。

ソレを見ていて思った。この人…………何か、色々な事の達人だと。



様々な採取を行い、拠点である壁の中の住まいへとイトウさんに付いていき戻って来た。


うん。道、道順は……なんとかなりそうだけど、あのとんでもない怪物達の採取はどうしたものか……。


どの敵でも倒せたらエンディングの歌が流れそうな、どれもそんな敵だった。


そりゃ、倒してこいとかじゃ無いケド、無いけどねぇ。

ご飯は30分後だから、風呂でも行ってこいと言われた。

その言葉に私の気分は上がった。お風呂大好き。わーいわーい。


あ、でもこの前、お風呂も案内されたんだけど何にも見えなかったんだった。


ソレをイトウさんに伝えると「あー。そうかそうか、今日はコレで我慢せい」と言ってお風呂場で良く見えない所にお湯が貯まっている。


「使い終わったら、此処を押せ」と言われてその場所を見ておいた。

まぁ、そんなに贅沢は言わないけど微妙に不便だった。



そしてお風呂に入りながらこう思った。

いま私、外から見たらどう見えるんだろうと…………。


今いる所は外から見ると単にお湯が浮いているだけ。だから、そのまんまだよね。


その浮いているお湯に浮いている私と……。


もうイリュージョンというか、恥ずかしいも何もという感じ。


要所要所は土が見えるんだけど、この家。

見えない所が多すぎるんだよね。


でもそんなでもお風呂は気持ちが良かった。

まあ今日も生きてる!


うん。まあなんてことでしょう! 今日も生きてるよう!

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