106話
※残酷な描写あり
もうすぐ、もうすぐなんだっ! 足がガクガクしてきたピコピコな私。
まだぴこぴこしてるよね?
もう流石に到着するまで後ろは振り向けない。
そんな余裕無いし。
ああもう少し、後30メートル。
一歩、一歩と歩くたんびに足に力が入ってしまうよ。
空気が暑くて深呼吸も出来ないし、実際気にしないようにしてるんだけど、下はマグマしか見えないんだ。
平均台の下はマグマ。落ちたらとろける。
はぁ。もう少し、もう少しなんだと力を振り絞って進む私。
コレをやり遂げたらもう怖い物無くなるかも。
スーパーガールさらおになれるうよう。
略してスパさらか、がるさら。
んん、微妙だよう。後20メートル。もう泣きたい。
でももう少しなんだようと考えて今更気が付いた。
…………私、いま裸なんだと。
現実を知った。
気が付いては行けない事に気が付いてしまった。
到着しても座ることも出来ない。この崖の道。とても暑いと思う。
あんよにはジルさんの掛けてくれた冷気の魔法で結構な感じで暑さ熱の耐性が今は付いている。
しかし、それ以外の部位。腕も身体もおしりも暑いんだ。
つまり私はしゃがむことは出来ても座ることが出来ない…………。
あの先端で祈りを立ったまま捧げる。
それで…………アレ? 戻るのどうしようか? サマーさんは何か言ってたっけ? あれれ?
な、何かが起きるよね。もう遅い。もう今更過ぎる。助けてくれるよね。
うん。迎えに来るとか言っていたよね?
確か………………先へ進もう。あと少しだ。
もう目の前。崖の先端には小さな箱の様な祭壇みたいなものがちんまりとある。
そこで祈れば良いんだ。あと10歩ぐらい。ふうふう。
つ、ついた。到着したけど早く祈らないと。
もう精神的、体力的にも限界が近いよ。
えええと、なんだっけ。うーんと、みんなに捧げるだったっけ。よし終わらせよう。
今まで生きてきて感じたことから始まり、このゲームを始めて。
彼等に出会った時とか、色々な経験をしたこと、導いてくれていると感じていること、守ってくれていること、冗談でなごませてくれたこと、様々な思いを感じながら、わたしはこう――――――唱えた。
最後の力で私は思いきり息を吸い――――――――『みんなに捧げる』
その瞬間。時間が止まった――――――――――――――――――。
そして、大きい揺れ、地震が始まり、ゴゴゴゴゴという音と共に何かが起きている。
私は残念ながら立ってらんない。
熱さが凄い事になっている地面へとしゃがみ込んだ――――――――――ジュッ。
「うあああああああああああああああ――――――――」
暑い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い。
どうしよう。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱いさっ、サマーさん。
お尻が熱いよ焼けてるよう。
しゃがみ込んだ私が振り返ると遠くにサマーさん達、メンバーがみんなこっちを見ている。
唯、見ているだけ。
大声で助けてと叫ぶ私。
声はッ届いているのだろうか? 解らない。
泣きながらみんなをじっとみる私。
でも何もしてくれない人達。な、何で? 何で?
サマーさんの手には私のペンダントが握られている。『白龍王の胆石』が確かに見えた。
エクスパンドさんにジャッジさんとジルさんも此方をただ見ている。
皆表情が、感情が感じ取れない。
ただ私のお肉が焼けている臭いがする。
酷い、嫌だ、誰か助けて、早く!
そしてサマーさんが後ろを向きみんなと共に去って行く。
あ、そういうことなんだって遅いケドそんな所で気が付いた。
もうどうしよもない。帰れない。熱い。何も出来ない。
助けて…………くれる人はだれも此処にはいない。
絶望という言葉が浮かぶ。
下はマグマしか見えない。揺れがすごい。もう崩れそうだよ此処。
私は彼等に騙されたんだ。
崖が崩れて落ちてゆく私。
いや、何で私なんかを?
理由は? そんなの必要なの?
あんな凄い人達が私なんかを理由も無しにこんな事――――――――――。
あれ、あのペンダント? が理由?
あの時……………………。
「…………駄目ね」
「うん、駄目だね、どうするなっちゃん?」
「んー。そっちは…………まぁ良いか。わからないけど」
「……ごめんなさい。呪われているのかも……」
「…………そうなの?」
「いや、解らないですケド……」
「まぁ――――良しとしましょう。いや、試しましょうか……ソフィー」
そっちはまぁ良いか――――――――。
そうか、そうなんだ。彼等の目的は『白龍王の胆石』。
ジャッジさんの言葉……。
「もしも…………正しくない行いがあり、しかし、方法がそれしかない時。お前ならどうする?」
「え、ええと…………それだけじゃ判断つきませんよう」
「……それもそうだな。……じゃあお前には何か、目的はあるのか?」
「そりゃ、ありますよ。人並みには……」
「……人並みか?」
「――――いや、嘘です。人並みでは無いかもですね」
「ほぅ。――――じゃあその目的を達成するためにという前提での先程の話はどうだ?」
「そうですね……私が手を汚すだけで済む問題ならば、その手段を選ぶと思います」
「そうか。悪いな。俺の求めていた回答に限りなく近いぜ……因みにお前の目的は何だ? 大ざっぱでも良いから話してくれないか?」
そっちは…………まぁ良いか。わからないけど。
そんな言葉が頭に浮かび私はマグマの中へと落ちてとろっと溶けた。




