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管理者権限で異世界チートをBANします  作者: キリトリセン
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第01話 プロローグ・前編

 未曾有(みぞう)の病の流行により、外出が制限された現代。

 大学もオンライン授業となり、友人とも中々会えない現状。

 そんな状況の中、楽しみと言えば———。


「そっちに敵行ったぞ」

『了解、こっち来れる?』

『今行ってる。ちょっと耐えて』

「俺はこっちから敵牽制してる」


 レジェンズナイト。

 1年ほど前からリリースされたFPSだ。リリース当初から高校時代の友人たちと始め、今では上位1パーセントのランク帯で日夜激しい闘いを繰り広げている。自身の実力やチームの連携の成長が実感でき、中々の神ゲーであるが、一つ問題点があった。

 それは、


『うわ、やられた……これチーターだわ』

「まじかよ……、とりあえず逃げ、……やられたわ、ごめん」


 チーターの存在だ。

 ランク帯が上がるにつれ、遭遇する回数は段々と上がり、今では二、三試合に一人は必ずいる。運営側も対策をしているようだが、いたちごっこにしかならず、チーター問題は中々解決しない。それどころかチーター側のチートの性能が上がり、とてもじゃないが人の力で勝つことはよっぽどのことが無い限り不可能だ。

 この結果、プレイ人口が減り、余計にチーターが目立つ現状になってしまっている。


『あーあ、ガン萎えだわ。さっきから何回連続だよ』

『いや、ほんとそれな。チーターさえいなければ最高なのにな』

「俺が運営側だったら一人残らずBANするのにさぁ」

『今日どうする? もうこの時間帯はチーターしかいねえし』

『今日はもう辞めとくか。また明日しようぜ』

「了解です。お疲れ様」


 昨日と同じような会話をし、パーティーチャットから退出する。


「あーあ、まじで何とかならねえかなぁ……」


 チートのせいで環境が破壊されてしまい、ゲームの評価も駄々落ちだ。好きなゲームであり、友人たちと楽しめる貴重なゲームであるだけに残念でならない。どうにか解決して欲しいが、一介のプレイヤーである俺がどうにか思ったところで無駄だ。

 ベッドに倒れ込むように転がり、部屋の電気を消す。ゲームにイライラしてしまっては元も子もない。こういう日はさっさと寝るに限る。


「まじでチーターさっさと撲滅して欲しいわ」


 そう小さくぼやいた瞬間———。


『そう思いますよね』


 頭の中から直接少女の声が聞こえる。


「な、何だいきなり。……ストレス抱えすぎて頭がバグってんのかなぁ」

『幻聴ではないですよ、篠崎雄二さん』

「えっ、どうして俺の名前を?」

『簡単な話です、私は神様ですからね』

「神……様……?」


 もしかしたら今俺は夢を見ているのかもしれない。


『夢ではないです、現実です。それよりも先ほどのあなたの意見、大変同意してます。よければ少しでいいので私の話を聞いてくれませんか?』

「話を? まぁ聞くだけなら全然いいけど」


 よく分からないが、今のイライラしている気持ちを抱えているより、幻聴でも誰かの話を聞いた方がいいだろう。


「本当ですか! では早速こちらへ案内しますね」


 少女の弾んだ声が頭に響いた瞬間、辺り一面の様子ががらりと変わる。


「な、何なんだ一体……」


 とりあえず立ち上がり、辺りを見回す。大理石の床に豪華な装飾が施された壁、前方にはレッドカーペットが敷かれた階段が見上げるほどの高さまで続いている。


「ここを上がっていけばいいのだろうか?」


 よく分からないまま、階段を上がっていく。


「はぁはぁ、ぜぇぜぇ……」


 あまり外出していない身体には随分堪える段数を上がっていった先に大きな扉が見えてきた。


「ここか?」


 扉を押すように開くと、青々とした草原が広がっていた。


「ようこそ、神の庭へ。篠崎雄二さん」


 声のする方へ顔を向けると、そこには一人の少女が立っていた。ふわふわとした金髪は足首に届くほど長く、女性らしさを強調した豊かな胸、そして何より整いすぎた容貌。体の線が分かるほど密着したドレスを着ているにも関わず、情欲に駆られる前に神々しさすら感じてしまう佇まい。

 一目見て、常人ではないと理解できた。


「おっと、自己紹介をしていなかったですね。私はフィリア。とある世界で創造神をやらせてもらっているものです」

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