別のアプローチ VS 無限回復
~翌日~
欠伸をしながら起き上がり、大きく伸びをする。
ホムラは仰向けにスースーと。
フレアは横向きにグーグーと寝てる。
ホムラは涎が出てるのが面白い。
タオルで優しく拭ってやると、黒い炎を吐かれた。
……。
黒焦げになる俺。
後でアユムに貸してもらった本の情報だと、ブレイジャーは寝てる時に触ったりすると寝ながらでも火で攻撃してくるらしい。
早い段階で調べとけば良かったと、その時の事をちょっと後悔した。
朝食を食べ終え、今日から本格的にトレーニングを行う。
何せ時間があまり無い。
でもその前に、俺は再びエイリスの元を訪れ、コルスで疑問に思った事を伝える。
「本人も転移をしやがってる……。 確かにそれが本当でやがれば、見つからない理由も分かりやがる」
「ええ。それに、ドラコリッチなんてモンスターを転移させられる魔法使いもそんなに多くないと思うんです。それで絞り込めれば」
「パッと思いつきやがるのはモーヴ・オルビットとじじいでやがるわね」
じじいって言うのはMr.ヴォルセブの事だろう。
「モーヴ・オルビットって言うのは?」
「ゲーニィ・テンスの1人でやがるわ。空中移動と転移を得意とする移動の専門家でやがる」
「2人だけ、ですか……」
「じじいはああ見えてちゃんとやりやがってるし、オルビットは戦闘力は殆んど無いでやがる。それに、テンス内でそんな事をしやがる馬の骨がいやがるなんて考えられないでやがるわね」
「何か過去にそう言う人がいた、とかは?」
「とりあえず、頭の片隅にとどめといてあげるわ。結論を出しやがるのはまだ早い」
「分かりました」
部屋を出る。
……確かにあんな奴らを転移させるなんて、ゲーニィ・テンスがまず疑われるだろう。
ギルド長クラスの裏切り行為。
まさかMr.ヴォルセブが?
いやいや!
とりあえず気持ちを切り替え、決勝トーナメントのためのトレーニングだ!
ランニング、シャドー、模擬戦。
俺の様子をホムラとフレアがジーッと見てる。
「モンスターを仲間にするたぁ、やるなノーザン」
「いや、サナル。単に懐かれちゃって」
「おめぇは肝心なところで律儀っつーか優しいからな」
そんな軽口を叩きながら、向かい合う。
「首は狙わせないぜ」
「ええ。デュエロス・パートル中に考えた事、試させて貰います」
「ほぉ……」
エイリスが手をあげる。
「始めやがりなさい!」
「そいつぁ楽しみだぜ!」
両手足にサンダーを纏いながら、サナルの薙刀を右に避けながらの左ストレートをサナルの顎に。
「ぐっ!」
距離を取るサナル。
みるみる傷が治ってく。
「前より速く重くなってるじゃねーか……」
今度は俺から距離を詰める。
横方向の切り払いを、柄の部分を俺は左手で受け止めながらの右ミドルキック。
左肘で防がれるも、左の三日月蹴りをサナルの腹に埋め込む。
素早く距離を取り、薙刀の刃先をギリギリでかわす。
サナルは薙刀を短く構え、突きのラッシュ。
前とは比べ物にならないくらい速くなったおかげで余裕でかわせる。
最小限の動きで左に避け、今度は右のボディをフック気味に決め、左ハイキック。
サナルがぐらついたところにジャブでラッシュをかける。
「ぐっ!」
これは倒すんじゃなくて当てるのが目的。
だからガードをさせたい。
サナルは予想通り薙刀でガードしてくるけど、持ち手の部分まではガードできない。
ガードの隙間を狙って右のアッパーからの左ストレート、更に下がるフェイントから左ハイキック。
距離を取って様子を見る。
サナルは右まぶたの上辺りを切っていた。
「……何でだ?」
……良し。
治ってない。
サナルは目を閉じ、笑う。
「なるほどな。一時的にマヒさせたってわけか」
両手を上げるサナル。
「俺の負けだ。強くなってるな。ノーザン」
「ありがとうございます」
サナルと握手をする。
良し。
「これだとお嬢様くらいしか相手できる奴がいないな」
「ボコられまくりましたんで(;^ω^)」
「でも、諦めねえ。だろ?」
ニカっと笑うサナル。
かっこ良すぎるおじさんだ。




