マイルVSルサルカV
「さぁ歴史に残る文字通り死闘となっております! お互いにばてている状況! どうなるこの死闘!」
「マイル立て!」
「ルサルカー!」
観客の声が2人の試合をまだ見たいと言ってるように聞こえた。
全身が震えてるのが分かる。
明らかに決闘は終盤に差し掛かってる。
でも俺だってこの決闘をもっと見たい。
辛うじて立ち上がるマイル。
拍手した。
拍手は渦になり、木霊する。
でも互いに体力も魔力も尽きてる。
この状況でどう戦う……?
~ルサルカの視点~
こんな切り札を持ってたなんて……。
水中でのアクアを撃ち過ぎた。
誰にも見せてないのにこれだけ対応してくるなんて……。
予想外だ。
フェルマーとの戦いで自分の弱さも強さも見つめ直したつもりだった。
それでもここまで苦しめられる相手がまだいた。
負けた時の悔しさはその日に嚙み締めた。
負けたくない。
思いはそれだけ。
相手を倒す。
その為にルサルカは立ち上がったマイルに向かって前進した。
ゆっくり。
ゆっくりと。
ルサルカの方が若干だけど余裕があるみたいだ。
マイルはその場から動けず、下を向いてる。
マイル……。
いつの間にか立ち上がり、食い入るように見る。
立ち上がらないと負ける。
マイルの近くまで来て見下ろすルサルカ。
拳を振り下ろす。
マイルが顔を上げ、ルサルカにアッパーを放つ。
「なっ……!」
打ち下ろしのストレートと振り上げたアッパーが同時にお互いの顎に埋まる。
お互いに両足を揃えて倒れる。
観客が静まり返る。
「な、なーんと両者共倒れだ! マイル選手は最後に奇襲を狙っていた恰好! こーれはどちらが立ち上がるかー!?」
「ダーウン! 1! 2!」
「マイル! 立て! 立てたら勝てる!」
「3! 4! 5! 6!」
起き上がろうと立ち上がるマイルとルサルカ。
だけど、意識が朦朧としてるんだろう。
立ち上がろうとした途中で再び倒れこむ。
体力の限界なのもあるけど。
2人とも貰う事を想定してなかったんだろう。
「7! 8! 9! 10!」
「あーっと2人とも立ち上がれなーい! ダブルノックアウトにより勝者無しとなったー!」
……。
拍手を送る。
凄い戦いだった。
勝者が決まらなかった。
決闘では盛り上がら無さそうだけど、この拍手の量。
2人の決闘に心打たれた証拠だ。
お互いが全てを賭けた決闘。
魔法班による回復が終わり、マイルとルサルカが立ち上がる。
「うああああああ!」
泣き崩れるルサルカ。
「これ、引き分けですよね? その場合どうなるんですか?」
「5勝した人数が8名に届かない場合、追加で選ばれる場合はあります」
「まだ脱落が決まりやがった訳でやがらないわ」
まだ望みはある……。
勝ち切れなかった事が悔しいんだろう。
マイルは泣き崩れるルサルカの元にしゃがみ、肩に手を乗せる。
「強かったです。ありがとうございました」
「うう……ぐすん……」
ルサルカは顔を上げる事が出来ずにいた。
「さーこの結果は今後の決闘にどう響くか!? 合成魔法によって空いてしまった天井から夕陽が差し込む何とも幻想的な風景! 今日の決闘はここまでとなりそうです!」
そんなに長い時間戦ってたのか……。
「更にたった今運営サイドから連絡がありました! 屋根の修理も含め、次戦以降は3日後となります! 申し訳ございませんがご理解のほど、よろしくお願い致します!」
観客の歓声の渦の中、最終戦の初日が終了した。




