マイルVSルサルカⅠⅠⅠ
ち、ちょっと待て!
ルサルカは既に上位魔法を唱えてる。
魔陣札に魔法を用意すれば良い。
って事は。
「上位魔法って2つ以上使えたんですか!?」
「……通常は1つでやがるわね。通常は」
「通常?」
「そんな事が出来るのは魔術師、マギア・ヴォルセブくらいって事です」
……ルサルカの覚悟って言葉。
それを思い出す。
そんな言葉を口にする人が切り札に魔法を取っとく訳がないだろう。
この間に新たに身に着けた上位魔法。
「魔法都市シェラの魔法使いであれば会得したものもいると思いますが」
「シェラ出身の魔法使い以外で、上位魔法を複数使える奴がいやがるなんて……」
マイル……。
勝ってよ!
心で祈った。
~マイルの視点~
アクアで超純水を不純物交じりにしてのサンダー、ファイアが何で効かない?
マイルは考えた。
けど、その余裕も与えられないくらいの水弾が襲い、空中に展開したアイスのフィールドが削られていく。
フィールドを張り直し、水弾の嵐を避ける。
あの魔法は何だ?
上位魔法である事は間違いない。
魔陣札をあれだけ使った相手が基本魔法を詠唱するなんて考えられない。
Mr.ヴォルセブはまれに複数の上位魔法を使える人物もいるとは言ってた。
とにかくこの魔法の正体を暴かない事には何もできない。
フィールドの取り合いで負けるわけにはいかな……。
三枝槍がアイスのフィールドを突き破り、自分の腹にめり込む。
「か……はっ!」
そんな……!
アイスのフィールドが砕け散る。
攻撃力が格段に上がった……?
マイルはルサルカの主戦場である水のフィールドに落ちていく。
「ルサルカ選手の特攻が決まったぁ! マイル選手に対するブラインド位置からこれは効いたかー!? 氷のフィールドは砕け決闘は水中の戦い! ルサルカ選手得意のフィールドにもつれ込んだぁ!」
「マイル!」
思わず叫んでしまう。
マイルから全く見えない位置からの攻撃。
でも、ルサルカからもマイルは見えないはず。
多分あれはマイルに当てるって言うよりは氷のフィールドを砕くための攻撃だろう。
ルサルカにとっては運良く。
マイルにとっては運悪く当たってしまった。
「そもそもあの合成魔法が効かない事がおかしいですね」
「……多分でやがるけど、物質の純度を保つ上位魔法でやがりそうね」
「でも、ルサルカ本人がアクア以外の魔法は使えないって……」
「だったら超純水の純度を保つための魔法でやがりそうね(# ゜Д゜)」
「何で切れてるんですかエイリス……」
「何れにせよ、水中で決着がつきそうですね。これは……」
~マイルの視点~
水に落ちる最中、氷のフィールドが砕けるのが見えた。
ルサルカの得意フィールドに飲み込まれるのはまずい。
水中に落ちる前にサンダーを全身に纏い、ルサルカの攻撃に備える。
最低でも三枝槍の攻撃は避けたい。
距離は20mくらいだろうか。
ここからならサンダーを纏った状態なら避ける事は出来るはず。
そう思った刹那。
腹に衝撃。
「ぐっ……!」
何かの攻撃を受け、口から気泡が漏れる。
でも、ルサルカは遠い距離にいるままだ。
何だ?
見えない攻撃が再びマイルを襲う。
連撃のようなものをこれ以上はくらえない。
ヒールを使い、素早く移動する。
サンダーを纏ってれば服が濡れないのは事前対策で実証してる。
にもかかわらず確かに攻撃は自分を捉えた。
常に動いて様子を見ようとしても、モーションの無い得体の知れない攻撃に回避する術もない。
アイスの柱を展開しようにも、かなりの手数で攻撃が来てる。
何の攻撃かを特定しない事には何も始まらない。
攻撃を受けながら考える。
水位が徐々に上がって行ってる。
水中で見辛いけど、サンダーを纏った状態のマイルが遠距離から攻撃を貰ってる。
……何の攻撃だ?
あるとしたら魔法。
でも、マーメイド化したらアクアしか唱えられ……。
攻撃の正体に気付く。




