マイルVSルサルカⅠ
~デュエロス・パートル最終戦当日~
俺は観客席にいる。
初戦の決闘カードを見る為だ。
この決闘カードだけは自分の目でも見ておきたかった。
「やってまいりました最終戦! 一時のお祭りも前半戦は今日が最後! その中でも注目のカードが1戦目から繰り広げられます!」
めっちゃ楽しみなカード。
「準備は良いんですか? フェルマー」
「ある程度アップはしたので大丈夫です。それよりこの決闘だけは見ておきたくて」
「賢明でやがるわね。アユムに頼りっぱなしはいずれ頭がおかしくなりやがるわ」
「どう言う意味ですかね(# ゜Д゜)」
「ご存じ最年少! 魔術師に惚れこまれた新鋭! 銃使いの強力な魔法アタッカーマイル! 対するは水中を自由に動き回る最強マーメイド! ルサルカ・ヴァダーの戦いだぁ!」
観客の最高潮の歓声の中、マイルとルサルカが入場してくる。
2人とも負けられない試合。
2人とも緊張感を持ったいい表情だ。
「どっちが勝ってもおかしくないですね」
「どっちとも戦ったフェルマーがそこまで言うんですね」
「間違いなくフィールドをルサルカは奪いに来やがるわね」
「それを如何にしてマイル君が止める。或いは水中で戦える作戦を用意しているか」
やっべー超おもしろそうやん!
「さーお互いに拳を合わせ、いよいよ運命の瞬間が近づいてまいりました!」
互いに10mほどの距離を取る。
「デューーーーーエロス!」
「エローーーース!」
開始と同時にアクアをマイルに放つルサルカ。
それに対しマイルもアクアで応戦。
同時にサンダー、ファイアを同時に放つ。
爆発による攻撃を狙ってるのか。
「マイルのアクアって多分超純水じゃないんですよね」
「サンダーで分解してのファイア……ああなるほど」
「ルサルカが放つ超純水と合わせて水の量は単純に2倍になりやがるわね」
「マイル君はそれを初手で計算して……」
俺と戦った時と比較にならないレベルの爆発が起こる。
勿論マイルはこの状況を想定してるだろうけど、ひとたまりも無いぞこれ……?
「おおーっと開幕から派手だー! マイル選手の合成魔法により全く見えなくなったぞー!」
その視界をかき消す大量の水。
ルサルカのアクアだろう。
マイルは巨大なアイスを展開し、アクアの侵入を防ぐ。
……すげーな。
モノマキアの天井にまで届く巨大なアイス。
これはルサルカも簡単にフィールドを水中には出来ない。
ピシッ。
思った矢先にマイルが展開したアイスにひびが入る。
「……っ!」
マイルは更なるアイスを展開。
「水圧で押し切るつもりですか? まさか」
「水圧は水量に比例しやがるわ。であれば有利なのはルサルカでやがるわね」
「いや、それでは終わらないかも知れません」
俺だったらマイルほどの魔力があれば……。
マイルは4魔法を同時に展開し、アルテマ(もう俺は勝手にそう呼んでる)を作り出す。
やっぱり。
自分が展開したアイスの壁ごと、ルサルカのアクアを吹き飛ばすつもりだ。
アイスの壁でブラインドになってるこの状況で。
「水の中のみ我生きゆ。全ては嵐神のみ許される誇り高き御行。我一時のみその御力授かり、全て薙ぎ払わん」
ルサルカの詠唱。
この状況で?
「マーカ・ヒーナ」
マイルのアルテマが氷の壁をぶち破る。
破られた瞬間、大量の紙が水と一緒に流れ出す。
「アイスの壁に魔陣札を忍ばせてたみたいですね」
「俺と戦った時もやられましたね(´・ω・`)」
「あれがフィールド展開のキーですね」
「ルサルカも負けてやがらないわね!」
魔陣札から大量のアクアが展開。同時に人魚化したルサルカがマイルの方へ猛スピードで向かう。
フィールド全体の半分が水で埋め尽くされようとしてる中、マイルはアイスを自分の足元に展開。
足場にして再びアルテマ。
なるほど。
絶対必中の攻撃範囲を持つあれを連発。
俺と戦った時より全然強くなってるな……。
ルサルカは距離を取り、アルテマの爆発による衝撃を水中で見事に緩和してる。
アルテマでアクアによる水のフィールドが離散するも、ルサルカは大量の魔陣札を展開。
同時にマイルの氷の柱に三枝槍を一閃。
氷の柱が砕かれる。
ルサルカはフィールドの半分を自分のフィールドにする戦法に切り替えてる。
これは多分……。
「三枝槍で攻撃できないデメリットを解消してきやがったわね」
「前回はフェルマーの出血でサンダーをもろにくらってしまいましたからね」
「ただ、超純水にし続けなければならないリスクは付きまといますから、そこをルサルカはどう克服しているのか」
「普通に凄い勝負ですよね」
素直にそう思う。
でも、2人のうち1人は予選で落ちる。
戦いとは言えど、悲しい。




