戦いの非情
~6戦目決闘カード発表当日~
決勝トーナメント進出が決まってるからいくらか気分は楽だ。
でも、油断しないで勿論勝ちに行く。
今までの決闘が全部死闘だったし、正直強い人と戦えるのは嬉しい。
「さー! やってまいりました予選最終日の決闘カード発表! 決勝トーナメント進出を決めた選手が既に4名! 残り4つの席を1敗の者が争う大混戦となっております!」
湧く会場。
「さー対戦カードまずこちらは全勝同士!進出を決めたもの同士で遠慮無くぶつかり合え! 観客を湧きあがらせる戦いで全勝を飾るキングオブレーン! ノーザン・フェルマー! 対するはこちらも全勝! 最強の自己主張! モイメ・レーグルの戦いだー!」
観客の大歓声が上がる。
全勝同士。
決勝トーナメントでも当たる可能性がある。
俺は手をあげて観客に応える。
どんな相手か楽しみだ。
どんどん決闘カードが発表されていく。
残った2人……あ。
「さて! 最後の決闘カードはこちらは一敗同士! レジェンド魔術師マギア・ヴォルセブにその才能を見込まれた新鋭! フェルマー選手とは同郷で死闘を繰り広げた同じく最年少! マイル! 対するはこちらは水使いの優勝候補! 初戦でフェルマー選手に負けましたがその後勝ちを重ねここまで来た! ルサルカ・ヴァダー! どちらかは今日敗退が決まりうる注目の一戦だー!」
手をあげて応えるルサルカとマイル。
あの2人が戦うのか……。
どっちも強かったこの2人がどう戦うのか。
ぶっちゃけこのカードはめっちゃ楽しみだ。
……でも1人が敗退するのは残念。
~その日の夜~
レーグルの決闘映像をアユムに見せて貰う。
レーグルの攻撃は多彩だった。
剣、投擲、槍。
決闘ごとに武器を変えてる。
そしてそれらが全て達人クラスの領域。
魔法も基本魔法だけだけど、機会があればどんどん使ってる。
正統派で強い。
でも、違和感はある。
毎回違う武器を使う意味ってあるのか?
万能……だけじゃない気がするな。
決闘前に自分に支援魔法を使う事は禁止されてない。
だから何かあるんだろうなって直感で思う。
「このレベルの相手に……攻略法が私には分かりません」
アユムからの感想は無し。
入場からの映像を思い出す。
ん?
……どの決闘でも相手に話しかけてるな。
会話の内容……は流石にアユムも聞こえないか。
何でわざわざ話しかけてるんだろう。
それと武器を毎回変える事に何か関係があるのか?
少なくとも完全に何かしらの魔法を使ってるのは確かだ。
決闘前の会話では、ちゃんと相手と会話してるように見えるから、その時に魔法を詠唱してる訳じゃない。
決闘中も詠唱らしき行動も無い。
肝心の魔法は決闘前に済ませてる可能性が高い。
って事は支援魔法の類かな?
決闘中の様子を再度見る。
槍を使った決闘に違和感を感じる。
相手はダラバ。
素手の相手に槍を使うのは理に適ってる。
でも、ダラバは槍の攻撃に対し、槍を取りに行ってるのに取れてない。
しかも一瞬透けなかったか?
投擲、剣を使った決闘も良く見てみる。
「……全部の攻撃、透ける瞬間がありますね」
「透ける瞬間?」
「それに、何故か決闘の相手と決闘前に会話してます。尚且つ毎回武器が違う。自分の武器を一時的に透明化……してるのかも」
「透明化と決闘前の会話に何の関係も無さそうですが」
「上位魔法は詠唱でしか具現化出来ない。それと何かしらの発動条件が必要ですよね。 ……会話なんて必要無いのにしてるんだとしたら。相手と会話する事が発動条件って事もあるのかなと」
「モンスター相手に全く使え無さそうな魔法ですね(;^ω^)」
「ち、知能が高いモンスターならきっと(;^ω^)」
「ただ、その場合武器を毎回変えているのは何故でしょう。素手相手にリーチの長い槍を使用するのは分かりますが、単に決闘相手との相性と見ても?」
「うーん……。 色んな武器を使い慣れてそうだから、多分相手によって作戦を変えれるのかなと」
「なるほど。そして自由自在に相手からのアクションをすり抜け、自分の攻撃を当てていく……ですか。自分だけが都合良く戦える自分ルールみたいなものでしょうかね」
……ふつーにヤバ過ぎん?
耳栓を使って相手の声を聞かなければ……って言っても普通に効く可能性があるし、こればっかりは確証が持てない。
「勝ちなさい。フェルマー」
アユムが力強い口調で言ってくる。
「ここで勝てば、決勝トーナメントでもかなり有利に上がって行けるはず。負けても良いなんて思わない事です」
「勿論、そんな事思ってません」
後は自分を信じなさい……って暗に言われてる気がして力が湧いて来た。




