孤児院長の理由
「とりあえずはここまでにしましょう」
ステラはレイピアを下ろす。
休憩中。
孤児院の院長をしてるステラ。
でもこの強さに疑問しか湧かない。
そもそもエイリスがステラの強さを分からないなんておかしい。
普段は頭がおかしいけど、人の能力を見る目はある(って言うのを俺が言うのがどうなんだろう)。
「俺が入れるなら、ステラもゲーニィ・テンスに入れるんじゃないですか?」
「え?」
「普通に決闘で戦ったどの相手よりも強いじゃないですか。だから孤児院で院長をしてるのが何でだろうなーと……」
「ああ……」
ステラは天井を見上げる。
あれ?
また何か踏んじゃった!?
……俺、空気読まな過ぎなのかもしかして(;^ω^)
「確かに何度か誘われた事はありましたね」
「やっぱり! 何でですか?」
「……私も孤児院出身なんです」
……。
色々察した。
「確かに世の秩序を守るためであればギルド長であるべきなのかもしれません。ですが親に見捨てられてしまった子供達の事を放っておくなんて到底できなかった。そんな子達を一人でも多く救えるのであれば私はそっちを選択する。それだけですよ」
「……俺がギルド長になる事、どう思いますか?」
転生する前も孤児院で育って来たから、ステラの思いを聞いて納得してる自分がいるし、挑戦してみたいって思う自分もいる。
ステラの覚悟が凄い。
「孤児院の事は私に任せて、可能性を試しなさい。フェルマー」
ステラはたまに見せる怖い笑顔じゃなく、優しい笑顔だった。
「孤児院出身でありながらその心持ち、人間として素晴らしいと思いますよ」
「そんな事無いですよ……ただ、俺は恩返しがしたいだけで……」
同じく孤児だったステラから言われると、何だか恥ずかしい気持ちになる。
「少し先になるとは思いますが、やり切ったと思ったら孤児院でやって貰えれば良いですよ」
「分かりました!」
「さて」
ステラは立ち上がる。
「お願いします!」
「ふふ。やる気十分ですね」
ステラはレイピアを構える。
「俺がもしトーナメントで優勝したら、本気のステラと戦わせて貰えませんか?」
俺はそう言った。
俺がギルド長になれるなら。
その証として本気のステラと戦って勝ちたい。
「……良いでしょう」
ステラはゆっくりと頷きながらそう言った。




