自分を信じたトレーニング
目、か?
もう1度思い出す。
やっぱり入場から相手をフロイヤは見てる。
「例えばなんですけど、相手の目を見る事で使える魔法ってありますか?」
「目?」
「例えば相手と目が合うだけで良いとか。アユムの魔法もそうですけど、魔法がかけられる相手が見えてないとかけられないとか」
「え?」
「いや、想像ですけど」
「……確かに相手が見えない状態でこの魔法を誰かにかけた事は無いですが、そんな使い方は基本的にしません。と言うか悪用したら犯罪者になりますね(#^ω^)」
「いや怒らないで! そんな事する人だなんて思ってませんから!」
可能性はそれが一番高そう。
あ、しかも!
目隠ししたトレーニングが活きそうだ!
この分析が正しいかは分からない。
でも多分当たってる前提で作戦を立てないと勝てなそう。
後は七支刀の対策か。
「ありがとうございます。アユム。作戦は大体固まりました」
「……いいえ」
後は自分を信じるだけだ!
頑張ろう!
~アユムの視点~
……自分の魔法。
相手が見えていないと使えない。
そんな当たり前の事、定義として考えた事も無かった。
フェルマーの分析力には驚かされるばかりだ。
自分の魔法、スタイル。
それもそうだが、何よりこの分析力が桁違いだ。
まずは相手を分析し、それを自分の手持ちでどう攻略するかを決め、トレーニングをする。
非情に理に適った行動で無駄が無い。
自分の事をもっと深く考える必要があるかもしれない。
そう思うアユムは、またしてもフェルマーについて考える事を忘れてしまっていたのだった。
~翌日~
目隠しをした状態で人形との模擬訓練をしながら、七支刀対策を考える。
フロイヤの対戦の様子を思い出す。
片手で軽々と扱ってるところから察するに、パワーが相当あるんだろう。
ただ、自分の魔法をかけた状態で戦って来るなら確実に攻撃は背後から来るだろう。
そこを、ボディに来る七支刀を避けながらの後ろ回し蹴りを当てる練習をする。
多分タックルで攻めるのはリスクがあるから(サナルと戦った場合は例外的にそうしないと勝てないからってだけで、リーチの長い武器相手にタックルは得策じゃない)、コンビネーション練習を重点的に。
万が一、ダメージを貰う事も考えてのヒールも準備。
魔法はサンダー1択。
仮に催眠がかかってしまっても、スピードで避けるリスクマネジメント。
前回の決闘で試したファイアを手に纏う。
火力とスピードで短期決戦に持ち込む作戦を重点的に。
人形を使ったブラインドトレーニングの後に、自分のスピードチェック。
通常状態で一瞬で詰められる距離。
短時間であんまり変わらないけど、こうやって自分でこまめに測った方がモチベーションになる。
その後、足の筋肉をつけるトレーニング。
現実世界にいた時、何かのテレビで35歳くらいまでは身体能力が上がってくって話を聞いた事がある気がする。
……異世界でそれが当てはまるかは知らないけど。
~マイルの視点~
はぁ……はぁ……。
マイルは地下の闘技場で、魔法の訓練をしていた。
倒れて息をあげているマイルを見ている中年の男がいる。
「マイル君。今日はここまでにしますか?」
「い、いいえ……少し休んだらお願いします……Mr.ヴォルセブ」
「宜しい。魔力がどんどん上がってきましたね」
彼の名前はマギア・ヴォルセブ。
魔法と言う概念を理論化したと言われる伝説の魔法使い。
いわゆる魔術師と言われる人物だ。
「フェルマー君と戦った事がかなりプラスに働いたようです」
「は、はい……。 フェルマーと戦えて嬉しかったです」
「彼は強いです。エイリスの人を見る目はこの世界でかなり凄い。でもマイル君。君も凄い」
ゆっくりと起き上がるマイルに、嬉しそうな笑顔を向けるヴォルセブ。
「魔力が限界であればあるほど使う。その後回復を行う事で、魔力は上がっていく。常に忘れないようにする事です」
「は、はい!」
マイルは呼吸を整え、合成魔法を瞬時に作り出す。
ヴォルセブは持ってるステッキを振り、巨大なファイアを作り出す。




