未知の魔法の考察
~4戦目の決闘カード発表日~
トーナメントに参加できるのは8人。
参加者20人のうち、トーナメント参加が出来ないのが既に9人いる。
11人中3人が落ちる。
でも6戦して5勝できる参加者どんだけいんのよって思ったけど、そうなるようにうまく決闘カードは組まれるらしい。
ただ、例外的にこの対戦は絶対に見たいってのがあれば別途オーディエンスシステムなるもので組まれるとかなんとか。
敗戦が決まってる人同士では組まれないシステムになってるのはある意味良いけど、負けた人間にとっては蟻地獄感半端ない。
それでもこうやって誰も欠けずに来るのは町への宣伝効果があるんだろうな。
「さあ! 4戦目の決闘カードの発表日! 全勝は現在8名! 1敗も3名! 11人で枠を争う格好になっている今回は前例の無い程のレベルの戦いになっています! さあ! 決闘カードの発表だー!」
観客が湧く。
誰が来ても勝つ。
エイリスに完敗してからモチベーションがやばい。
エイリスより強い人がいるかは分からないけど、当面の目標になった。
「さあ、お次は要望が多かった決闘カード! 全勝同士の対決! 最年少の姑息なブレーン・ファイターノーザン・フェルマー! そして全てを狂わせる狂気の闘士! フロイヤ・クリーガーの対戦だー!」
「あーっはっはっはっはー!」
奇声をあげてるフロイヤ。
そう言えば毎回うるっせー(# ゜Д゜)
って思う奇声あげてる奴がいたなぁと思い出す。
ってか姑息止めろや(# ゜Д゜)
全勝なのか普通に。
この1勝をあげれば、精神的にかなり優位に立てる。
他のカードの発表の合間に、横目でフロイヤを見る。
武器を確認するためだ。
背中に背負ってる武器が見える。
何だあれ……?
大剣?
7つに枝分かれしてる異様な形。
七支刀……ってやつなのか?
聞いた事しか無いけど。
あんな武器でどうやって戦うのか。
……アユムに戦いの様子を確認する必要があるとして。
基本的に大剣は日本であんまり使われてない。
刀みたいなスピードを意識した武器が多い。
だから簡単に外せそう。
そんな思い込みはエイリスとの戦いでゴミ箱に捨てた。
決闘カードの発表後、俺は即アユムと地下の闘技場に来た。
「……行きますよ」
アユムの表情がいつにも増して硬いのは気のせい?
「アユムどうしたんですか?」
「……はっきり言って強いです。全試合圧倒的に勝っています」
「……なるほど」
アユムが魔法を使う。
試合開始の合図と同時に、相手は攻撃を仕掛けてる。
でも、明後日の方向に。
何だこれ?
簡単にフロイヤは相手の背後を取り、七支刀の突きを脇腹に。
左右に伸びた7つの棘で、ズタズタにされる。
……。
全部の試合が秒殺。
同じような展開だ。
これ、間違いなく何かの魔法を使ってるな。
でも、何の魔法だ?
「何の魔法を使っているかを考えないと対策を練れませんね」
「何か……心当たりとかありますか?」
アユムは答えない。
何も思いついてないって事だろう。
マジか……。
対戦相手が全く別の方向に攻撃に行ってるって事は。
多分フロイヤがそこにいるって認識してるんだろうな。
「思いつくのは錯覚とか催眠とかですね」
「相手を錯乱させるのであればコンフューズもありますが、人間には基本的に効きませんね」
「これだけ相手が別の方向を攻撃しようとしてるんですから、多分この中のどれかかと思います」
にしてもこれが本当なら。
マジで漫画とかに出て来るラスボスみたいな魔法じゃん。
でも、詠唱してる様子が無い。
上位魔法は詠唱でしか具現化できなかったはず。
それを……?
「上位魔法を詠唱以外で具現化出来るんですか?」
「いいえ。出来ません」
確認を取るけどやっぱり出来ないらしい。
アユムが見た映像を頭にもう1度思い起こす。
観客席からだから遠目にしか見えないけど、対戦相手同士で会話してる様子は無い。
けど、喋ってないのに決闘が始まるまでに若干間があるのは何でだ?
全然違う場所に対して攻撃をする対戦相手。
会話も無いのに始まるまでの間がある。
……もし、この開始までの間に何かをしてるとしたら。
フロイヤの行動を入場からもう1度見る。
行動におかしなところは特に無い。
対戦相手をただ真っ直ぐに見てる。
七支刀を構える様子すらない。
決闘が始まると同時に攻撃に行く様子もない。
……ここでもう相手を催眠にかけるのを完了してるっぽいな。
「魔法以外に何か無いんですか?」
「……今のところは思いつかないですね。そもそも何をするにしても、流石に相手が気付くのでは?」
相手をただ、見てるだけ。
……ん?




