約束は、こうも早く果たされる
~翌日の昼~
疲れ切ってたから昼近くまで寝てしまい、アユムに蹴り起された。
明後日の決闘カードが発表されるようで、俺達はモノマキアのフィールドに来ていた。
着いた時には発表が始まる直前だったみたいで蹴り起されたのは結果的に正解だった(のか?)。
「さあ! 2回戦の決闘カード! 2回戦からはここモノマキアでの発表! さあここからはよそ見しても良いですが聞き漏らし厳禁となります! まずはこちら! 昨日の戦いで見事鮮烈な勝利を収めました最年少のブレーン・ファイター! ノーザン・フェルマー!」
歓声に応えるように俺は両手を上げて手を振る。
ってかいきなり俺かい。
誰が来るだろうか。
出場者は皆1列に並んでるから顔が見えない。
「そしてこちらも何と最年少! 今回は最年少が2人も! 伝説の魔法使いマギア・ヴォルセブにその才能を買われた超新星! デュエロス・パートル最後の参加者! マイルとの対戦だー!」
……え?
観客の声が聞こえないくらいに動揺していた。
聞き覚えがあるどころじゃない。
俺は名前の主を探す。
そいつはフードを被ってたけど、褐色の肌。
袖の間から見えた、手の甲の火傷。
俺に向かって手を振って来た。
俺は手を振り返した。
間違いなく一緒に孤児院を過ごしたマイルだった。
部屋に戻りたいと言って戻り、ベッドに寝転ぶ。
また会えると良いなって思ってたのは事実。
お互いに成長した状態でまたどこかでって期待してたけど。
こういう形でこんなに早く出会うなんて思ってなかったなぁ。
格闘技で親しい友人と戦う事なんて殆んど無い。
複雑な気持ちだ。
楽しみでもあり懐かしくもあり、寂しくもある。
でもそれ以上に、分析無しで真っ向勝負をしたいと思っちゃってる自分がいる。
決闘は2日後。
ぶっちゃけこんな事してる場合じゃない。
……あー!
頭を掻きむしりベッドをごろごろ転がってベッドから落ちる。
アホみたいな事をしてる事に溜息をつき、散歩に出る事にした。
昨日の今日で勝ちの嬉しさは一気に吹っ飛んだ。
「久し振りだね。フェルマー」
振り返る。
マイルだった。
遠目に見て似てるだけって事も無かった(´・ω・`)
「マイルと再会するのがこんなに早いなんて思ってなかったよ」
「僕もそう思う。僕がフェルマーに追いつけないかもって」
「え?」
屈託ない笑顔のマイル。
「夢を決めてどんどん進んでくフェルマーを凄いって思ってさ。僕も頑張ろうって」
「そんな事無いって。皆優しくてさ。それが力になってくれたから」
「うん。僕もフェルマーが頑張ってるところを見て、本を読んで魔法を覚えるだけじゃダメなんだって思えたんだ」
……。
「正直、決勝戦で戦いたかったけど」
俺は正直、戦う覚悟が決まってない。
色んな気持ちがあり過ぎて頭が整理できてない。
そんな事、言えなかった。
「本気で戦おうね!」
拳を差し出して来るマイル。
仲間を大事に出来ない奴はクズだ。
だから仲間とは戦いたくない。
でも仲間の思いを無駄にする奴はもっとダメだろ。
マイルがそう言うなら。
俺は拳を突き合わせる。
宿泊施設に戻ると、ステラがいた。
「孤児院の子供同士がこの大舞台で戦う日が来るなんて思ってませんでしたよ」
「って事は、ステラはマイルがこの祭典に参加する事を知らなかったんですね」
「エイリスからフェルマーが祭典に参加する以外は。 ……正直、混乱していますよ」
マイルは俺と別れてから、凄い努力をして来たんだろうな。
「フェルマー!」
エイリスとアユムがやって来ていきなりエイリスが俺を掴む。
ぐ、ぐるじい!
「時間が無いでやがるわ! どこに行ってやがったの(# ゜Д゜)」
「ご、ごめんなざいいいいいたいいたい!」
「対戦相手のマイルの情報共有を最低でも今日中にやるべきかと(#^ω^)」
アユムも何故かご機嫌斜めだ。
「すみません。次の相手が孤児院の友達だったので」
手を離すエイリス。
「なるほど。状況は理解してあげたわ」
「でも、大丈夫です。アユム。お願いします」
「良いんですか?」
「ええ」
皆、頭がおかしいけど。
すぐに察してくれたりする辺り優し過ぎるよなぁホント。




