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チート魔法の攻略法~俺は異世界でも事前準備で無双する~  作者: 広田香保里
1章~デュエロス・パートル編~
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チート魔法その2 水中最強ⅠⅠ

 半球状の巨大な海が出来てるのが、観客席から見える。


審判の結界によって観客席に魔法が及ぶ事は無かったが、それで済む話ではない。



「な、なんと常識破りなんでしょう! ルサルカ選手の魔法によってフィールドが全て水に覆われました! 体術で戦っていたフェルマー選手にとっては思わぬ展開! さあどうなる!?」



 その様子を見てステラ達は息を呑む。



「ここまでの魔法使いがいるなんて……」


「ここまでじゃなかったはずでやがるわ!」


「ぐ、ぐるじいですエイリス……」



 エイリスはアユムの襟を掴み前後に揺さぶらなければならない程に焦っていた。


巨大な水の塊が出来たばかりで水中が揺らいでる。


そのせいで中の様子が良く見えない。



「中はどうなってやがるの!?」


「はなじてくれないと見えまぜん(;ω;)」


「フェルマー……」



 両手を合わせ、ステラはフェルマーの勝利を祈った。




 持ってるのは三枝槍……だっただろうか。


セパレートタイプの水着のようなものを纏っただけの軽装な上半身。


けど、魚のような下半身。


人魚……。


全てはこの状況を作り出すための戦術だったと。


自然と笑っていた。


模擬戦の対策が全て水に流された。


それだけじゃない。


水中っていうタイムリミットつき。


こっちのリミットを決めてしまえば魔力枯渇なんて考える必要が無い。


マジでやべーな。


三枝槍で突進してくる。


やっぱりスピードが桁違いに上がってる。


幸い俺のかけたサンダーはまだ消えておらず、ギリギリでかわせた。


水中でもサンダーのスピードが上がる性質は健在なのは救いだった。


三枝槍を避け、今度はストレートを放ってみるけどパンチはいとも簡単に交わされる。


早く決めないとやばいのに、こっちの攻撃が当たらない。


おまけに水中で寝技なんてまるで意味が無い。


組みつく前にかわされるだろう。


避けながらわざと水の境界に追い込まれてみる。


満たされた水は観客席にまでは及んでない。


そこまで行けば顔くらい出せるんじゃないだろうか。


そうすれば息継ぎが出来れば少なくとも時間制約を考えなくて良くなるって淡い期待だった。


だけど見事な水牢になってて顔一つ出せない。


連撃は流石に捌き切れず、1発掠る形で貰う。


追撃を距離を取ってかわす。


この水を何とかするためにはルサルカ本人を倒すしかない。


どうする?


考える暇を与えないと言わんばかりの連撃を何とか受け流す。


水の中なのに暑いのは、追い詰められて焦ってるからだろうな。




 観客席。


観客は息を呑んでこの様子をただ見守っていた。


マーメイド化したルサルカと、その攻撃を尚も受け流し続けるフェルマーの様子。


圧倒的不利になった状況にもかかわらず攻撃を捌き続けるフェルマー。


ほぼ互角に見える戦いに感嘆の息を漏らす観戦者もいた。



「こんな状況になっても冷静に戦ってるのって凄くね?」


「最年少なんだろ? あいつ」


「ノーザン・フェルマーよ。確か……」


「いや、でも優勝候補の魔法使いもすげーぞ普通に」


「名勝負なんじゃね?」



 20万人の歓声が木霊する。


それを聞いて、エイリスは満足そうな顔をしていた。



「流石フェルマーね! 迅速にこの状況に対応しやがってるわ!」


「さっきまでアユムを絞め殺す勢いでしたよねあなた(#^ω^) 私はフェルマーを信じていますから」


「ブーメランの投げ合いですねホント(# ゜Д゜)」


「ならアユムはフェルマーの勝利を信じてやがらないのね(# ゜Д゜)」


「誰もそんな事言ってません(# ゜Д゜)」


「賑やかですねあなた達(;^ω^)



 静かに、そして激しく観客席は盛り上がっていた。




 息はそんなに長くは持たない。


やばいな……。


最悪死んだふりでもしようかと思ったけど、降参した時点で負けだとすぐに思い直す。


思考力も低下して来てるな……。


そんな隙を見せた俺の肩をルサルカの三枝槍が貫く。



「ぐっ……!」



 貫通はしない。


レプリカだけど死ぬほど痛い。


勿論速度が相当な攻撃だから、肩が切れて出血する。


体力低下に従って動きが鈍くなってるのも分かる。


どうする……。


間違って水を飲んでしまう。


鉄の味がした。


攻撃をギリギリでかわすと、ルサルカの表情がゆがんだ。


ん?


何だ?


ダメージを負ったのは俺なのに。


何かくらう要素があったって事?


足に纏ってるサンダーを見る。


……あ。


魔陣札を多めにつけといて良かった。


……かどうかは分からないけど。


再び両手足にサンダーをかけ直す。


現状、この水中は超純水じゃなくなってる。


俺の血が混じって。


って言うかそうであってくれ!


俺は両手足に纏ったサンダーをありったけの魔力で放電する。



「ぐあああ!」



 ルサルカが絶叫してるけど、俺もダメージ受けるよねこれ!


目茶目茶痺れていてーよ!


でも、超純水じゃない事は証明された。


この水牢、解けていい加減!


パーンと弾けるような音と同時に、水牢が一気に離散する。


って目茶目茶高度高いやん!


突き刺さるように俺とルサルカは地面にダイブする。




 観客席ではエイリスが再びアユムを締め上げていた。



「電撃の攻撃が効かなかったのに何故水牢が破られたのか。我々は何も分かりませんが勝敗はどうだー!?」



 観客席は静まり返っていた。


よろよろと立ち上がるが、倒れそうになるところを膝をついて何とか耐える。



「うおおおおー!」



 歓声が上がるけど余裕なんて全くないわ……。


はぁ……はぁ……。


手足の魔法は消えた。


魔陣札を起動させようにも、何も変化が無い。


魔力枯渇だ。


ほとんど動けない。


膝をついて立ってられるのは普段からトレーニングをしてたから。


それだけだろう。


起き上がって来られたら負けるかも……。



「カウント! 1! 2! 3! 4!」


「うっ……」



 ルサルカも起き上がって来る。


ひと際大きな歓声が上がる。


マジかよ……。



「5! 6!」



 ルサルカはよろけ、崩れ落ちた。



「ルサルカ選手崩れ落ちたー! 何と言う番狂わせ! 最年少のジャイアントキリングが目の前で奇跡となったー! 勝者! ノーザン・フェルマー!」



 立ってこの木霊する声援に応えたかったけど、膝から崩れ落ちる。


俺は片手を上げて応えた。

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