傭兵ギルド長の本当の強さ(兆)
~翌日~
午前はフィジカルを中心としたトレーニングに注力して、傭兵の仕事が無い時は模擬戦で魔法を織り交ぜた打撃戦を意識して取り組む。
アユムに使い方を聞いてみたけど、魔陣札に魔法を込めるやり方は簡単だった。
札を持ち、札に向かって詠唱する事で魔法陣が書き込まれるようになってる。
1度魔陣札を使うと札に書かれた魔法陣が消えるけど、もう1度詠唱する事で再度書き込みが可能になる。
サナルがやってたみたいな、両腕に魔陣札を貼って戦う方法に加えて、両足にも魔陣札を使う方法を試してみた。
足につけた魔陣札は傭兵ギルドの服で見えないし、腕の方はバンテージが隠してくれる。
これならスピードを殺す事も無く打撃が打てるし、詠唱せずに魔法も使える。
試しに足につけたサンダーの魔法を使ってみると、迅速に両足に雷を纏う事が出来た。
「何ですと!?」
対戦相手のミェーチが俺の大幅な速度上昇に驚いてる間に俺はミェーチの後ろを取る。
振り返った顎に右ストレートがクリーンヒットし、ミェーチはぐらつく。
「あんさん、強いやんなぁ……」
「ありがとうございました」
サンダーを使った動きは大分様になって来た気がする。
「流石サナルはん倒しただけはありまんなぁ」
似非関西弁みたいな喋り方なのが面白い。
対戦が終わった空き時間に、使った魔陣札に再度魔法陣を埋め込む。
何枚かあればもっと良いんだろうけど、多くつけ過ぎても正直邪魔になるだけだ。
両手両足に1属性1枚ずつ、計4枚ずつつけてるから、両手両足で計16回の魔法を瞬時に使えるようにした。
一応魔陣札分の魔法を全部使ってみたけど、魔力切れ時に見られるらしい体が動かなくなるって事は無かったから、とりあえずは大丈夫だろう。
そんな感じでトレーニングをし、さあ作戦を細かく練るかーと思ったその夜、エイリスに呼び出される。
アナウンスででかい声で『ノーザン・フェルマー! 今すぐ来やがりなさい(# ゜Д゜)』とかキレ声で言うのマジで止めて欲しいんだけど。
と思いながらエイリスのいる事務所をノックする。
「入りやがって」
相変わらずのおかしい日本語を突っ込むのも面倒なのでそのまま入る。
「アナウンスで呼ぶのいい加減止めて下さい(# ゜Д゜) 周りの傭兵仲間に笑われるんですから(# ゜Д゜)」
「黙りやがりなさい(# ゜Д゜)」
「何で俺が切れられてんの!?」
「本題でやがるけど」
「……(#^ω^)」
「対戦相手が決まりやがったわ」
「お( ゜Д゜) やっと決まりましたか!」
「相手はルサルカ・ヴァダーでやがるわ」
エイリスは紙を俺に渡す。
……あ。
青髪青眼の女の子。
あの子か……。
隙の無い殺気を思い出す。
「港町、ユーフェル魔法ギルドの新鋭でやがるわね。水の魔法をベースに戦いを仕掛けやがるアタッカーでやがるわ」
「距離は?」
「近距離、遠距離両方を高い水準で備えてやがるようね」
……手強そうだな。
新鋭って事はアユムが情報を持ってる可能性も低い。
一応アユムに聞いてみるけど。
それにしてもいきなり来たか。
「優勝候補でやがるわね」
「因みに俺はどのくらいの評価ですか?」
「聞かなかった事にしてやるわ」
……なるほど(´・ω・`)
だからどうって事は無いけどさ。
チクショーだよね(´・ω・`)
「出場が決まってから1週間も経ってやがらないわ」
「どう言う事ですか(;^ω^)」
「何もせずに負けやがるつもりなら、今すぐ参加を取り下げてやるわ」
あ、そう言う……。
「それは大丈夫です。勝ち負け云々は別にして、俺は勝つためにやれる事は全部やるので」
「あはははははははははははははははははははははははは!」
エイリスは大笑いした。
「笑い過ぎだろ(# ゜Д゜)」
「相変わらず頭がおかしい野郎でやがるわね! ノーザン・フェルマー!」
「お前にだけは言われたくないわ(# ゜Д゜)」
「諦める馬の骨をこのギルドに誘ってあげるわけ無いわ」
「優勝するところ見とけや(# ゜Д゜) したらエイリスも倒してやるわ(# ゜Д゜)」
ゾワッ。
……え?
エイリスの表情がいつもと違う。
顔が笑ってるのに目が俺を殺す気満々の目。
喋ってないのに体が凍り付く。
動かない。
エイリスは俺の肩を軽く叩く。
体が動くようになる。
汗の量がやばい。
魔法とかじゃない。
多分威圧だけで……。
「優勝、絶対にしやがりなさい!」
「は、はい……」
いつものエイリスに戻る。
サナルが疲れを見せた理由が良く分かった。
正直サナルじゃ相手にもなってなかったと錯覚するようなレベル。
確かな悪寒を感じた。
「用件は以上でやがるわ! 期待してあげるわ! フェルマー!」




