サナルの思い
なぜかやる気バリバリのアユムの魔法指導が終わり、へとへとで部屋に戻って来る。
4つの魔法はとりあえず使えるようになった。
とりあえずサンダー、ファイア、アイス、アクアの4種類を自分にかけてみて分かった事がある。
・サンダーは足にかける事で自分のスピードも上がり、攻撃した相手を痺れさせる。
・ファイアは手にかける事でパワーが上がる。
・アイスは手にかける事で拳自体が固くなり、パンチの重さが上がる。また、体に纏う事で防御も出来る。
・アクアは攻撃自体に関わる事は無いけど、自分の体にリング状にかければファイア、サンダー、アイスの魔法の威力を軽減、無効化する。
アクアがサンダーを無効化するのはびっくりしたけど、多分超純水なんだろう。
魔法を織り交ぜた模擬戦で細部の調整は必要だな。
そもそも魔陣札を使わないと実戦で使えないよなぁ……。
魔陣札に魔法を込める方法とかも聞かないとダメだな。
対戦相手が決まる前に教えて貰って良かったわ……。
対戦相手が決まってからやってたら終わってたな(;^ω^)
~アユムの視点~
部屋に戻り、深呼吸する。
魔法を当たり前のように使ったって事は、少なくともフェルマーがアンチマジックを常時使用してない事が分かった。
魔法を使った瞬間に消滅するような事が起こるはずだからだ。
しかも、魔法の使い方もことごとく常識外れな使い方をする。
サンダーの魔法にスピードアップなんて効果は多分誰も知らないんじゃないだろうか。
パワーやスピードの強化は支援魔法に任せるのが常識とされてきた。
フェルマーと出会ってから、自分の常識が物凄い勢いで破壊されてる気がする。
気味の悪さを感じるは感じるが、この1人の少年がどこまで行くのか。
目的も忘れ、それを見たい気持ちにアユムは少しずつ変わっていた。
~次の日の朝~
ふぁー。
大きく伸びをする。
疲れてから寝て起きる朝は目茶目茶気持ちが良い。
朝食を取り、トレーニングにはげむ。
町を走るのは、町の中の治安を見て回る目的もあって一石二鳥だ。
生誕祭も終わり、町は静かそのものだ。
時々ダッシュする事で追い込みながら、基礎体力を上げるトレーニング。
途中に廃屋が見える。
元々の俺の家だ。
少し物思いに耽るくらいだったけど。
家の前にサナルがいた。
……。
そこまで気にする事があったのか。
気にしない方が無理な話だろう。
「おはようございます。サナル」
「おうノーザンか。トレーニングか?」
「見回りも兼ねてます」
「なるほど。賢いな相変わらず」
サナルは廃屋を見上げたままだ。
俺もつられて廃屋を眺める。
吐き気や動悸は全くない。
「ノーザンの両親を殺めたのは俺だ」
……。
だから定期的にここに来てるのかと納得する。
生誕祭を回った日にたまたまここをサナルが通りかかるなんてそんな都合の良い話がある訳無い。
「お嬢様からの指示だったが、もう手遅れだったとは言え、やったのは事実だ」
その時の俺は俺じゃない。
その一言をかけたらどれだけ楽なんだろう。
その一言が軽はずみなのは考えるまでもない。
サナルは俺に土下座する。
「すまなかった!」
座り、サナルの肩に手を当てる。
サナルの顔は見えないけど、地面に滴るものを見て見ぬふりは出来なかった。
「一つだけ教えてください。決闘の時、手加減したんですか?」
顔を上げたサナルの顔は申し訳無い程にくしゃくしゃだった。
「あれはノーザン。おめぇが強かった。それだけの話だ。あの決闘に私情は一切挟んでねぇ! 本当だ!」
「それなら、また模擬戦じゃなく決闘として戦いたいです。俺はサナルに感謝してます。俺の壁になってくれた事に。デュエロス・パートルに参加する決意をさせてくれました。だからもう過去にとらわれなくて良いです」
サナルの手を掴み、サナルを起き上がらせる。
サナルは慌てたように涙を拭く。
「俺を……許してくれるのか?」
「許すも何も無いです。そもそも俺を助けるためにやってくれたんですよね? それで良いですよ」
「……分かったぜノーザン」
今は簡単に割り切れなくても、きっかけになってくれれば嬉しい。
「次やる時は首は狙わせないようにするからよ。他になんか考えとけよ」
ニカっと笑うサナル。
うえーそれはきついわ(´・ω・`)




