決して捨てちゃいけない誇り
俺の両足が雷のオーラを纏う。
2体のオーガロードが同時に俺に棍棒を振り下ろす。
瞬時に俺はオーガロードの足元に移動する。
すげえな。
スピードもめっちゃ上がるのかこれ……。
サンダーを纏った足で、先程のオーガロードの左足にミドルキックを見舞う。
グゥ!?
オーガロードの1体が倒れる。
もう1体の攻撃をかわし、今度は右足にミドルキック。
グ、グゥ!
オーガロードは崩れる。
思った通りだ。
立ち上がれなくなったオーガロードにとどめの飛び蹴りを顎にくらわせると、オーガロード2体は動かなくなる。
やったか……?
その様子を見てジネカとウィルがやって来る。
「な、何をやったんだ?」
「蹴りだけで何で!?」
オーガの足が痙攣してる。
「麻痺してるんだと思います」
「ま、麻痺?」
「以前戦った巨大オーガには足に蹴りが効いたんですが今回はダメでした。なので麻痺させようと。そう考えた時、手を除けば足が最もマヒさせやすいので」
「マジかよ……あ、そうだ宝!」
慌ただしくジネカとウィルは辺りを探し始める。
ウィルはともかくジネカは何もやってないじゃん……。
腰を下ろす。
一応オーガロードが起きないかを警戒しながら。
リベンジできたのは単純に嬉しい。
でも、魔法の力を借りての勝利。
んー。
デュエロス・パートルでどんな事があるか分かんない。
それに今みたいに魔法剣の要領で手足に纏って戦うみたいな現実世界には無いバリエーションも持てる。
そんな事を考えてると、オーガロード2体や倒れてた巨大オーガが消滅してく。
キラキラと、雪みたいに。
奇麗だなぁ……じゃない!
「おーい! 宝あったぜ!」
「金貨ざっくざくよ! これであたしら……クヒヒ」
先に来てた人たちは無事なのか!?
急いで洞窟の方へ戻る。
「お、おい!」
洞窟の方では、全員が起き上がってた。
ホッ……。
それにしても、見捨てたのかあの2人は。
マジで最低だな……。
「助けて頂いてありがとうございます! 全滅するところでした……」
「それよりオーガロードは?」
「倒してくれたよ。この人が」
「ホント、ありがとな。他の2人に手当までして貰ったみたいで」
よく見ると、倒れてた冒険者は皆ちゃんと包帯で手当てがされていた。
「巨大オーガと戦ってく中で、僕の魔力が切れちゃったんです。それで……」
「なるほど……」
……包帯をこんなに持つくらいなら、ちょっとくらい魔陣札持っとけば良いのに。
最低だなんて思った自分を戒める。
「おーいどうしたんだよ?」
「情報通りだぜ! あたしらがお宝ゲットだぜ!」
「手当、しといてくれたんですね」
「あ? 当たり前だろ?」
ウィルは当然かのごとくの表情。
「見殺しにしてまで宝のためにやるかよ」
「気分わりいだろ。あたしらだって」
「ホント、ありがとうございます」
助けた冒険者が頭を下げる。
ウィルはははーんと察した様子で俺の顔を見て来る。
「さてはおめー俺らが見捨てたとか思ってた口か? お?」
「はー!? 聞き捨てならねえよそれは」
「お、思ってません思ってません!」
先行してた冒険者が笑う。
「と、とりあえずここを出ましょう」
「おう! あたしらでクエストクリアだね!」
「はぁあたしら? お前何もしてねーじゃねーかよジネカ」
「喧嘩売ってんのかてめー(# ゜Д゜)」
「俺がメインでやってんだよなぁ(# ゜Д゜)」
「「すみません……」」
頭がおかしくて最低な奴らだけど、誇りだけは持ってるんだな。
フェルマーは心でそう思った。




