闘るべき相手
「きゃあ!」
右アッパーからの左フックをモンスターの顎に当て、モンスターが気絶する。
こいつはゴブリンってやつか。
ホッと胸をなでおろすアミーラ。
「貴方、結構見込みがありますわね」
「ありがとうございます。フェルマー様」
礼を言われ、むず痒い気持ちになる。
「話してる途中にも気を抜いてやがらない」
剣を収めるエイリスも、言うまでもない。
正直嬉しいけど。
やってない事がある。
「やりやがるわよね?」
「……ちょっと考えさせて下さい」
「何を迷いやがってるの?」
「祭典に出るメンバーは、強い人ばかりですよね?」
俺の返答に、エイリスは何も返しては来なかった。
~その日の昼~
お嬢様御一行は会合で夜まで何かを話し合うらしいから暇になった。
会合の間は目的地であるオリフィスの傭兵が護衛を引き受けてくれるらしい。
傭兵の人達がエイリスに対して目茶目茶腰が低かったのが面白かった。
強いと思うけど、単に頭のおかしい人なんだよなぁ……。
とか色々言いたい事はあったけど、結局は暇だからオリフィスの町をぶらぶらしてる。
かなり小さい町だけど、その分階数が大きなビルみたいな建物がそびえたってる。
東京を思い出すなぁ。
殆んどが宿泊施設らしいけど、何のためだろう。
こんなに多くする必要ってあるのかな?
ぐぅー。
まぁ良いか。
とにかく腹ペコだ。
宿泊施設にあった食堂で適当に食事を済ませ、町を見て回る。
東京とは違い、人通りは少ない。
町の中心部だろうか。
立ち止まり、見上げた。
町がそんなに大きくないからこそ、目の前の建物が目立つ。
中学生の教科書でしか見た事無い、コロセウムみたいな外観の建物。
中って見学できるのかなーとか淡い期待を抱いて入り口にいた門番らしき人に聞いてみると、ただで中が見れるらしいから早速中に入ってみる。
中には同じような見学客らしき人がちらほらいるみたいだ。
案内板らしきものを見てみる。
……収容人数20万人!?
東京ドームって大体5万人くらいじゃな……4倍!?
何つー施設だ……。
『モノマキア』と呼ばれる、世界最大の決闘をするための施設らしい。
実際のフィールド。
もとい格闘技風に言うならリングも見れるらしい。
リングへの入り口が建物の造りと合わないゲートみたいになってるのは気になったけど、構わず抜けた先には。
膨大な数の観客席。
真っ平らなタイル張りのフィールドが円形に広がってた。
こんなところで戦える。
どれ程光栄な事だろう。
タイトルマッチは東京ドームでする事が決まってたから余計にそれが分かる。
「貴方も祭典出場者ですか?」
振り向くと、華奢な印象の女の子が俺の元にやって来る。
青髪青眼に引き込まれそうになる。
「凄い建物に驚いて入ってしまっただけです」
「あら、そうだったんですか。それは失礼致しました」
ご丁寧にお辞儀をして来る女の子。
女の子の全身から放たれる威圧感みたいなのを俺は感じた。
『こんな子が?』は今の俺にはブーメランだ。
「こんなに人が多いと、緊張も凄そうですね」
敢えて関係の無い話を振ってみる。
緊張ってワードを出しておけば素人と思われるかもしれないし、情報になるような事を自分から言うのは避けるべきだ。
「全てを賭け、ここで戦うんです」
踵を返し、女の子は俺から離れて行く。
殺気が無くなったところを見るに、俺から興味を無くしてくれたみたいだ。
震えを感じる。
恐怖じゃない。
証拠に、顔が笑ってるのが自分で分かる。
すっげー戦ってみたい。
ああ言う子が他にもごろごろいると思うと余計に。
……腹は決まった。
~その日の夜~
「祭典、出ます」
「思うところは何とかしやがった訳ね」
「サナルと戦わせて下さい」
夕食の席。
エイリスはああなるほどと納得したようだ。
「初日をまだめそめそ引きずってやがったのね」
「言わんといて下さい(´・ω・`)」
「手配してやるわ」
「ありがとうございます(^ω^)」
「その顔は止めやがりなさい(# ゜Д゜)」
手配された部屋は、トレーニングするためのスペースが設けられてて至れり尽くせりの環境だ。
出発は昼だから、朝にトレーニング出来るなとか、サナル攻略の作戦とか色々考えながら眠りについた。




