異世界には、分析の為のテレビもビデオも一切無い
得るものは多かった。
サナルは俺みたいなタイプにとって相性は悪い。
多分弓を使うようなタイプなら懐に入ってさえすれば何とかなりそうだけど、蹴りもパンチもわざとくらったように見えたし、何よりあの回復。
魔法と使用武器のメリットとデメリットがうまく噛み合ってる。
でも一番の敗因は。
自分が油断した事だ。
昼食を終え、トレーニングに励みながら反省を繰り返す。
多分、今のままサナルと再戦しても負ける可能性の方が高いだろう。
試合映像を見て分析が出来れば……と思うけど、テレビとかビデオなんてものはこの世界にはない。
どうする?
誰かに聞くか……。
午後のトレーニングも終わり、さっそく俺はアユムを探す。
俺の補佐をするとか言いながら、いないのは何でだろうか。
アユムの部屋は……ここか。
アユムの部屋は傭兵寮とは違い、クエスト受付所の上にある。
ノックすると、アユムが顔を出す。
「フェルマーですか。何の用でしょうか?」
「ちょっと聞きたいことがあって……」
「この部屋はエイリス以外誰にも教えていないのですが、あいつから聞いたんですか(#^ω^)」
……あれ?
そう言えば何で俺、ここがアユムの部屋だって知ってるんだろう……?
「あの女からなんですね(#^^#)」
「あ、いや……」
「まあ細かく言っても来てしまったものは仕方ないでしょう。どうぞ(# ゜Д゜)」
「目茶目茶怒ってるやん……」
部屋の中は書類の山とベッドがあるだけだった。
「適当に座って下さい」
言われるがまま、俺は椅子に座る。
エイリスはベッドに座る。
「それで何ですか?」
「サナルの使ってる魔法について教えて欲しくて」
「ああなるほど……。 それを聞くと言う事は、勝つつもりであると」
「うっ……。 まあ、そうです(´・ω・`)」
「無限回復と表現するのが正しいでしょうか。ダメージを負った傍から瞬時に回復していく魔法と言われています。上位魔法ではあるのですが、一度発動してしまえばオートで発動し続けると言うのは本人が言っていましたね」
……。
おかし過ぎやしませんかね(#^ω^)
あの技量だけでも相当じゃねえか。
なのにそんな上位魔法をオートで使えるってヤバ過ぎん?
……どうやって倒すかを考えるにしても、せめて行動の癖と戦い方は最低限知っとかないと流石に勝てない。
今日の模擬戦を思い出すだけで相手の癖を見抜くのはある程度までしかできない。
手詰まり感が半端無い。
あ。
でも。
「オートで発動してるって事は、魔力が尽きたら使えなくなるんですよね?」
「そうですね。恐らくですが、サイクルは12時間くらいでしょうか。ほぼ意味が無いですが」
「うわ……」
魔法に隙が無い。
一縷の望みも無かった。
こんな連中が他にもいると思うとやばい〇rz
何かないか?
せめて分析、研究する為の方法くらいは欲しい。
アユムから詳しく話を聞いても良いけど、自分の目で見てない情報だから俺にとって正確な情報を100%得られない。
「聞きたい事は以上ですか? 書類整理があるのですが」
諦めないで考えろ。
タイトルマッチまでたどり着いた時だってそうだった。
1回負け、心が折れそうになった時だって。
決して諦めない事でたどり着けたんだし。
無理な理由より出来る方法を考える。
支えてくれた人がいたからそう信じ、それを証明したい。
こっちにだって孤児院の皆って言う支えてくれた人がいる。
「フェルマー?」
……そうだ。
「1つだけ聞いても良いですか?」
「何でしょう? 時間も時間なので手短にお願いします」
「孤児院で模擬戦をした時、俺に何の魔法をかけたんですか?」
「は? 私のですか?」
単なる思い付きでしかないけど。
聞く価値はありそう。




