チート魔法その7 インビジブルⅠ
~デュエロス・パートル決勝トーナメント3戦目当日~
観客の歓声が控室まで聞こえて来る。
シャドーをしながら、この決闘の舞台に帰って来た事を実感する。
「行けますか?」
「ばっちりです」
アユムとホムラ、フレアが控室に付き添ってくれる。
前日にあれだけ動いたけど、お陰で疲れてよく眠れた。
コンディションはばっちり。
ラムジー対策を反芻しながら、イメージを焼き付けて行く。
「さぁ! 選手入場までもう後わずか! 後もう少しだけお待ちくださーーい!」
……良し。
両拳を合わせる。
俺ならやれる。
「私は気の利いた事は言えませんが」
入口に向かおうとする俺に、アユムは話しかけてくる。
「負けないで」
……はは。
ギルド長も副長も不器用だなぁ。
思わず笑ってしまう。
「何がおかしいんですかね(# ゜Д゜)」
「頑張って来ますよ!」
入場口へ走って向かった。
「お待たせしました! 決勝トーナメント第3戦! アサシンに傭兵最強の頭脳が挑む! ラムジー・レントとノーザン・フェルマー両選手の入場だぁ!」
歓声の中に『キングオブレーン』が聞こえて来る。
手を上げながら両手にファイア、両足にサンダーを纏う。
「おおーっと観客の声援に笑顔で答えながらもその闘志は測りしれないキングオブレーン! 決闘開始前から静かに燃えております!」
ラムジーは既に魔法をかけ終えてるんだろう。
メリケンサック付き短剣を構え、真っ直ぐに俺を見据えてる。
軽くジャンプしながら10mの距離で見合う。
「さあ! 5感と脳をフル回転させてこの死闘を見届けましょう!」
構える。
「デューーーー……エローーーーース!」
「「エローーーーーース!」」
開始と同時にラムジーは右手の短剣で俺の首を狙う。
俺はそれを最小限に顔だけで左に避け、左ボディからの右フック。
右フックを左手の短剣の腹で受けられたけど、左ボディは浅く入った。
距離を取る際に右の短剣を大きくぶん回して来るラムジー。
間一髪のところで貰わずに済み、距離を再び取る形になる。
……。
見えない何かの動きは今のところ無い。
ラムジーの動きに細心の注意を払う。
ラムジーは右に動く。
俺は極力動かずに構える。
居場所を特定できない状態で動くのはまずい。
ただ、何もアクションが無さそうな所を考えると。
予想は当たってそうだ。
攻撃を貰いさえしなければ。
或いは透明化した何かに当たりさえしなければ通常状態で戦える。
それなら。
俺は距離を詰め、左ストレートのフェイントからの左三日月をラムジーの腹に。
その足を取られる。
ヤバい。
左足を押し出し、ラムジーを蹴とばす。
……タックルまでして来るのか。
確かにタックルで仕掛ければラムジーの魔法を発動させやすくはなりそうだ。
いずれにせよ、あの短剣に気を囚われ過ぎない方が良いかもしれない。
ただ、サンダーを纏った攻撃を与える事は出来たから、膝のフェイントを混ぜながら距離を徐々に詰めていく。
……。
その間も、音を逃さないように神経を集中させる。
ラムジーの魔法が透明+分身なら。
動いた時に必ず音が聞こえるはず。
アユムとの模擬戦で魔法の音が聞こえた時、対策に使えると思った。
そして分析を通してほぼ確信した。




