狂気 VS 刀神Ⅰ
~デュエロス・パートル決勝トーナメント1戦目当日~
決闘開始前の昼。
既にモノマキアは満席状態だ。
俺とアユム、それにホムラとフレアは席に着き、決闘の始まりを待ってる。
サンサーラとフロイヤの戦い。
周りの観客は勝利予想の話題で盛り上がってた。
大体半々ってところだろうか。
「どちらが勝つと思いますか?」
「フロイヤの魔法がかかるかどうか。そこだと思います。どっちが勝つかは正直分からないですね」
「冷静でつまらない答えですね」
「ふざけた方が良かったの(;^ω^)」
そもそも勝利予想じゃないけど。
「隣、空いてますか?」
振り返る。
「ステラ!」
「何とか初戦に間に合って良かった」
アユムの隣に座るステラ。
「(例の件はどうですか?)」
「(はっきりとした事はまだ言えません)」
小声で何を言ってるのかは聞こえなかった。
そんな中、観客の声が徐々に小さくなっていく。
開始前の独特の空気が漂う。
「さあ皆さん! たーーーーーーいへんお待たせいたしました! これよりデュエロス・パートル決勝トーナメント1戦目を行います!」
待ってましたと言わんばかりの大歓声。
現実世界で、1人で格闘技を見に行った時の事を思い出す。
全身が震えるあの感覚。
「コルスの狂人フロイヤ・クリーガー! 刀神サンサーラ・ツァイトが見事切り伏せるのかー!? 両選手の入場です!」
既に刀を構えた状態で入場してくるサンサーラ。
対して高らかに笑いながら入って来るフロイヤは、やっぱりサンサーラを真っ直ぐに睨んだ状態。
サンサーラは目を閉じたまま刀を構える。
……対策してるな。
そんなサンサーラにフロイヤが歩み寄ろうとするのを審判に止められる。
「さあ始まる前から既に激しい! でもダメですよー落ち着いてくださいねー!」
解説のジョークに会場が笑いに包まれる。
互いに10mほどの距離。
サンサーラがどう言う戦い方をするのか。
「デューーーーーー……エローーース!」
「「エローーーース!!」
開始の合図と共にフロイヤがサンサーラへ切りかかる。
サンサーラは刀で七支刀を左にパリングし、勢いそのままにフロイヤの手首に平打ち。
そのまま距離を取る。
……速い。
見えない人は何が起きてるのかさえ分からない速度。
「き、貴様……」
フロイヤは七支刀を落としてしまう。
あれだけでかい大剣を片手で扱ってるからこそ手首を狙ったんだろう。
「な、何が起こったんですか?」
「多分、一時的に麻痺してるんだと思います。速過ぎて見にくいですけど」
「魔法剣も使わずに。凄い技量とスピードですね」
サンサーラは距離を詰め、左胴切り。
フロイヤの右手のガードが若干遅れ、かする形で攻撃を貰い、吹っ飛ばされるフロイヤ。
追撃するかと思いきや、サンサーラは七支刀を拾い、フィールドの壁に向かって片手で投げる。
審判の方向に猛スピードで行くけど、審判は軽やかに避け、壁に七支刀が突き刺さる。
「冷静ですね……」
「ええ。ただ攻めて終わらせに行く前に、自分の負け筋を潰しに行きましたね」
戦い慣れてる。
催眠にかからなかったのは、多分目線だけは合わせないようにしてるからだろう。
「あーっとこれは一方的な展開だ! さあサンサーラ選手はフロイヤ選手の武器を使用不能に! フロイヤ選手がここまで一方的に攻撃される決闘があったでしょうか!?」
あの七支刀を片手で投げ、壁に突き刺した。
パワーも凄いだろうな。
1度見れて良かった。
フロイヤは辛うじてダウンは避けてるものの、軽くないダメージだろう。
催眠が効かず、武器も取られた。
フロイヤ、どうする?




