ゲーニィ・テンス所属の副ギルド長
~デュエロス・パートル開会式当日~
町の中は人で溢れかえってる。
予選からもう1月か。
あっという間だった。
傭兵ギルドの依頼、トレーニング。
華やかな場所に戻って来れた。
ここからはもう負けたら終わり。
1つのミスも許されない緊張感。
でもそれさえも今はワクワクだった。
やれる事はやった。
「荷物を置いて早めに向かいましょう」
今回、付き添いはアユムとホムラ、フレア。
エイリスは事件の調査で離れられないらしい。
『勝って来やがりなさい(# ゜Д゜)』とブチギレられた。
例の事件が全く気にならないって言ったら嘘だけど、エイリスがやってくれてる以上、俺がやるのはただ優勝を狙うのみ。
「フェルマー、久しぶり!」
振り返ると、手を振りながらやって来るマイル。
後ろにいるのは魔法使い仲間だろうか?
やたらと身長が高い人が後ろに控えてる。
それに、Mr.ヴォルセブがいない。
「マイル! ……Mr.ヴォルセブは一緒じゃないんだね」
「うん。ほら、例の事件の調査をギルド長全員でやるみたいでさ」
マジか……。
エイリスだけじゃなく、ギルド長全員で?
「何でこっちを見てるんですか(# ゜Д゜)」
「いや、アユムは行かなくて良いんですか? って……」
「私は副ギルド長なので。それに、いざとなればオリフィスの傭兵ギルドから直接連絡は取れますし、その手筈も整えています」
なら良いんだけど。
「マイル君。そろそろ」
「あ、はい。じゃあフェルマー。またね」
そう言ってマイル達は去って行く。
俺達もさっさと向かった方が良さそうだ。
でも、気になる事がある。
アユムはゲーニィ・テンスなのに何でギルド長をしてないのか。
「聞いても良いですか?」
「何ですか?」
「どうしてアユムはゲーニィ・テンスに入ってるのに副ギルド長って立場なんだろうって」
「ああ……」
アユムはそんな事かと言いたげに頷く。
「私はこのマインドネットの魔法だけでいるようなものですから」
「それってどう言う……」
「考えてみてください。私のこの魔法を野放しにしたとして。君以外にこの魔法はかけれてしまう。あの魔導士と呼ばれるマギア・ヴォルセブにも」
なるほど……。
危険因子……と。
「それでもこの力は惜しい。そう判断したエイリスは自分の元に置いて監視をする。そう言う事です」
以前、アユムのマインドネットについての特徴を俺が言った時。
アユムはそんな使い方すら思いつかなかったって言ってなかったっけ。
……悪用するつもりも無いのに監視され続けるのは、決して気分が良いもんじゃないだろう。
「そもそも、私は戦闘能力が無いに等しい。魔法を少し多く使えるだけ。そんな私に1つの町を守るなんて出来ません。であれば副ギルド長って比較的安定した立場を手に入れられるのであれば、監視されるなんて些細な問題にしかならない」
アユムもアユムで苦労してるんだな。
何があったかは聞かない。
「君達の前でこんな話はするべきじゃなかったですね」
俯くホムラとフレアを、アユムは優しく撫でる。
モンスターだってエイリスは受け入れる。
勿論アユムだって。
「ホムラ、フレア。ごめんね。大丈夫だよ」
ホムラを抱き抱える。
ホムラは嬉しそうに俺に顔をこすりつける。
「前にも言いましたが、私の事は利用しなさい。君の目標のために必要であれば」
「……これからも分析のために、お願いします」
「急ぎますよ」
アユムは歩を速めた。




