希望と未熟を背負う
~その日の夜~
ん……。
視界が徐々にクリアになる。
ここは……?
ベッドとチェストだけのシンプルな部屋。
でもどこか懐かしさを感じる。
孤児院の……俺の部屋?
ゆっくりと起き上がる。
横には寝てるホムラとフレア。
俺何で寝て……そうだ!
ステラと戦って……あれ?
記憶が曖昧だ。
結果は……?
立ち上がる。
まだ若干ふらつくけど、動けはする。
とりあえずステラのところに……。
扉を開ける。
「あっ」
扉を開けると、メリリカと鉢合わせる。
「もう立ち上がって大丈夫ですか?」
「うん。ちょっとフラフラするけど、大丈夫だよ。メリリカ」
「ちょっと待っててください」
メリリカは目を閉じる。
「精霊よ。自然よ。その力を持って我を癒し給え。ヒール」
俺にヒールがかかり、フラフラが無くなった。
普通に動けるようになる。
メリリカも魔法を使えるようになってるのか。
「ありがとう。メリリカ」
「いいえ。大丈夫です」
「あの、ステラはどこにいるか分かる?」
「部屋にいます。もう起き上がってましたよ」
結果を早く知りたい。
メリリカにありがとうと言い、俺は歩いて行く。
「私も、頑張ります」
振り返る。
「フェルマーさんがここを出てから余り経ってないのに、凄く成長してて。私もこのままじゃいけないって改めて思いました」
「恥ずかしいよ(;^ω^)」
「頑張って下さい」
「うん」
メリリカと別れ、ステラの部屋へ向かう。
メリリカが魔法ギルドに入ったらって思うと未来が躍るな、と心から思った。
扉をノックする。
「どうぞ。空いていますよ」
「失礼します」
入って来る俺を見てステラは驚いたような表情。
「立ち上がっても平気ですか?」
「メリリカに回復してもらいましたから」
「そうですか……。 あの子は、マイルのように様々な魔法を勉強しています。メリリカだけじゃない。2人を見て、そう言う子が本当に増えました」
嬉しそうに眼を閉じるステラ。
それは素直に嬉しいけど、今知りたいのは結果だ。
「……模擬戦の方は?」
「ほぼ同時に倒れたと、皆言っていましたね」
「って事は……」
「引き分け……のようですね」
引き分けか……。
「視えていても、攻撃が当たった後では避けられませんでしたね」
「未来視……ですよね」
「良く分かりましたね。戦いの前に対策を練るのが、戦いの最中にまで分析が出来るようになって来たんですね」
「いえ……攻撃を貰い過ぎました。全部が重かったです」
もっと早く気付けてたら良かった。
初めて戦う相手じゃなかった。
過去に戦ったステラしか、戦う前の俺は見てなかった。
「座って良いですよ。フェルマー」
言われるがまま、ベッドに腰掛ける。
ステラが俺を抱きしめる。
「これから、本当に沢山の困難があると思います。ですがフェルマー。ここに味方が大勢います。皆があなたやマイルに憧れ、追いかけるでしょう。冒険者になるしか道は無かった。死ぬかもしれない運命が、未来を夢視る希望に」
……。
ただ、夢中になっただけ。
それをバカにするでもなく、聞いてもらって協力までしてくれた。
そのお陰だ。
「あなたは孤児院の誇りであり、希望そのものです。いずれ、皆がそうなるでしょう。ありがとう」
「あの時、ステラが無理だって言わないで、協力してくれたからです。マイルも、孤児院の皆も。俺にとってはかけがえのない存在です」
俺から離れ、俺の頭を撫でるステラ。
「心置きなく、挑戦して来て下さい」
「ありがとうございます」
今の俺はまだまだ未熟だ。
だけど吹っ切れた。
勝てはしなかったけど。
反省点も多いけど。
協力してくれる大勢の人がいる。
翌日、エイリスの元、俺は正式にゲーニィ・テンス見習いとなった事が決定、各町に通達された。




