覗くモノ
印象に残っている思い出がある。
私が6際の頃の話。リビングで一人にいるときに廊下から視線を感じた。ふと見ると、世界的に有名なネズミのキャラクターにそっくりな顔が半開きのドアの隙間からこちらを覗いていた。
顔の位置が限りなく天井に近いのが怖くて、窓の方に目をそらすと、その後は見えなくなった。
大きくなるにつれて、あのとき見たものが霊と呼ばれるものなのかと恐ろしく感じたり、幼少期に有りがちな妄想だったのかと恥ずかしがったりとあの時に見たモノの正体を自分なりに考えていた。
すっかり大人になり、あのモノの正体については小さい頃の妄想ということで答えを出していたが、先日、幼なじみ達から不思議なことを聞いた。
あのモノを彼らも見たことがあるという。シチュエーションは全く同じでリビングにいるときに覗き込まれたとのこと。
きっと幼い頃に私が話した内容を彼らが混同して記憶してしまったのだと思いたい。もしそうでなければあの見てきたモノは何だったのだろう。何のために私たちを覗いていたのだろう。