第9幕:締まりがない
オチが弱すぎる!
悔しい!(くやしい)悔しい!(くやしい)悔しい!(くやしい)だがこれでいい!
フュリーは例の一人を警戒しつつ全ての事を話した。当然、護衛のメンバーからは非難された。とは言え、敵の狙いが依頼主だという点が判明した事と、その敵を恐らくシュートが何とかしたことを告げるとそのままシュートと合流しようという流れになった。
「まだ完全に信用するつもりはない。ただ、君が実際に依頼主(商人)を守ったことや、なぜあんな狂言まで行ったかの理由は説得力のあるもだった。だから、真実を明らかにするために彼に合流するという判断をしたまでだ」
リーダーがそう言う。正直、話が分かる人で良かったとフュリーは思った。この状況で自分を信用するのはかなりのリスクだからだ。
「ええ、それで構わない。警戒してもらって大丈夫」
そう告げるとシュートの捜索を始めた。すると、向こうもこちらを探していたのかすぐに合流できた。彼は簀巻きにした犯人を横に転がすと座って今後どうするかを私達に聞いてきた。彼曰く、情報を引き出すのは無理だったとの事だ。拷問をするかも考えたらしいのだが、彼は今までそういった血生臭い環境にはいなかったそうで、正直にいってやるのに躊躇してしまい出来なかったと白状した。
「――という訳で、敵を欺くにはまず味方からという考えでやりました。申し訳ございません」
シュートがそう言って深く頭を下げる。事の経緯を説明した後、彼は一人一人に頭を下げて回った。場の混乱や敵の炙り出しを行う為とはいえ、毒を盛ったことは紛れもない事実だからだ。それに関しては止めなかった私も同罪なのだが、自分が立案したと言って私をかばったのだった。
「とりあえずは、このまま街へ行こう。憲兵に引き渡して領主の判断に任せるしかあるまい」
こうして簀巻きにした暗殺犯を監視しながら街まで向かうことになり、何事もなくたどり着くことが出来た。結局、もう一人の容疑者は無実だった。終わってみれば茶番の割にはあっさりとした結末だった。その後、憲兵に犯人を引き渡して、商人からボーナスを支給してもらい、護衛は解散になった。
シュートが街やギルドの説明をして欲しいと言ってきたので、翌日ゆっくりと説明をすることになった。
「それじゃ、わかる範囲で一通り教えてくれ」
そういわれたので、冒険者ギルド、武器屋、道具屋、憲兵詰所、商業ギルド、魔術ギルド、領主屋敷前、広場など街中を順番に回ることになった。私もこの街に滞在したのはシュートと出会う前のギルドの仕事の準備で訪れただけなのであまり詳しくはないとは念のため伝えておいた。彼は行く先々の場所を知っている範囲で教えてくれればいいと答えた。
とり急ぎ、冒険者ギルドに顔を出してに私の無事と仲間たちへの連絡をお願いしておいた。彼らは、直ぐに私を探しに出てくれていたようで、今は街にいないとの事だったが、私が自力で帰ってきたときの事を考えて連絡用の魔法道具と伝言をギルドに伝えておいてくれていたのだ。伝言はすぐに帰るのでギルドで待機していて欲しいというものだった。私はギルドに近場の宿屋に泊まっていることを告げておいた。
一通り案内し終えた後は、一緒に食事をとって解散となった。翌日、急いで仲間が戻ってきてくれたようで驚いた。このまま次の仕事に行くというので、シュートに別れの挨拶をして街を出ることになった。
「ものすごい、急だな。まぁ、その色々と助かったよ。もしどこかであったらそん時はまたよろしく頼む。俺もとりあえずは冒険者になる予定だ」
そう言って彼と別れた。しかし、彼とは必ずどこかでまた出会う。そんな予感をひしひしと感じていた。
「フュリーネア様、ご無事でよかったです。本当に心配したんですからね。あなたに何かあったら私達は……」
「心配をかけた。だが、街中でその名前を呼ぶのはやめてくれ。今はただの冒険者フュリーだ」
迎えに来た仲間の少女にそう窘める。
「も、申し訳ございません。しかし、あの別れの挨拶を告げていた男性はどなたですか? まさか私たちとはぐれている間にメイクラブでもしたんですか!?」
興味津々で聞いてくる彼女が微笑ましくもあり、すこし鬱陶しくもある。まぁ、私も年頃の女性なのだから色恋沙汰に興味を持つ気持ちは分からないでもないが……
「彼とは一緒に遭難してしばらく行動を共にしただけだ。あと、敬語も使わなくていい。今は冒険者仲間だろう」
冒険者をすると言っていたし、彼とはまた出会うだろう。なによりすぐにAまで上がって来るとフュリーには確信があった。再開するその時が楽しみだ。こうしてフュリーたちは街を出た――
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俺はフュリーと別れを告げるとすぐさま行動を開始した。昨日、フュリーから街の事や世界の事を色々聞けたのは大きかった。この世界の常識を知らな過ぎたのはかなり怪しまれてはいたが、何となく事情を察して聞かないでいてくれた。本当にいい人だ。まずは目的地を目指して歩きながら情報を整理してみる。
まずはこの街ミスルだ。トロメラ王国の外れにあり、未開の地に一番近い為、冒険者が多く訪れるそうだ。ちなみにトロメラ王国と言うのはこの世界の4大国家の一つで、他にノイレス共和国、フューネル連邦、ディヴェルト帝国と言うのがあるらしい。一番長い歴史があるのがこの王国だそうだ。リヒト教という宗教が根差しているそうだ。その未開の地と言うのが、まだ人がその先を歩めていないとされる大地らしく、様々な利権が眠っていると冒険者、商人、ギルド、国家、教会すべてが目を付けているらしい。そんな大地の近くの街なので、冒険者業や商業も盛んという訳だ。
なんてことをおさらいしていたら目的地に着いた。俺は武器屋の前に立っていた。というのも、元々食料や土地勘がないから無償で護衛という形でついて行かせてもらったのに太っ腹な商人がボーナスもくれたのだ。おかげで宿代賄えただけでなく、他に使っても大分余裕があるなーとなった。そうなるとやっぱりあれしかない! 武器だ! という訳だ。今までありがとう沢山の犠牲になった木刀たちよ。君たちの事は忘れない。俺は意気揚々と店の扉を開いた。
がんばりましゅ




