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第8幕:楽しんでる?

今日も2話投稿します。

盛り上げられなかった気もします。

 

 シュートを追って進む私達は道中に打ち捨てられていた荷物と地面や木々の大きな傷跡を見つけた。やられてしまったのではないか? そういった不安が私の中を巡った。


「何かトラブルでもあったのか? 荷には一切傷がついていないが……あいつはどこに逃げたんだ?」

 リーダーがそう口にする。追おうと護衛の皆は満場一致で団結するが、商人はNOを出す。


「ダメだダメだ! 折角、荷も無事なのだからこのまま街へ行くぞ」

 そう言って追跡を許可しない。すると、私が犯人だと疑っている人物が口を開く。


「仮にこのまま無視しても、生きていればまた襲撃を掛けてくる可能性があるのでは? せめてヤツの生存確認だけでもしておく方がいいかと……」

 などとぬけぬけと語る。それにリーダーや護衛の皆が頷く。こういった状況の場合、私も追わずに街へ向かうのが正解だと思うが、この茶番を用意した側の私としては追ってくれる方がありがたい。他の皆と同じように頷いた。


「むぅ、確かに、また何時分からぬ時に襲撃をされても防ぎきれないかもしれない。」

 渋い表情で許可を出してくれた。しばらく進むと驚愕の場面が私の目に映った。




 * * * * * * * * * * * * * * *




 俺は、何本目かもわからない木刀を鎌の付け根に突き立てる。何度も同じ場所を攻撃したおかげか、外皮が脆くなっており、幾つかの木刀が刺さっていた。かれこれ30分以上も戦っていたが、一切疲れを感じない。寧ろ長引けば長引くほど、技術や経験が物凄い速さで蓄積されていく感覚さえ感じる。こちらも無傷という訳ではなく、避けた際にほんの少し掠ってできた切り傷が無数にあり、そこから血が垂れていた。


 俺はさらに一本、木刀を突き刺すと負荷に耐えきれなくなったのか鎌の根本がへし折れる。カマキリは痛みでもがき苦しんだ。鎌がへし折れてダランと垂れ下がったせいで動きが物凄く遅くなる。的にしてくださいと言わんばかりの速度になった。今度はもう片一方の鎌の根本を攻撃しようとするが、カマキリも馬鹿じゃないのか警戒が強くなっている。だが、機動力が下がり過ぎていてこちらの攻撃を避けることは出来ない。ガンッと鈍い音が響く。カマキリはこのままだと避けられないと学習したのか自身の折れた鎌を切り落とした。


 これを見て俺は核心した。()()()()()()()()()()()()()()()()()のだと。俺は、切り落とされた鎌を回収して構えた。サイズ的にはフュリーが使っている大剣より少し大きいものだろうか? やっとまともな得物を得られて、少しテンションが上がる。いや、戦いが始まった時からテンションが上がり続けている。異世界にきてからまだそんなに立っていないが、こういうのが醍醐味だというのを今この状況で楽しんでいるからだ。俺はこんなに子供だったのか? 中二病は卒業したつもりじゃなかったのか? 後どのくらいで敵を殺せるだろうか? こんなに早く殺し合いに慣れてきて頭がおかしいんじゃないか? フュリーはうまくやっているか? などといろいろな思考が頭をぐるぐるしていた。


 カマキリが再び攻撃を開始してくる。俺は鎌を持ったままでどのくらい動けるのかを確認する。もし、機動力が大幅に下がるようならば、相手の隙を作ってその際に鎌を使っていくしかないが、たいして変らないならば、これをもったまま攻撃を避けてぶち込んでいけばいい。俺はそう判断し、鎌を持ったまま攻撃を避けてみる。少し機動力は落ちるが、問題なさそうだ。敵に捉えられる程遅くはなっていない。そのまま鎌の付け根の部分を鎌で切りつけた。3分の1程、刃がめり込んだが、そこまでだった。先ほど、自分で切り落とした際は、ダメージがあったからできたのだろう。俺は急いで得物から手を放して距離を取った。




 * * * * * * * * * * * * * * *




 目の前には凄まじい数の木刀がへし折れて打ち捨てられていた。私は一瞬でシュートの物だと理解した。しかし、どうやってこんな数の木刀を用意したのか? 事前に用意していたならばどこにしまっていたのか? そういった疑問もあったが、それよりもここまで木刀がダメになる程に敵が出たのか? もしくはそれほど強敵なのか? といった不安の方が強かった。彼は無事なのだろうか? すると少し先から物凄い戦闘音が聞こえてくる。かなり大きな敵のようだ。


「ア、アーマーマンティスと戦ってるぞ! あいつ」

 そう言って護衛の一人が指をさした方向をみると、アーマーマンティスの鎌を両手に持って切りつけているシュートが目に映った。 


「馬鹿な!」

 そう言って犯人だと疑っている者が信じられないといったように彼を見ていた。そして慌てて口を開いた。


「今がチャンスだろう。奴を始末すべきだ!」

 そういって護衛を煽り立てた。私はそれを否定すべく疑問をぶつけた。


「今、彼を始末すれば、魔物の意識はこちらに向く。彼を捕まえたり、始末するならば、魔物を倒した後にした方が良いだろう。寧ろ、倒すのを待って消耗してからの方が良い」

 私がそういうと犯人候補は慌てて口を開く。


「アーマーマンティスをサシで戦うような奴だぞ! ここにいる連中全員でかかってもどれだけの被害が出るか分からないだろう。奴の意識が魔物に向いている今が一番被害が少なく制圧できる」

 かなり慌てているようなので、そこをついていく。


「そもそも、事故に見せかけて私たちを始末したかったのだから、この状況は望まないので撤退するのでは? 仮に敵として襲い掛かってきたとしても、先程も言った通り消耗するはずだし、数が多いこの状況なら隙が付ける」

 ちょっと苦しいか……? 我ながら無理くりくくっている気がするが、ここは押し通すしかない。これ以上は敵もボロをださないだろう。後は周りがどうでるか……


「私は彼女に賛成だ。例えアーマーマンティスを一人で始末するような猛者でもこの人数で、しかも消耗状態なら、簡単にやられないとは思う。私もBランク冒険者の端くれだ。瞬殺されるわけにはいかない」

 そう言ってリーダーが私に乗ってきた。こっちに流れが来てる。このまま押し切ろう。


「そもそも、彼が怪しいと思ったのなら何故、早くそう言わなかったんだ? これは勿論、私にも当てはまるが、私は先ほど述べたように彼に直接問いただして思いとどまるように説得したのだが……」

 揺さぶりをかける。


「い、いや俺は確証がなかったから言い出せなかったんだ。なにより仲間を疑うなんて嫌だろう?」


「食事を食べなかった件は? 疑ってはいても確証がなくて周りには報告しなかったのならば一応は信用するという判断をしたんだろう? 何故、食事をとらなかったんだ?」


「それは逆に俺が君に聞きたいが? 何故君は食事をとらなかった?」


「私はああいったが、彼は切羽詰まっていると思っていた。もし私の忠告を無視して事を起こすなら今日以外ありえないだろう。念のためと言うやつだ。結局、その念の為が功を奏した訳だが……」

 カマを掛けてもボロは出さないか……とは言え怪しさを醸し出すことは出来たか……次の一手を責めてみるか……


「君は彼の仲間なんじゃないのか?」


「ば、馬鹿な事を言うな。俺に何のメリットがあってこんなことをするんだ。」


「さぁ? ただ積み荷を売って稼ぐことでも考えたんじゃないのか? わざわざ事故を装って始末するつもりだったのだろう。そうすれば積み荷をちょろまかしても疑われないからな」


「ふざけるな! 俺がそんな事する理由はない」


「落ち着け! 仲間内で揉めるな。今はマンティスと戦っている奴をどうするかが先だろう」

 リーダーが我々をたしなめた直後、ズドンという音とともにアーマーマンティスの首が切断された。正直信じられないものを見ている気分だ。アーマーマンティスはその硬さ故に魔法で殺すのがセオリーとなっている。それを物理で仕留めるとは……。私と訓練していたシュートは確かにものすごい成長をしていたが、これほどではなかった。まして武器は木刀だった。いったい何が起こっているのか?


「チッ、追いつかれちまったようだな。まぁいい。ここで始末しちまえば同じだ」

 シュートがそう口を開いた。悪役のセリフじゃないか! 私はそう言いたくなったがグッとこらえる。敵はまだボロをだしていないこの状況は最悪だ。


「このクソ野郎! てめぇのせいで俺が疑われてんだよ! グルだってな……」

 容疑者がそう口走る。


「へぇ、そいつはまたなんでだ?」


「てめぇの飯を食わなかったからだとよ! 俺は元から怪しいと思ってたんだ。だから食わなかったってのに」


「どこが怪しかったんだ? 今後の参考に詳しく教えてほしいんだが? というかお前ら武器を構えなくていいのか?」

 シュートの阿呆め、煽ってどうする。この混乱した状況をどう収集を付けたらいいか私は分からなくなっていた。


「お前がこの女と耳打ちした時だよ! 俺はこの女とお前がグルだと思ってる。」

 そう言って容疑者と護衛の皆は武器を構える。


「元から怪しいって思ってたのに、彼女が俺に耳打ちしていた場面を見ても誰にも報告しなかったのか? リスク管理がガバガバなんじゃないか? とは言えこの人数相手じゃ分が悪い。ズラかるぜ」

 そう言って私に目配せした後、何かを投げつけた。するとあたり一面が煙にまみれた。私はすぐさま商人の元へ駆け寄る。するとどこからともなく攻撃が飛んできた。


「ひぃ」

 攻撃をはじいた後、悲鳴を上げる商人に静かに耳打ちをする。


「大丈夫です。私が貴方をお守りします。今回の件で敵の狙いがはっきりしました。敵の標的は貴方です。」

 煙が晴れると容疑者とシュートが居なくなっていた。商人に、シュートが狂言で悪役を演じて敵の炙り出しを行おうとしていたことを説明した。彼はいきなりそんなことを聞かされて真っ青になっていた後、騙したことに対して憤慨していた。私が攻撃から守ったのを見ているのである程度の信頼はしてもらえた。私は容疑者とペアを組んでいた人を警戒しつつ場の混乱を収めた。





応援ありがとうございます。

誤字脱字やおかしな文章、矛盾している点があったらご報告いただけると幸いです。

感想もお待ちしております。

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