第7幕:裏切り者
視点がころころ変わって読みづらいかもしれません
これ以上の文章は僕にはまだむずかしかったんです
今後に期待……できるのか?
俺は食事にフュリーから聞いた毒草を混ぜて提供した。この毒草はしばらくの時間、身体の自由を奪うというものだ。麻痺といった方が分かりやすいかもしれない。そして全員が食事を口にしたのを確認し、少し時間をおいてから立ち上がり、役者ががかった口調で護衛達と商人に向けて語る。
「皆、今晩の夕食は美味しかったかな? その夕食には毒草を盛らせてもらった」
そう言うとみんな驚いた顔をしてこちらを向く。
「な、なにを言っているんだお前は!」
そうリーダーが言う。その後、商人や仲間たちも続く。
「そろそろ身体に異常を感じないか? 特性のしびれ薬なんだが……」
すると皆が次々に倒れ始めた。俺はバレないようにコッソリとスマホの画面を一人一人くっつけた後、縛り上げていった。
「このゲスやろう! 今回の襲撃も全部てめぇの差し金か!」
護衛の一人が俺に向けてそう叫ぶ。
「そうだ。中のブツに用があったのでな。バレないようにやるのはなかなか骨が折れたが、無事にここまで来てしまった以上、なりふり構っていられないだろう」
これは本当の事だった。恐らく、相手は切羽詰まって何かしてくると考えていた。だからこそ先手を打つことにしたのだ。それと同時に俺のこの発言に反応するかどうかも同時に確認していた。
「ア、アナタハワタシモダマシテイタノカ?」
ちょ、フュリーさん! もうすこしマシな演技をしてくれ……。大根役者過ぎる。マジでバレないかこれ? いきなり不安が押し寄せてきた。そう思いつつも全員に目を向けて怪しい行動している奴がいないか確認していく。残念ながら態度には出ていなかった。そこまで敵も馬鹿じゃないって事か。
「では荷は俺が頂いていく。もう会うことも無いだろう。せいぜい魔物に襲われないように気を付けるんだな」
そう言って俺は荷をすべて引いて暗い夜の森に消えた。しばらく進んでいると、俺のいる場所に魔物の襲撃があった。
* * * * * * * * * * * * * * *
私はとても不安だった。3週間程という短い期間だが、シュートと行動を共にしてきた。私の彼に対する印象はマジメで気のいい青年だった。出会った当初の遭難でも集めてきた食料に下剤の材料が入っていた事を黙っていればいいのにわざわざ謝罪に来たのだ。そもそも、私はお通じが良くないので、実はあの時、お腹が緩くなってテンションが上がっていたのだが、それは乙女の秘密である。
そんな彼が今回のこの襲撃の件で悪役をわざと買ってでて、本当の黒幕をおびき出そうと言い出した時はとても驚いた。彼はとても才能のある人間だとは思ったが、経験も浅く、なにより実力もまだ低かった。その成長速度は確かにものすごいものを感じたが、現状、良くてCランク上位、策を弄してBランク底辺と戦えるかもしれないといったレベルだったからだ。それにこの作戦に乗じて敵が目的を達成してしまう可能性や逃亡を許してしまうかもしれない。せめて相手の目的が何かわかっていれば……そう思ったが、他に手があるわけでもなかった。だから、私は彼の案を蹴ることが出来なかった。
「みんな大丈夫か? 身体は?」
そう言って護衛の皆と商人の安全を確認しているふりをする。本当の目的は敵が不審な行動をしないか確認をすることだった。相手の目的が荷ではなく商人だった場合は私が始末しなければならない。相手は荷を奪うにしろ、商人を始末するにしろ事故に見せかけて処理したいようなので、この状況だったら動く可能性は高かった。
「まだ、身体が痺れている。フュリー君、きみは大丈夫なのか?」
リーダーが心配してくる。私は、彼が黒幕なのではと怪しんでいたので食事をとらなかったという風に話を持って行った。
「先ほど、夕飯前に耳打ちで君が黒幕では? と直接聞いたんだ。我ながら浅はかだった。とは言えここまで苦楽を共にしたのも事実だったので、このまま何もしなければ見逃すつもりと言ったんだ。その結果がコレだ。本当にすまない」
すると一人の男が私に便乗してきた。
「俺もアイツが怪しいとは思っていたんだ。だから、俺も飯は食ってないんだ」
成程、コイツが犯人か……私に合わせてくるとは。恐らくは私と彼がグルなのは気づいてるはずだ。ここで乗ってくるのは彼を始末するために何らかのアクションをすでに起こしているからだろう。彼を始末した後で私も始末するつもりだろう。また、コイツとペアを組んでいた奴も仲間の可能性がある。私はこの二人への警戒を強めた。
「しかし、奴の狙いはなんだ? 積み荷にそんな重要な物は積んでいないと聞いているが……そこら辺どうなんですか?」
リーダーが商人に問いただす。
「いや、本当に知らんよワシは!」
恐らく本当だろう。なにが目的なのかわかってない様子。とするとやはり目的は商人か? とりあえずは麻痺している者を解毒して、シュートを追うことになった。
* * * * * * * * * * * * * * *
「なんか強そうなのが出てきやがったな。超コエー」
彼はそんな軽口を独り言でつぶやきながら魔物を見上げた。巨大なカマキリである。しかも身体が鋼のごとくテカテカと煌めいていて、とても堅そうだ。
シュートが対峙していた魔物はアーマーマンティスと呼ばれるカマキリの魔蟲の一種である。その強さはBランクの最上位で、身体は非常に硬く、鋼並みだとも言われている。Bランク冒険者がチーム単位で当たらなければならないほどの危険なモンスターだった。
しかし、シュートは不思議と全く怖くなかった。それどころかワクワクしてさえいた。
「なんでだろうな。本当ならきっと怖くて仕方ないハズなのに、全然怖くない。寧ろ何故かワクワクしてくる。お前が強そうって感じるからなのか?」
答えてくれるはずもない魔物に語り掛ける。寧ろ彼はどこか余裕もあった。なぜなら、一撃で死ななければ、神の奇跡を使用する事も出来たからだ。
アーマーマンティスが腕の鎌を振り下ろしてくる。かなり素早い動きだが、シュートはそれが危険には感じなかった。ここ2、3日、毎日数回に渡って襲撃してきた魔物の群れと戦う度に、彼は自分が研ぎ澄まされていくのを感じていた。その積み重ねがカマキリの攻撃を脅威に感じさせなくしていたのだ。ギリギリまで引き付けて避けた後、スマホの画面で触れる。そして出てきた図鑑を開いて、距離を取る。図鑑を確認して弱点になりそうものや部位を探しながら攻撃をいなしていった。
「忙しい作業だなクソ!」
シュートはそう言ってスマホをチラ見した後、すぐさま敵を見る。油断すると一瞬でスパッといかれるだろう。彼は何度かスマホを見ては攻撃を避ける事を繰り返し、そうして目的の記述が見つけれられた。"関節部分は他の部位に比べると弱い"他の部分に比べるとという所に引っかかるが、それしか手がない。鎌を振り下ろした後の隙をついて鎌の付け根の関節を思いっきり木刀で突く、するとガキンッと鈍い音がした。得物に負担が少ない攻撃方法を取ったにもかかわらず、一発で折れてしまったのだ。ダメージは多少はあるが、アーマーマンティスにはまだまだ余裕が見られた。シュートはスマホのアプリを音声認識でクリエイトに変更し、アーマーマンティスがなぎ倒した木をスマホにくっつけ、材料として木刀を大量作成させた。これらを全部使って腕の鎌を一本もらうという作戦に出た。
こうして、シュートとアーマーマンティスの戦いは続いていったのだ――。
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