第6幕:初陣
初戦闘です
訓練はかなり実を結んだ。木刀が何十本もダメになる程の剣戟を彼女相手に行えるようになったのだ。また、木刀を何本も作ってる内に、スマホのクリエイトに木刀の欄がいつの間にか出来ていた。その為、時間を無駄にせずに訓練が出来たのだ。彼女は途中、男衆との狩りに同行したりと常に訓練にべったりではなかったのだが、俺の成長速度に驚きと称賛をおくってくれた。
フュリーと訓練を始めてから5日後、行商人が村へとやってきた。俺たちは村長達に礼を告げて行商人達と一緒に街へと向かうことになった。行商人は元々、護衛を兼ねた荷物の運搬係を数人雇っていたが、俺達が無償でいいので街に行くまでの護衛に使ってほしいとお願いすると快く許可してくれた。なんでも、多くの荷物を運搬する関係上、護衛兼輸送係は多いに越したことは無いのだとか……。
食事と寝ずの番は当番制で二人一組で行う事となっていた。元々は4人の護衛だったので、1交代だったのだが、俺達が増えたことで2交代になり楽になったと喜んでいた。それから数日間、当番制で仕事をしながら道中を進んでいった。
あと2、3日で街に到着するという所まで来た頃、護衛ペアの一つが魔物の群れを発見した。護衛に就いて初めての魔物との遭遇に気を引き締める。相変わらず得物は木刀のままだったが、力任せに叩きつけるのではなく、いなしたり急所を突いたりすることで、木刀への負担が少なく攻撃することが出来るのも使用して行くうちに学んでいたので恐らく大丈夫だろう。できれば早く正式な武器が欲しいが……。
「フォレストウルフだ! 群れの数は15! 散開して荷物と依頼主を囲め!」
護衛のリーダー格の男が指示を出す。俺達は指示通り散開して荷物の周囲を囲むように陣形を作る。この陣形だと一人で2、3匹相手にする必要があるな……。俺は緊張していた。このフォレストウルフは俺が転移してきたときに追っかけられた魔物である。それにまだ、しっかりと生き物と認識できるような魔物を殺したことは無かったからだ。
「2、3匹程度ならCランク冒険者でも戦えるから大丈夫!落ち着いて」
フュリーはそう言って俺の初戦闘の緊張をほぐしてくれた。俺はゆっくりとウルフを確認すると木刀の先をくるくると揺らし始めた。ウルフはその動作に多少の気を取られて注意が散漫になっていた。その隙をついて小石を思いっきり蹴り飛ばして一匹にブチ当てた。あまりの威力に気絶している。俺が相対している残りのウルフは隙をつかれて冷静さを欠いたのか飛び掛かってきた。その動きはとてもゆったりしたように俺には感じられた。足をつかみとってもう一匹の飛び掛かってきた方へ叩きつける。地面に転がったウルフにそのまま木刀を振り下ろした。残りの一匹の首元にも木刀を振り下ろした。ボキッという骨が砕けるような音が聞こえて完全に息絶えた。3匹のウルフを仕留めたが、正直気分が悪くなった。ただ、殺らなければ殺られていたのだ。こうして俺の初戦は完勝に終わった。
気が付くと周りの護衛もウルフとの戦闘を難なくこなしていた。フュリーに至ってはウルフを瞬殺した後、俺が心配で観察していたようだ。戦いが終わり、ウルフの血抜きを行って、剥ぎ取れるものはすべて剥ぎ取った。毛皮、骨、肉etc……。俺もコッソリ死体にスマホを当てて図鑑の拡張を行った。その日の晩飯は喉を通らなかった。
フォレストウルフの襲撃を受けた日から、魔物に毎日複数回、襲撃を受けるようになった。ゴブリン、ナイトバット、デュエルボア……etc。どれも群れ全体でBクラス、2、3匹ならCクラス冒険者で難なく仕留められる魔物らしい。俺は都度死体にスマホを付けて図鑑を拡張した。恐ろしいもので、俺は数回目にして魔物を殺すことに慣れてしまった。いや、慣れざるを得なかったというべきか? しかし、こんなに連続で魔物に襲われるだろうか? 夕食時に非常に疑問に思っている事が、周りからも意見として上がってきた。明らかに作為的な何かを感じると……。とは言え、相手の思惑が見えない為、こちらから仕掛けることもできなかった。幸い、明日には街に到着できるらしく、警戒を怠らなければ大丈夫だろうと意見はまとまったのだ。
「シュート、すこし時間をもらえるか?」
そう言ってフュリーが声をかけてきた。構わないと答えると耳に顔を寄せてきた。かなりドキドキしてしまった。直後……
「この中に裏切り者がいるかもしれない」
そう言ってきたのだ。その一瞬で俺は今の状況をしっかりと把握した。確かに襲撃が的確過ぎたのだ。魔物をけしかけて襲撃してきている敵がいるのは分かる。しかし、ここまで正確にこちらの位置を把握して攻撃してこれるだろうか。まして、離れた位置から魔物を当ててきているのだ。場合によっては魔物がこちらと遭遇すらしない可能性もあるのではないだろうか? にもかかわらず、毎日一定の群れに襲撃された。この事実がこの中に裏切り者がいるという可能性を大きくした。俺とフュリーは裏切り者を炙り出す為に揺さぶりを掛けてみることにした。
話進まねぇw
あ、応援ありがとうございます




