第18幕:面接
少しずつネームドキャラが出来ましたが、全体的に絡みが薄いです。
楽しみにしている方、申し訳ございません
翌日、早速マスターから連絡があった。すぐに出発かと思ったが、どうやら違うようだ。急ぎギルドへ来て欲しいとの事で向かう。
「おう、悪いな。呼び出しちまって。ただ、重要な事なんだ」
「なんだ? 重要な事って」
「王都までの護衛の件、依頼主が、クエスト志願者を直々に面接をするって言いだしてな。どうやらそれに受からないと護衛役を受けられないようなんだ」
面倒な話だ。ぶっちゃけ、一人で王都まで行くのはリスクが高いし金も掛るから複数人で行きたいというのが大きな目的だった。とは言え、それだけの為にチームを組んでくれる奴はいないし、護衛を依頼すると金が掛かりすぎる。その為の護衛参加だったわけだが、ここで面接に落ちるとかなりの出費をして王都まで行くしかなくなる。不安だ……。
「とりあえず、ギルドの応接室で待っている。護衛任務に応募している者を順番に呼んでいくから自分の番が来たら中へ入ってくれ」
「分かった」
面接なんて前の世界での入社試験以来だが、大丈夫だろうか……? 落ちた時の計画や掛る金の計算などをしながらソワソワしていた。正直、こういう待ち時間が一番苦手だ。なんて事をぐるぐると考えているうちに俺の番が来たようだった。こういう場合はノックでいいのか? この世界でこういった格式ばった会い方した事が無かったから知識を入れておくのを失念していた。まぁいい、出たとこ勝負だ。俺は3回扉をノックして応接室に入った。
「失礼します」
「初めまして、どうぞおかけになってください」
とてもきれいな女性だった。俺はさらに緊張してしまう。こ、こ、こ、ここんな美人な人が相手だったとは。フュリーも美人ではあったが、健康的なスポーツ美人といった感じだった。しかし、この人は住む世界すら違うと見せつけてくるような美しさだった。め、女神か……。俺は頭の中で叫ぶチンチクリンのイメージを隅に追いやった。
「は、初めまして、シュートと申します。あなたが依頼者の方でよろしいでしょうか?」
「はい。私が今回、王都までの護衛をお願いした、マリア・リム・エルミナ・フォン・アウグステンと申します。以後、お見知りおきください」
「あの、こんなことをこの場で聞くのは大変失礼且つ間違っているとは思うのですが、気になったので、お答え頂けるようであればお答えください。まず、私の入室までのマナーに問題はなかったでしょうか?」
「はい。とても丁寧でしたよ。冒険者の方はあまりこういったマナーにお詳しい方はいないと聞いておりましたので少し驚きました」
「はぁ、ならよかったです。こういったことに疎かったものですから……。もう一点、なぜ依頼者であるあなたが私に敬語をお使いになるのでしょうか。本来、面接と言うのであればここまで丁寧な敬語を使う必要はないのでは? 寧ろ、先程あなたが述べたように冒険者はマナーに乏しいものも多い。逆に舐められる可能性すらあったのでは?」
「面白い質問ですね。ですが、私のこの話し方は物心ついたときにはすでにこのような敬語でしたので他意はございません」
「そうでしたか……大変失礼致しました。では最後に何故、護衛がいらっしゃらないのですか? あなたの身なりを見ると高位の貴族の方であるとお見受けします。あなたのような方が護衛を付けてないというのは不思議で仕方がありません。高位の身分であればあるほど様々な理由から命を狙われる可能性や誘拐される可能性があると思うのですが……」
「ふふふ。とても面白い方ですね。冒険者の方は依頼主のバックボーンなどよりも報酬の大小の方が気になる方が多いと思っていましたが……」
「まぁ、それも興味が無いわけではないですが、万が一何者かに命が狙われることや誘拐されるといった可能性もありますから、そこら辺の背後関係が気になったというだけです。最近、似たようなことがあったばかりですので……」
「そう言った理由でしたか。しかし、私に護衛がいないというのは少しだけ語弊があるかもしれません。一応いますよ。護衛という括りではないですが……。しかし、彼女一人だけで道中の私の身の安全を守れるか分からなかったものですから、今回はこのように募集させていただいたという訳です」
「成程、女性の二人旅というのは確かに危険ですね。寝ずの番も一人だけでするのは厳しいでしょうし……。しかし、来るときはどうなさったんですか? また王都かどこかで護衛を雇ったのですか?」
「ミスルに来るときは、親戚の護衛の者がおりました。こちらに帰還する途中でしたのでご一緒させていただいたんです」
「そうでしたか。というか、私ばかり質問してしまってすいません。本来あなたが私に質問するはずでしょうに……」
「ふふふ。本当に面白い方ですね。そんな事、お気になさらなくてもよろしいですわ。入室時点でダメな方は即お断りさせていただいておりますの。つまりこうしてお話をしているという事は、審査をしているのと同義ですからご心配なく。しかし、そろそろ次の方のお話も聞きたいですね。逆に質問をたくさんされたので答えているうちに時間が大分無くなってしまいましたし……」
「そうでしたか……ハハハ。それでは失礼します。ありがとうございました」
あっぶねぇ、ノックのマナーがこっちにもあってよかったよ。しかし、俺は何考えてるんだ。テンパってたとは言え、審査する側の依頼主に逆に質問しまくるとかアホか……。ダメだこれは落ちたな。金貯めて護衛雇うか……。俺は気持ちを切り替えて宿に戻ったのだった。
* * * * * * * * * * * * * * *
「お嬢様、どうでしたか?」
そう声を掛けると同時にメイド服を着た女性が天井からするりと降りてくる。
「あら? レベッカさんいましたの?」
マリアは驚きもせずにレベッカと呼んだ少女を見る。
「私はお嬢様のおそばにずっといますよ」
「ずっとって、お風呂の時もですか?」
「時もです」
「お手洗いの時も?」
「時もです」
「聞きたくありませんでした」
「何かあっては困りますから」
下らないやり取りからも分かるように彼女たちは強い主従関係・信頼関係で結ばれているようだ。
「冒険者の方たちとお話をしましたけれど、どの方たちもお金の事しか頭に無いようでした。私が丁寧に対応すると世間知らずと思ったのか、自身の売り込みと値段交渉ばかりしてきましたわ」
彼女はうんざりといった感じでイーッとした表情をレベッカに見せる。レベッカはそれを見てニコニコしながら、答える。
「フフッ、そのイーッとした顔もお美しいです。お嬢様」
「そういうの返しを求めていたのではないのですけれど……」
そう言いながらもレベッカの返事に喜んで見せるマリア。すると、本題とばかりにレベッカが切り出す。
「では、護衛は雇わないという事でよろしいでしょうか? 僭越ながらこのレベッカお嬢様の護衛程度、一人で遂行して見せます」
「それはつまり私の護衛なんか大した仕事ではないということでしょうかレベッカさん?」
少し意地悪な返しを楽しそうにレベッカにして見せる。
「いえ、大切なお嬢様を訳の分からない輩に護衛させるよりも私が馬車馬の如く働いて必ずお守りして見せます。最悪、お嬢様だけは必ず生きてお逃がしして見せます」
「ふふふ。それではレベッカさんがお休みになる時間がありませんね。死んでしまいます。困りますわ、私のたった一人の専属メイド兼護衛なんですから……」
本来、貴族は数人の侍女や護衛を持つものが多いのだが、マリアにはレベッカ一人しかいないのだ。そう、レベッカ一人いれば良いのだから……。
「大丈夫です。一人だけとっても素敵な方がいらしたの。お話していてもきっと楽しいと思うわ。だから彼を雇うことにします。道中楽しみですね……」
「お嬢様がそう決めたのなら私に異論はありません」
「では叔父様の屋敷に帰りましょう。後程ギルドには連絡を差し上げなければなりませんね」
マリアとレベッカは楽しそうに屋敷に帰っていったのだった。
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