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第17幕:冒険の準備

進まんかったとです。

展開は考えてはいるんですよ……(言い訳)


 敵の反応が消えてから街中を探し回ったが、カインは見当たらなかった。仕方なくギルドに向かうとクエストは失敗扱いなっており、報酬は無しかと思われたが、マスターがカインから伝言を預かっていた。


「アイツからは『捉えるのは難しかった。結果として失敗になってしまった。申し訳ない。ただ、報酬分の銀貨は用意させてもらったのでこれで勘弁してほしい。俺は次の予定があって街を出る。またどこかで会えるといいな』だとよ。ホラ、これだ」

 そう言って銀貨10枚の入った袋を渡してきた。しかし、サッサといなくなるとはカインめ……。どうやって暗殺者を攻略したか聞きたかったのだが、仕方ないか。それにいざ、捕縛できなくて殺すしかないとなった場合に俺がそこまで出来たか疑問だった。勿論、命の危険があるから最終的にはやるだろうが、トラウマになってたんじゃないだろうか? やはり、今までは生き物でも魔物だったが、今回は人だった。いずれは人との命のやり取りも割り切っていかなければならないのだろう。こうして様々な事を考えさせられた暗殺者騒動は幕を閉じた。


 その後、幾つかのBランククエストをこなした。盗賊団の捕縛、森の猛獣対峙、犯罪者の捕縛など、そこそこ金は稼げたが、どれも暗殺者より弱くてイマイチ経験を積むには欠けた。その為、俺はより多くのクエストが出される王都へ向かう事を決め、マスターに声を掛ける。


「マスター、王都に行こうと思うんだが、王都までの護衛クエストとか無いか?」


「なんだ? 行っちまうのか?」


「まぁね、正直、受けられるクエストにも限りがあるし、数もね……。あとは俺自身もう少し経験を積みたいってのもある。魔法を勉強したりとかさ」


「成程な。ここじゃBランクだと確かに限界があるだろうな。王都までの護衛クエストか……そうだな、数日待てるか?」


「なんかあるのか?」


「今、王都から来た貴族が領主館に滞在してるんだが、その人が数日後に王都に戻る。その護衛になら就けられると思ってな。正直、王都までの護衛ってのはあんまり無いんだ。ここへ来るのは冒険者か貴族か商人位だが、貴族や商人は自分の護衛を持っていたり、王都で往復分の護衛を用意しちまうのがほとんどだ。冒険者は自分で自分の身は守るからそういったものとは無縁であまりそういったクエストがないんだ。だが、今回の貴族はたまたま自身の護衛を付けていない変わり者でな。それで護衛クエストってのがあるって訳よ」


「成程ね。んじゃ、ソイツ受けさせてくれ。しばらく日数に余裕があるなら少し装備や道具を整えたり、世話になった人たちに挨拶して回ったりするよ」


「あいよ、日にちが決まったら宿屋に連絡員を飛ばそう」

 そういってマスターは俺にクエストを見繕ってくれた。正式な護衛クエストってのは初めてだな。前のはイレギュラーだったし、前みたいに依頼人が狙われるとも限らん。念のため、しっかりと準備しておこう。そう思い、俺は前々から購入を予定していた盾戦士タンク用の装備を購入することにした。そうはいっても、すでに大鎌と大剣というデカイ装備を二つも持っているので、あまりガチガチに固めると身動きが取れなくなる。正直、装備の持ち運びに関しても何とかしたところだ。


 武器屋に立ち寄り、装備の手入れをしてもらう。その最中に防具を見ていく。今のところは購入予定は大盾位か。装備の持ち運びがどうにかなれば、小手やら鎧も購入したいのだが、現状、これ以上ガチャガチャ装備を増やすと、動きが制限されてしまう。強い! 硬い! 遅い! てな感じで……いや、キライじゃないんだけどな。実際暗殺者との戦いのときも装備のせいで小回りが利かなかったってのはある。小型の武器も欲しい所だ。もっかい木刀使おうかな? とりあえず大盾だけ買うことにした。大剣に大鎌、大盾でなんか巨大なバックパックを背負ってるみたいだ。 俺は武器屋の親父に別れの挨拶を済ませると道具屋へ向かった。


 道具屋は最初にフュリーと来た時以来か……。ぶっちゃけこの世界の道具ってイマイチなんだよな。というのも、よくRPGで見かけるポーションやエーテルのような効能の薬は存在しない訳では無いそうだが、魔法技術の粋と希少な魔物の素材を結集して作成されるようで、そこらの木っ端冒険者が購入できるような代物ではないらしい。それこそ貴族や豪商位しか買えないとか……。じゃあ、何が売っているの? と思うが、食料品や救急道具、魔道具が基本だ。魔道具は、水を出す、火を出す、などの自然現象を引き起こすものから、通信機能を持ったものや、発光して灯替わりになるものなど、サバイバルを便利にするものが多い。しかも、使い切りの為、コスパが悪いのだ。それでも、長期でクエストに出る場合は重要になる物なので、意味は無いわけではないのだが、拠点を構えて活動する者にはあまり立ち寄る必要性が無い場所だった。


 今回は、王都までの護衛という事で長期の移動になるので準備をしておこうと立ち寄ったのだ。道具屋の店主に話しかける。


「長期の移動に必要になりそうな道具を適当に見繕って欲しいんだが……」


「野営とかもするって事でいいのかい?」


「そうなるな」


「そうしたら、干し肉とかの乾燥系の食料品と、火起こし、水起こしのできる魔道具、それからテント、連絡用魔道石、衣類の洗浄用魔法石、光源魔道石、野営中の警戒用トラップとか、緊急時の救急医療道具とかだね」

 こういう火起こしとかの魔道具は魔導士がPTにいれば必要ないのだが、今回は俺以外がどのような役割ジョブか分からないからな。念のため、購入しておこう。救急医療道具の中身は大きな切り傷が出来た時に縫ったりできる魔力が込められた針と魔力で出来た糸、後は軽微な効き目の薬草とかのようだ。荷物の量が半端ないのでやはりどうにかしたい。完全にポ〇モンに出てくるやまおとこみたいなバックパックになってる。俺は宿屋に戻って道具のチェックをしながらそう思った。まぁ、この問題は後回しにするしかないか。


 食堂で食事を終えると女将さんへ別れの挨拶を済ませる。この宿にもかなり世話になったな。結局ミスルの街には一月ほどの滞在だった。その間、女将さんと武器屋の親父と冒険者ギルドミスル支部のマスターにはかなり世話になった。全員にしっかりとあいさつを済ませた。後は連絡を待つのみだ。


 こうして一日を使って街を出る準備を行ったのだった。

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