出会い
喫煙所ではトラブルになりかけたリオ。
和解したとは言え気分は良く無い。
「遠出しようかな、気分転換で」
何となく口にしてみた。
「良いですね♪少し待っていてもらえたら準備して来ますよ」
「姉さん?」
「はい」
その呟きを拾う人物がいた。
「でも、排気量違い過ぎませんか?」
そう、姉さんの排気量は1000CCに対してリオの排気量は250CCなのだ。
さらにはオンロードとオフロードの差がある。
「流石に合わせますよ。先行お願いしますね。では準備して来ます」
「はい。私も準備します」
〜30分後〜
CBR1000RR-Rとハスラー250お互いの愛車に跨り暖気運転している2人のライダーが居た。
「遠出は心躍りますね」
フルフェイスヘルメットに革ツナギは同じなのだが、身長差がかなりある。
姉さんは164.8センチ。
リオは145センチ。
約20センチの差。
まるで親子のようだ。
「どこに行くか決まりましたか?」
「はい。ダム湖百選にも選ばれた所にしようかと思っています」
「良いですね。今が夏でないのが救いですね」
「はい、真夏の革ツナギは地獄ですもの」
「これを渡しておきますね」
姉さんはポケットから小さな無線機を取り出しリオに渡した。
「無線機ですか?」
「はい。これがあればお互いに連絡や雑談して集中力を維持出来ますから」
「流石ですね」
「では出発しましょうか」
「あ、出発の前に一応ナビに目的地入れておきますね。はぐれる事はないと思いますが、念のために」
「了解です」
お互いのナビに目的地を入れ、市街地を抜けて山道へ。
「気温下がりましたね♪目的地はもう少しですね」
「はい。目的地の前ですが休憩しませんか?」
そう言えばここまで約2時間半ほど走って来たのだが、無線機での会話が楽しくて休憩を入れてなかったのだ。
「そうですね。お喋りが楽しくて休憩忘れてましたね」
姉さんも休憩に同意する。
「この先に少し古いけど休憩所が有ります。そこで30分くらい休みましょう」
休憩所に着くと2人はヘルメットを脱ぎ革ツナギの前を開ける。