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action!~売れない役者の異世界生活~  作者: とみ
第2場 家族生活の始まり
44/47

その後のみんなと新メンバー×3

救出作戦の翌日。

怪我もなく運び出された俺は、ホームの2階でルルとお茶をしていた。

事の顛末は昨日のうちにシェスカに聞かされていた。


俺がエルロイファミリアの店に潜入した後、大きな荷物の出入りがなく、俺も出てこない事で、ギルドはエルロイファミリアの違法行為を断定。

被害者は同じ建物内に監禁されていると推定した。

屋根をひっぺがしてアリシアを中心とした強襲部隊が、シェスカを中心とした救出部隊が1階から潜入。

ずっとアリシアはプレーンだと思っていたが、猿型のミックスだったらしい。

怪力が特徴で、屋根の他にも、鍵のかかった扉など、全てを破壊しながら探索した。

俺達がいた場所にはアリシア達が先に到着。

アリシアが扉をひっぺがし、レンとランを救出した。


ユウキちゃんはそのままアリシアについて、ギルドの捜査に協力したが、俺はレンとランを連れて、シェスカと共にすぐに帰宅した。

2人はよほど外に出るのが恐ろしかったらしく、ブランケットを頭から被って全身を隠していた。

本当に小人型のミックスなんだなぁ、と納得したのは、2人を同時に脇に抱えても普通に走れるくらいの背丈だったからだ。

おそらく、俺の腰くらいだろう。


実は、今日になってもまだレンとランの姿を見ていない。

レンが駄々をこねたので、2人の作業道具、針や糸などは、シェスカにギルドの押収品の中から持ってきてもらい、2人の部屋の前に置いておいた。





「でも、本当にジルが無事で良かったよ」

「心配かけちゃったね」

「うん。あんま無茶しちゃダメだよ!」

「ごめんごめん」


ルルと話をしていると、ガチャリと玄関が開いた。

振り向くと、シェスカとアイリがくたびれた表情で帰ってきていた。


「あ! 2人共お帰りー」

「ただいまッス………ちょっと自分、仮眠してくるッス」

「お疲れ様。ゆっくりね」


アイリはそのままパタパタと階段を上がっていった。

シェスカは玄関に立ち止まったまま、動かない。


「シェスカ、お帰り。どうしたの?」

「………」

「シェスカ? そんなにジルの所に1番乗り出来なかったのが悔しいの?」

「………!!!」


ルルの指摘に、シェスカは顔を赤らめ、プルプルと震えだした。

仕方のない事だが、シェスカにとっては大事な事だったのだろう。

とりあえず落ち着いてもらおうと思って、シェスカの頭に手を置いた。


「………!!! ジ、ジル!?」

「潜入中、俺、自分でも驚くほど落ち着いてたんだ。何かあってもシェスカが来てくれるって思うだけで、勇気が出た。本当にありがとう」

「そ、そんなの………」

「シェスカも疲れたでしょ? 休んできなよ」

「………うん」


シェスカの頭を撫でながら声をかけると、シェスカはようやく落ち着いたようで、ゆっくりと階段を上がっていった。

ルルと顔を見合せ、肩を竦める。


「全く、シェスカったら………」

「凄く強いのに、なのか、凄く強いから、なのか………こだわりっていうか、意地みたいな物があるんだろうね」

「かわいいよね!」

「確かに。本人に言ったら、きっと真っ赤になって照れるんだろうけどね」





「シェスカは仮眠してるし、お茶を飲み終わったらアリシアの所にご飯の手配しに行こうか」

「はーい! アタシ肉がいいなー」


そう話しながら踵を返すと、玄関がトントンとノックされた。


「ギルドの人かな?」


扉を開けると、再会したばかりのハズのサカグチさん親子だった。

2人して大きな木箱を抱えている。


「サカグチさん? ユウキちゃん?」

「えぇ!? どうしたの? 休んでなきゃ!」


ルルと2人で出迎えると、サカグチさんは持っていた木箱を床に置き、頭を下げた。


「ジル、ありがとよ。おかげで娘は無事帰ってきた」

「ちょっと! ………やめてください。お礼ならアリシアやシェスカ、ギルドの人達に………」

「それはもう伝えた。娘に、ジルにお礼したいって言われてな」

「ユウキちゃんが?」


初めて明るい中でユウキちゃんの顔を見た。

黒髪を三つ編みにして、肩に垂らして、エプロンドレスを着ている。

俺の方が背が高く、彼女の前髪が長いせいで目は隠れていたが、もじもじとする動きは昨日見たまんまだった。

前髪に隠れていない口角がニコリと上がる。


「わたし、ジルさんとお話して、本当に心強かったんです。ありがとうございました」

「いや………助かったのは俺の方だよ。勇気を出して協力してくれて、本当にありがとう」

「いえ………わたしの方こそ…」

「ジル、とりあえず入って貰えば? 荷物もあるみたいだし」


ユウキちゃんとお礼合戦になりそうな所をルルに救われる。

ふと我に返るが、サカグチさんは首を振った。


「俺は今からアリシアの所にも行くからな。娘だけ置いていくさ」

「ユウキちゃんだけ?」

「ほら、自分でちゃんと言うんだぞ」


サカグチさんはそれだけ言うと、床に置いていた木箱を担ぎ、外階段を降りていった。





残されたユウキちゃんは相変わらずもじもじとして動かない。


「ユウキちゃん?」

「あ、あの………あのっ! ………えっと………」

「とりあえず、入る? 荷物、持つよ」

「えっ! はっ、あの、ありがとうございます………」


身体を寄せて木箱を受けとると、ユウキちゃんは身体をビクリと震わせた。

ルルに促されてやっと中へ入ってくる。


「お茶淹れるね? 何を飲む?」

「いえ! あの、その前にお話を………」

「俺とルルが飲んでるのに、ユウキちゃんに出さない訳にはいかないよ」

「あの、では………木箱にミルクが入ってるので、それを………」

「ああ、わかった」


グラスを用意して木箱を開けると、ミルクやチーズ、燻製肉など、サカグチ牧場謹製の商品が山ほど入っていた。


「うわ! 凄いなこれ」

「あの、お礼の品です。皆さんで食べてください」

「本当に凄い! ユウキちゃんありがと!」


ルルも寄ってきて、ニコニコとしながら木箱の中を覗きこむ。

ルルが肉を食べたいと言っていたのを思いだし、アイデアが浮かんだ。


「今日の夕食は俺が作るよ。思いついたメニューがあるんだ」

「あの、では、わたしもお手伝いします」

「ユウキちゃん料理得意なの?」

「人並みですが………任せてください!」


そう言ったユウキちゃんには、いつものもじもじとした雰囲気は微塵もなく、自信に満ちていた。





「ん~~~~~! んまーい!」

「いやー、懐かしいッスよ!」

「……………!」

「シェスカも夢中だね。やっぱりチーズがいいんだよな………」

「あ、いえ………その、ありがとうございます」


シェスカやアイリも起きてきて、みんなでチーズフォンデュを楽しんでいた。

チーズフォンデュといっても、専用の機械はなく、鍋にチーズを溶かしたら、焦げ付かないようにかき混ぜなければならない。

なので、妥協して、串焼き肉のチーズかけ、みたいな感じのメニューだが、みんなには好評なようだ。

俺は厨房で燻製肉を焼き、ユウキちゃんに渡して溶かしたチーズにくぐらせてもらい、厨房に隣接したカウンターの大皿に乗せると、みんながとびつく、という賑やかな食卓だった。


「そろそろ抑えてよ。レンとランにも持っていくんだから」

「我々の分は大丈夫ですよ!」


ランの声に驚いて階段の方に目をやると、ちっちゃなメイドさんが駆けてきた。

緑の髪をツインテールにし、紫の目をした、身長は俺の腰程までしかないランは、ちっちゃなメイド服を着ていた。

ただ、暑さ対策だろうが、ノースリーブに、ヘソだし、ミニスカートと、DTを殺しそうなファッションになっている。


「ラン! 大丈夫なの?」

「あー………たぶん、建物の外はまだ無理です。けど、ここまでなら2人共頑張れそうだったんで」

「え………? 2人共って…」


よく見ると、階段の手すりから、ちっちゃなクマさんがひょっこり顔を出していた。

ぴょこぴょことこちらへ歩いてくる。


「それは………レンか?」

「その通り! レンはまだちょっと厳しいんで、この格好で………」

「かわいいー!!!」


ちっちゃなクマさんにルルが飛びついた。

レンは両手をバタバタと動かしているが、逃げ出したりといった強烈な拒否反応はないようだ。

よく見ると、アイリはランの姿を見てウズウズとしているのがわかった。

確かにあのサイズで可愛い服を着ているのだから、愛でたいのはわかる。


「2人共………頑張ったな」


ニコリと笑って声をかけると、メイドさんとクマさんは、シンクロした動きで頭を掻いた。

あぁ、双子なんだな、と思ったところで、ついにアイリのブレーキも壊れたようで、2人はもみくちゃにされていた。





「ジル、ファミリアの副業は決まった?」


食事が終わって、お茶を楽しんでいるときにシェスカが切り出した。

ちなみに、レンは器用にクマの頭の隙間から肉を押し込んでいた。

いまだに誰にも顔は見せていない。


「まだ考えはまとまらないんだ。俺の芝居、アイリの音楽、レンの服飾をまとめて商売にしたいんだけど………」

「なら、まだまだ考えてもらって大丈夫。とりあえず明日、ギルドへの登録だけ済ませよう。道具は貰ってくるから、ここでジル、レンとランの登録を済ませるね」

「助かりますシェスカさん。我々、外出しなくてすむのは本当に………」

「いいのよ仲間なんだから、気にしないで」


シェスカがニコリと笑って答えると、意外な所から手が上がった。


「ユウキちゃん、どうしたの?」

「あの、もしご迷惑でなかったら、わたしも登録したいんですけど………」

「え? ユウキちゃんはサカグチさんの所に登録してるんじゃないの?」

「あの、移籍したいんです。………皆さんのファミリアに」


みんなで驚いていると、ユウキちゃんはチラチラと俺をみながら、いつもの調子で続けた。


「あの、その、恩返ししたくて………部屋はいりません。家から通いますから。………あの、家事や料理くらいなら役に立てますから。父には既に許可を得ています」

「そうなんだ。みんな、どうかな?」


俺が問いかけると、みんなが口々に答えた。


「いいんじゃないッスか? ホームの管理してくれる人が増えるのは」

「我々は新参者ですから。皆さんにお任せです」

「アタシはいいけど………」

「わたしもいいけど………」


ルルとシェスカが煮え切らない。

2人でボソボソと何か言い合っている。


「ユウキちゃん………可愛いしなぁ………」

「助けられたって意味ではルルと一緒じゃない。………要注意…」


よくわからないが、反対意見ではなさそうだ。

俺はニコリと笑って頷いた。


「ありがとうございます! あの、わたし、頑張りますから」


こうして、我がファミリアは一気に3人のメンバーが増え、7人の大所帯になった。

ユウキちゃんは胸に手をあてて「やっと言えました………」と呟いている。

サカグチさんが去り際に言ってた話題がこれだったのだと合点がいった。





「でも、天使ちゃんが言ってた転生者が双子だったとは………びっくりッスね」

「これから、どうやって転生者を探せばいいんだろ?」


アイリとルルの話に割って入った。

何か勘違いしているようだ。


「とりあえず、まだ後1人はザムラにいるハズだから、情報収集しながら、副業を決めなきゃね」

「え? もう1人?」

「ジル、どうしてもう1人いると思うんスか?」

「だって、あの娘は『ザムラに後1人いる』って言ってたんだよ? レンとランは2人同時にこの世界に来てる。なら、あの娘が言ってた転生者は、2人の事じゃないよ」

「あっ………!」

「この街にもう1人?」


間違いないだろう。

まだまだこのファミリアは大きくなる。

早く副業を始めて、みんなで稼げるようにしなければならない。

俺は張りつめるような責任を感じて、背筋を伸ばした。

一気に増えましたww

そろそろ脳内登場人物表がごっちゃです。


次は、そろそろ皆さん忘れてるであろう、あの人が再登場!?


お楽しみに




それでは、

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

良かったら、次も読んでくださいね。

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