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action!~売れない役者の異世界生活~  作者: とみ
第1場 異世界生活の始まり
3/47

強制イベントと覚悟

3回目ー。

隙間時間でぼちぼち…。

少しだけ腰を屈めて森の中を歩く。

目印となるのは、時折聞こえる人の声と人が鳴らしたと思われる物音だけだ。

しかし、目印は問題にならなかった。

歩くにつれ、音はどんどんはっきりと大きくなっていったからだ。

問題はその音の内容だった。

金属と金属をうち鳴らすかのような音、木材が裂けるかのような音、怒声、悲鳴。

殺陣やアクションをメインに置いたエンタメ系の舞台に参加した時によく聞いたSEをもっとずっとリアルにした音。


「もしかしなくても、厄介事だよな…」


しかし、引き返す選択肢はない。

どこに引き返すのか、という問題もある。

今聞こえている音以外には手がかりがないのだ。

それに、人と出会いたかった。

先ほど意識を取り戻してから、まだ一時間もたっていないと思われるが、寂しさ、怖さは増すばかりだ。

いつもはなるべく口にしないようにしている独り言がポロポロとこぼれるのもそのせいだろう。

音の詳細を把握した後も歩くペースは落とさなかった。

そのかわり、より音の聞こえる方向に注意し、周囲にある木々を使って、身を隠しながら進むよう歩き方だけを変えた。


音を出している場所にはわりとすぐにたどり着いた。

たどり着くまでにより詳細に聞こえるようになっていた怒声の内容と、木に身を隠しながら覗きこんだ様子から、起こっている厄介事の中身も把握出来ていた。

大人でも10人くらいは乗れそうな程に大きな幌つきの荷馬車のようなものが道で立ち往生している。

荷馬車のようなもの、というのは、荷車をひく馬が見当たらなかったがための表現だ。

5、6人程の賊が取り囲み、武装した3人程の警護が撃退しようとしている様子。

周りに倒れている人間の服装を見ると、警護の者達は圧倒的な戦闘力を持っているようだ。

賊は元々10人以上いたと思われるが、倒れている人間のほとんどが賊と同じような、みすぼらしいというか、野性味溢れるというか…そんな格好をしていた。


「はあぁっ!」


そんな考え事をしている間にも、警護のひとり…体型を見る限りでは女性…が、鋭く踏み込み、賊のひとりを切り伏せた。

飛び散る血しぶきにぐっ…と喉がひきつるが、無理矢理に唾を飲み込み、音は出さないようにした。


問題はここからだ。

辺りに漂う余りにもリアルな血の匂い、今も時折交わされる剣戟音が、これは映画の撮影などではないと雄弁に語りかけてくる。

そして一番の問題は、先ほどの女性警護以外の人間は、頭頂部や腰の辺りに、普通の人間ではあり得ない部位が認められたこと。

犬や猫のような耳、にゅっと生えた角、腰からはしっぽのようなふさふさと毛に覆われた物が見える。

映画やアニメなどのフィクションでしかあり得ない「亜人」というファクターと、明らかにノンフィクションな血の匂いという、矛盾する情報を頭で整理しきれない。


(え…えぇっ!これ…リアル?撮影…じゃない…?)


とても整理しきれたとは思えないが、とりあえず出すしかない結論を敢えて、小声ではあるが、口に出してみる。


「…異、世界…?てんせ…い、ってやつ?」


夢だと思った方がまだマシなくらいに信じたくない結論だった。


その時。


「あぅっ!…あっ…」


子供の声、というか、悲鳴が聞こえた。

見ると、荷馬車の後ろ、今も戦闘が起こっている方とは反対側から小さな子供が転げ落ちたようだ。

茶と金の中間くらいの明るさの髪に覆われた頭部には少しだけ角のような突起物があり、子供の腰の辺り、背中側には、ツルツルとした鱗に覆われた小さな翼と、体格の割にはたくましいしっぽが見えた。

精一杯抑えたようだが、高く澄んだその声は戦闘中の人間達にも聞こえたらしい。

警護の者達は、一瞬だけ後ろを気にした後、すぐに目の前の戦闘に意識を戻す。

賊達に気づかれたくないような気配を感じた。

しかし、賊の一番後ろに控えていたヒョロッとした印象の男がニヤリと口角をあげる。

生理的嫌悪感を感じる、嫌な笑い方だった。

そのまま戦闘から離脱し、馬車の側面にあたる森へ…俺の隠れている側とは反対側へ回り込んでいく。


(どうする…!どうしたら…!)


あの嫌な笑い方。

賊の男の狙いが馬車から落ちた子供にあることは明白だ。

警護の者達はまずは目の前の賊を片付ける事に注力しているように見える。

子供はどうやら落ちた時にでも足を挫いたのか、足首を擦るばかりで起き上がろうとしない。


「何なんだよ…くそっ!演出くそかよ!」


余りにもな強制イベントに、思わず悪態をつく。

目の前で起こっている出来事に演出がついているとは思わないが、自分が次に起こすであろう行動を思うと、体内の悪感情を吐き捨てずにはいられなかった。


見なかったことにして逃げる…?

ふざけろ!


このまま隠れ続ける…?

冗談!


後は覚悟を決めるだけだった。

今までの人生の中で、最も自分を奮い立たせ、最も集中力をあげてくれる言葉を小声で呟き、自分の中にあるスイッチをいれる。


「いくぜ…!よーい…アクション!」

やっと主人公が異世界に気づきましたww

やっと主人公以外の登場人物も出ましたww

次回は、やっと主人公と他登場人物を会話させたいですねーww


8月4日(日)

一部改稿しました。


それでは、

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

良かったら次も読んでくださいね。

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