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action!~売れない役者の異世界生活~  作者: とみ
第1場 異世界生活の始まり
21/47

旅初日の話題と変わった2人

丸1日以上ぶりの投稿!

ホームへの旅路、1日目。


シェスカは起きた後はずっと馬車………いや、モンブー車の荷台の最後尾に座って、後方と側面の警戒をしていた。

旅において警戒するのは、盗賊・害獣の襲撃と、山崩れ等の自然災害だそうだ。


まず盗賊だが、基本的にこの世界には、専業盗賊は存在しないらしい。

ただ、食いっぱぐれた農民や、商売がうまくいってない商人等が徒党を組んで盗賊化する事があるとのこと。

俺達の出会うきっかけになったあの襲撃も、盗賊化した農民の仕業だったらしい。

そして、シェスカが交易都市ラインへ出張していた理由でもある。


最近、盗賊として行動する徒党の規模が肥大している、悪質な冒険者が用心棒をしていたなんて事件まで起こった。

誰かが裏で糸をひいて、悪人達を結びつけている可能性がある。

放置しておけば、暴力が武力へ、武力が軍事力へと肥大化を重ね、国家の危機に変わる。

国からギルドへと調査依頼がなされ、シェスカは囮捜査を請け負った。

首尾よく盗賊が釣れて、対処していた所に紛れ込んだのが俺だった、という訳だ。


盗賊が釣れた場所がラインのすぐ近くだった為、裏で糸をひく人物なり組織の拠点がラインにある可能性が高まった。

よって、シェスカはラインで調査を続けたが、空振り。

囮捜査の結果捕らえた罪人達は末端も末端。

証言を頼りに行われたラインでの調査では、盗品を引き取る闇商人等の小悪党が数人捕らえられただけだったそうだ。


盗賊規模肥大化事件はまだ解決してない。

警戒は怠れない。




害獣については、フィクションに出てくる所謂「魔物」は、この世界には存在しない。

警戒するのは、野生の人間すら餌にする可能性のある肉食獣等で、知性らしき物があったり、「神の力の一端」に親和性が認められる獣は確認されていないそうだ。


害獣も普通は警戒心が強く、めったに人間の前に姿を表す物ではないから、警戒も念のためレベル。


自然災害についても、言うまでもない。


が、ひとつだけ馴染みのない自然災害があった。


「力場暴走?」

「そう。この世界には、神の御座所に近いとされる場所が点在していて、そこでは光が嵐になって襲ってくるの」

「光が…嵐に? 想像つかないな」

「例えば…わたし達のホームでは、夏になると、時折台風が来るんだけど、あれは水の嵐よね?」

「あぁ、うん」

「逆に、水の少ない乾燥した地域では風だけの嵐、竜巻が発生する」

「なるほど…そう言われるとわかったような気もするけど………見たことないせいか、想像つかないな」

「実は、わたしも見たことないの。すごく神秘的で美しいらしいけど、飲み込まれた人間は跡形もなく消え去るらしいわよ」

「うえぇ!? 怖っ!」

「ま、ホームまでのルートでは観測された事がないみたいだから、安心して。こういった色んな嵐が何故起こるのかもわかってないから、警戒だけはしてるってレベル」


台風や竜巻は気圧の関係…だったよな。

力場暴走もそんな感じなのかな?


「それはそうと…」


朝から気になっていた事がある。


「ん? ジル、何?」

「シェスカ、今朝から砕けた言葉使いに変わったよね?」

「んえぇえっ!!! お、お嫌でしたか?」

「いや、なんか少し仲良くなれたような…仲間って認められたような………うまく言えないんだけど、嬉しいかな。なんかいい感じだよ」

「あっ…そ、そう?」

「うん。無理してる訳じゃないなら続けてよ」

「うん、平気…わかった」


ガシガシと昼食代わりの干し肉をかじりながら話してくれていたシェスカは、指摘すると頬を真っ赤にして照れたが、最後にはいつもの微笑みを返してくれた。




ルルはずっと御者台でもーちゃんの手綱を握っている。

普通の人間の駆け足程度の速さに調整しつつ、今向かっているホームの話等をしてくれた。


「アタシ達のホームは『港湾都市ザムラ』って言って、港街なの」

「へえ、海があるのか」

「海もあるし、山もあるし、河もあるよ。自然豊かな街」

「ふうん………こう言っちゃなんだけど、田舎なの?」

「うぇふひへへっ! そんな訳ないじゃん。都市だよ都市! 自然と共存しながら発展してきた都市なの」


ルルはニコニコと楽しそうに笑いながら話してくれる。

それだけで、良いところなんだろうな、なんてわかったようなつもりになってしまう。


「入り江がすごくぐにゃぐにゃしててね。筏を浮かべて人が住んでる場所とか、開けてて泳いで遊べる場所とか、船が沢山停まってる場所とか!」

「へえ………なんかすごい広そう」

「でもね、人が住みやすい平地がすごく狭くて、すぐ山なの。う~~~み~~~~~、平地! や~~~ま~~~~~って感じ!」

「おお! バカっぽい表現だけど、わかりやすい」

「ジル! 一言余計!」


ルルはてしてしと二の腕を叩きながら、ぷりぷりと頬を膨らませる。

可愛らしい仕草に、癒される。


「港があるから、ラインみたいに人の出入りもあるんだけど、違うのは、建物がみんな石造りなとこかな?」

「木材だと潮風で傷みが激しくなるからだろ?」

「んえぇえっ!? ジルなんでわかるの?」

「おっ! 当たりか。………ん? でも、筏浮かべて人が住んでる所あるって言ってたよな?」

「平地が狭いからねー。仕方ないんだよ。でも、筏街に住んでる人はみんな大体海が好き!」

「そりゃそうだ」

「で、すぐ家が傷んじゃうから、いっつもどこかで工事してる。毎日トンカチの音がうるさいの!」

「ルル達の家は筏街にあるの?」


そう尋ねると、ルルはふるふると首を振って否定した。

癒しの重ねがけだ。


「アタシ達の家は、元は宿屋だったのを修理して使ってるんだけど、どちらかっていうと山側かな?」

「そうなんだ。どんな家?」

「1階は馬車を置く場所で、2階から入るんだけど………」

「え? 1階は馬車停めてるだけ?」

「うん。1年に1日だけ海の高さが上がる日があるから」

「ええ!? 1階は水没しちゃうってこと?」

「そ。1日だけ、もーちゃんも2階に寝るんだよ。ねー?」


ルルがそう言うと、もーちゃんはそれまでぶらんと垂らしていたふさふさのしっぽを、フルンと揺らした。


「元宿屋だから、2階は広~い食堂。3階がアタシ達の部屋だよ。4階は空っぽ」

「なるほどな………年1で水没しちゃうってことは、縦に長い建物が多い?」

「正解! でね、高海(たかうみ)の日に波で窓が壊れちゃうから、海側に窓がない!」

「へえ~。本当に自然と共存しながら発展してきたんだなってわかる。面白い街だな」

「うん! 本当にいいところだよ!」


弾けるような満面の笑み。

心底気にいってるんだろう。

単純な物で、俺は一刻も早くザムラに行きたくなっている。





そして、ルルにもシェスカ同様、気になる事があった。

ルルは今まで基本的に、例え顔を真っ赤に染めるくらいに照れていたとしても、こちらの目を真っ直ぐに見つめて話をするイメージだった。

しかし、今日のルルは、話が弾んでも、1度たりともこちらを見て話しないのだ。

手綱を握っているから仕方ないのかもしれないな…と考えて、わざわざ指摘はしなかったが、どことなく、皮膚に刺さったトゲを抜いた後のような、引っ掛かる感覚を感じていた。





その後も、ルルはこちらに目を向ける事なく、家の詳細な間取り等を話してくれていた。

その時、不意にシェスカから声がかかった。


「ルルー」

「シェスカ、りょうか~い」

「ん? 何?」


余りに短いやり取りでコミュニケーションを完成させる2人に思わず聞き返す。


「そろそろ夜営(キャンプ)の場所決めようってこと!」

「ジルは初めてのキャンプだね。頑張って」

「え? まだこんなに明るいのに?」

「暗くなってからじゃ、薪を集めたりとかの準備出来ないじゃん」

「暗くなる前に寝る準備して、朝早くから出発を繰り返すのが旅の基本だよ」


確かに初めてだし、元の世界でもキャンプなんて数える程しか経験がない。

馬車での旅路は正真正銘の初体験だ。

初日から初めての事や新しい情報ばかりのこの旅路は、刺激の多い楽しい物になりそうだと、心底感じていた。

ちょっとバタついてまして、お待たせしました。


ゆっくりゆったり流れる時間、ゆっくりゆったり歩くもーちゃん。

3人もモンブー車の上でゆっくりゆったりとお話してます。


実は、ルルちゃんとシェスカ姉さん、

2人旅の時は、モンブー車の1番前と1番後ろで周囲警戒する必要があって、大声出さないとお互い聞こえない為、ほとんど会話が出来ませんでした。

ジルくんと話するのがよい暇潰しになって、内心楽しくて楽しくて仕方ありませんww


それでは、

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

良かったら、次も読んでくださいね。

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