混乱と始まり
投稿2回目。
よろしくどうぞ。
夢をみていた。
プラチナブロンドの緩くカールしたロングヘア、青く澄んだ瞳、整った容姿、幼さの残る声、白地に金の刺繍が入ったふんわりとした衣装の背には、まるで天使のような羽がはえている。
そんな少女と話をする夢。
少女が何かしゃべっている、が、聞き取れない。
「もっと大きな声で!腹式呼吸使って!お客様に聞こえなければ、せっかく稽古しても意味がないだろ?」
よく後輩に注意していた文言が浮かんだが、声にはならず、ゆっくりと意識が暗転する。
眩しい光に目を焼かれて瞼にぎゅっと力を入れた。
二度…三度。
目を瞑ったままで光に目をならす。
ゆっくりと目を開けると、大きな、本当に大きな樹が見えた。
上体を起こし、周りを見渡す。
俺は深い森の中、少しだけ開けた広場のような場所にいた。
どうやら、土の上に寝ころがっていたようだ。
昔、大学進学時に都市圏に出る以前に、田舎で嗅いだ森の匂いがする。
暖められた土と草の、むわっと鼻につくような、それでいてほっとする匂い。
そこまで考えて、不意にパニックに陥った。
「ここどこだよ!?」
思わず声に出た。
俺は飲み会の後、とぼとぼと歩いて1人暮らしのアパートに帰る途中だった。
帰り道にちょっとした公園くらいはあるが、公園にはこんなに大きな樹は生えてなかったし、こんなに深い森などあの町にはなかった。
飲み会では生中と、これでもかと薄められたジンジャーハイボールしか飲んでない。
こんなにはっきりとした幻影をみる程酔っ払ったつもりはない。
「え?何?本当にどこ?」
思い出せる範囲の記憶を探る。
と、背筋に寒気が走った。
思わず自分の身体を抱き締めるように両手で二の腕を擦った。
最初に浮かんだ記憶が、自分に向けて突っ込んでくる車の映像だったからだ。
でも、やはりおかしい。
あの記憶が最後なら、俺はこんな森の中ではなく、病院のベッドで目を覚ますべきだ。
不意に次の記憶が甦る。
記憶と言っていいのかわからないが、プラチナブロンドの少女に何か語りかけられる夢。
「夢じゃ…ない?え?かみさま?」
とても信じられない、信じたくない結論が浮かんだ。
「俺…死んだ?」
口に出してみても、どこか現実味がない。
春のような穏やかな陽射しの眩しさ、鼻につく森の匂い、手に触れる土の感触。
全てが記憶の通りで、自分が死んだという実感は全くわかなかった。
「…すみませーん。どなたかいらっしゃいませんかー?」
しっかり意識して周りに通る声を出す。
混乱が残っているせいか、少し声が震えたが、しっかり声量は出せた。
が、周りに反応はない。
帰ってくる音といえば木々を風が揺らす音くらいで、動物の鳴き声すらしなかった。
「そりゃそうか…マジで何なの?」
ゆっくりと立ち上がる。
自分に何が起きたのか全くわからなくて、すごく、ものすごく怖かった。
誰か人に出会えたところで、その人が自分に起きている事を教えてくれるとは限らない。
でも、誰でもいい。
誰かにそばにいてほしかった。
「ん…?」
立ち上がったことで、自分に起きている異変がもう少しだけあった事に気づいた。
デニムを止めていたベルトが弛んでいる。
ベルトを閉め直そうとして、いつも使っている穴をしっかり使っている事に気づく。
ベルトが弛んだのではなく、俺自身が痩せている…?
足元を見下ろすと、デニムの裾が余っていた。
再び腰を下ろして裾を捲る。
腰を下ろす時に、30を越えてから常に悩まされていた慢性的な腰痛がないことにも気づく。
手のひらを見ると、殺陣の稽古で出来ていた剣ダコもなくなっていた。
「縮んだっていうより…若返りか?」
再び周りを見渡すが、車にはねられた時も持っていたバッグがない。
「死んだはずなのに、服装はそのままに、荷物はなくなって、若返った状態で、知らない場所にひとりで放り出された…」
今までに考えて、たどり着いた結論を口に出してみた。
「うん!意味わからん!」
混乱が収まる気配は全くしなかった。
心細さや怖さもそのままどころか、増すばかりだ。
その時。
「…。…!」
「え?人の声…?」
何か聞こえた気がして振り向く。
明らかに木や風が起こす音とは違う、人の声、人が鳴らすような音が聞こえた気がする。
さらに、続けて金属をうち鳴らすような音も聞こえた。
「他に手がかりもないし…行ってみるか」
思ってた場所まで辿り着けませんでした…。
今まで書き物をした経験はあったのですが、小説という形では、これが初めてなもので。
慣れるまでは、生暖かく見守ってくださいなww
8月4日(日)
一部改稿しました。
それでは、
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
良かったら次も読んでくださいね。




