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action!~売れない役者の異世界生活~  作者: とみ
第1場 異世界生活の始まり
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閑話 シェスカの見た景色

わたしはルルと一緒に荷物の積み込みをしていました。

宿の下働きや見習いにも手伝ってもらい、作業を進めます。


ルルは木箱に丁寧に荷物を入れています。

旅の間、毎日使うような物、めったに使わない物を分け、共有の物、個人で使う物もはっきりと分けていく手際は流石です。


わたしは手伝ってくれる方達と一緒に、まず荷台に干し藁を敷き詰めます。

荷物や馬車、荷台に座るわたし達が傷まないようにする為です。

後はルルの指示を受けながら荷物を積み込むだけ。

荷物を積み終えたら、革紐でしっかり固定します。

紐が擦れて千切れないように、木箱との間にくたびれた布を挟み込む事も忘れません。


荷物を積み終えたら、空いた荷台の隙間にさらに干し藁を積んで、準備完了。

手伝ってくれた方も多かったおかげで、思ったより早くに眠る事ができそうです。


「アタシ達もゆっくり眠れそうだよね」

「ルル、部屋の片付けも忘れないようにね。ジルはまだ慣れてないから、用意が終わってなくて、まだ寝てないなんて事なければ良いけど………」


事あるごとにジルの心配をしてしまいます。

これは、仕方ない事です。

ジルはまだこちらの世界に放り出されてから、日が浅いですし、何より、わたし達2人にとっては恩人なのです。

わたし達が心配するのは、当たり前ではないですか。


ジルはわたし達に面倒をかける事を気にしているようですが、本当に気にしないで欲しい………。

むしろ、ジルに「何もしてくれるな」なんて言われてしまったとしたら、わたしは自分に落ち度があったのか、と固まってしまう事でしょう。


むしろ、ジルに必要なのは、「生き甲斐」に似た何かだと思うのです。

わたしは闘う事で、ルルはそんなわたしのサポートを完璧にこなす事で、自分が存在する意味を実感できます。

しかし、ジルにはそれが今、無いのではないでしょうか。

ジルのやくしゃとしての技術は素晴らしい物ですが、この世界にやくしゃとして活動している人は居ませんし、日頃の生活の役に立つ技術でもありません。


わたしは闘う事で皆に安全を、ルルはわたしに快適さを、宿の人は住む場所を、鍛冶士は武具を、皆それぞれ、他の誰かに何かを与える事で金銭を得ています。

「やくしゃは他人の為にしばいをするのだ」とジルは言っていましたが、それに金銭を支払いたいと考える人など、いるのでしょうか?

わたしは、ジルの語ってくれたお話に満足しましたし、ジルが語っている様子を眺めているのも楽しかったので、いくらでも支払いたい気分にはなるのですが、それは………きっとわたしだからでしょう。

皆がそうだとは、申し訳ないのですが思えないのです………。


そんな事を考えながら、ルルと2人で部屋へ戻りました。

扉を開けた瞬間、時が止まったかのように身体が動かなくなりました。

動きを止めたわたしを不審に思ったのか、横から覗きこむようにして部屋の中を見たルルも、同じように動きを止めます。


ジルがベッドに横たわった状態で、ふんわりと光輝いていたのです。

その光は「神の力の一端」を使う時の光に似ていました。


「ジル!」

「ジル! ジル! 何なのこれ!?」


わたし達はバタバタとみっともなくジルに駆け寄りました。

ふんわりと光るジルからは神々しさというか、畏れ多いような感じがしてしまい、手を触れる事がどうしても出来ません。


ジルは枕に右頬を伏せ、目を摘むっています。

左手は枕元に出され、自分のナイフ、手鏡、そして、わたし達2人で考えたジルの名前が書かれた羊皮紙にそっと触れていました。

眠っているようにも見えるのですが、このまま死んでしまうのではないかと、不吉な予感もしてしまい、足から身体が冷えていくような感覚がしました。


その時、ルルが動きました。

ベッドサイドに膝をつき、ジルと目線の高さを合わせて、そっと手を伸ばしました。

いつもの事です。

わたしが二の足を踏んでしまうところで、ルルは飛び出す事ができます。

その度に何故かわたしは敗北感を感じるのです。

今回は、ジルを想う気持ちの強さで、ルルには敵わないなどと考えてしまいます。


ルルがジルの左手に触れた瞬間。

ジルを包みこんでいた光がその強さを増しました。

目を開けていられず、ぎゅっと目を瞑ります。

しばらくして、そっと目を開けると、光はおさまり、ジルはいつものように眠っていました。

そして、ルルもまた目を瞑り、眠ってしまったように動きを止めていました。


「ルル! ジル! ねえ、起きて!」


思わず2人を揺さぶりましたが、目を覚ましません。

よく見るとルルの肩が上下しています。

2人共眠っているだけなのは間違いないようです。

踵を返し、寝室からブランケットを取ってきて、ルルの肩に掛けました。


2人が心配で、このまま同じ部屋で夜を明かそうとテーブルに椅子を用意し、座りました。

ジルの左手にルルの右手が添えられ、2人が額を寄せあって眠っているように見えます。

まるで、同じ夢を2人で見ているかのような………2人が特別な絆で結ばれているかのように見えました。


気づいたらわたしは、ルルにかけたブランケットを2人の重ねられた手の間に引き延ばし、寝室へ戻ると、固く扉を閉め、荷物の用意を始めました。

身体が冷えきって頭の中まで凍ってしまったかのように何も考えられません。

ただ、瞳と頬だけが酷く温かかった事だけは覚えています。

もうちょい短く、さらっと流すつもりだったエピソードですが、がっつり閑話にしてみました。

出来心で………すみませんww


次回も閑話予定です。

ジル視点でこの夜見た夢のお話を………


その後は、いよいよ旅立ちです。

お楽しみに


それでは、

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

良かったら、次も読んでくださいね。

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