第48話〜フェリアの最大技と決着の中堅戦〜
今話で中堅戦は終わりです!
どんな結末になるのか!
それでは、本編スタートです。
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フィールドの中央に移動した2人の体内にある魔力量が増えた。
(っっっっ!!この2人の魔力の量はやばい!今のこのフィールドに張られてる結界じゃ耐えられないな。新しいの張ろう)
僕は心の中で、結界魔法を唱えた。
<神々の守護よ!この地を守る盾となれ!プロテクション・クインティ!>
結界魔法やバフ魔法、状態異常魔法などの多重に掛ける魔法は発動ワードの後に英語名が付くのだ。
因みに攻撃魔法などを撃つ際、桁が違うのような数を撃つ時も発動ワードの後にその数の英語が付くのだ。
「ユーマくん、今何したの?ユーマくんから魔力の流れを感じたけど?」
「今フィールドにいる2人に込められた魔力量が予想以上に多かったから元々フィールドに張られてた結界だと耐えきれずに割れて被害が出るかと思ったんだ。だから、僕の結界魔法で新しいのを張り替えしたんだ」
「なるほどね。因みにどれくらいの規模の範囲を張ったの?」
「規模は前の結界と同じでここのフィールド全体で込めた魔力は例えるなら超級魔法数発分は耐えれるようにしたよ」
「そんな魔法誰も撃てないよ?まあ、ユーマくん以外に撃てる人を知らないだけだけど」
「念には念をってやつだよ。まあ、あの2人が込めてる魔力量なら2人で超級魔法1発分位はありそうだったから」
「そんなに多いの!?」
「うん」
(オーグは一緒に訓練というか練習してたから魔力量が多いのは知ってたけどフェリアも多いとはね。いや、オーグと互角以上に戦えると聞いた時点でフェリアにも相応な魔力量があることは予測できてたか)
フィールドの結界を張り直した僕は、恐らくこの試合最後になるであろう2人の勇姿を見るためにモニターに視線を戻した。
「オーグさん、これで終わらせましょうか」
「ええ、そうですね」
「オーグさんから伝わる魔力量は凄まじいですね。思わずたじろいでしまいますわ」
「それはフェリア嬢もですよ。貴女から溢れ出る魔力量はユーマと訓練をした私でもビリビリ伝わります」
「そうですか?それは光栄なことですね」
「フェリア嬢、お話は後でゆっくりするとして今は試合を早く終わらせましょう。せっかく込めた魔力がもったいないでしょう」
「そうですわね。では、行きますわ」
フェリアは、オーグに右手を出すと魔法を唱えた。
「オーグさん行きます<炎の魔力よ、我に敵対する敵をその業火で焼き切れ!フレイムノヴァ!>」
フェリアは炎属性の上級魔法である<フレイムノヴァ>を撃った。
「上級魔法ですか!かなりの威力ですが私も負けません!<アクアヴェルデ!>」
オーグが放ったのは水属性の上級魔法である<アクアヴェルデ>だった。
ただ、込められた魔力量的には下手な超級魔法に勝てるくらいだろう。
お互いが放った魔法は、ぶつかり合い衝撃波を産んだ。
「何だ!この威力は!?」
「こっちまで被害が出るんじゃねえか?」
「いや、結界が張られているだろうから被害は出ないだろうがそれを錯覚するくらい2人の魔法が化け物級だってことだな」
炎と水のぶつかり合いなので、でかい爆発と水蒸気がフィールド全体を包んだ。
水蒸気が晴れると、フィールド中央で2人とも倒れていた。
恐らく2人とも魔力切れだろう。
審判の人がフィールド中央に行き2人を確認すると右手を高く上げた。
「両者!魔力切れを確認。試合続行は不可能と判断しこの試合は引き分けとする!」
審判の人の宣言を聞いた瞬間、闘技場の観客は大いに沸いた。
「すげぇ!2人とも良い試合だったな」
「ああ、いい物見れた気がするよ」
「殿下も姫さんもいい試合だったぞ!」
「俺達よりも年下の子供達がこんな試合をしたんだ。俺達も負けてられないな!」
「ああ、この大会が終わったら早速依頼に行くか!」
色んな歓声が聞こえてきたのかオーグとフェリアが目を覚ました。
「あの、オーグさん。試合はどうなったのですか?」
「フェリア嬢、お気付きになられましたか。どうやら私達は引き分けのようですよ?」
「引き分け....ですか?」
「ええ、どうやら2人とも魔力切れを起こしたみたいです」
オーグは先に立ち上がると、フェリアに右手を差し出した。
「ありがとうございます」
フェリアはその手を取ると、ふらふらと立ち上がった。
「勝負は引き分けでしたが、いい試合でした!次の対戦では私が勝ちますよ」
「私も負けませんわ!来年の武魔法大会でも同じカードで戦いたいです」
「そうですね!来年もいい勝負ができるようにユーマの元でまた鍛錬をしますよ」
「ええ、私も師匠の元でまた鍛え直してくるので次の試合ではまた良い試合をしましょう」
「はい!約束です!」
オーグとフェリアは固い握手をして、観客の声援に答えたあとそれぞれの控え室に帰った。
ーーーーーーーーーイングレアsideーーーーーーーー
ドアがコンコンっとノックされた。
「どうぞ」
ドアがガチャっと開かれ入ってきたのは、オーグだった。
「オーグか。お疲れ様!良い試合だったね」
「ああ、だが引き分けてしまった。俺で決めるつもりだったからかなり悔しいな」
オーグは平然を装っていたが、相当悔しかったのか右手に握り拳を作って僅かではあるが肩を震わせていた。
「お互い全力でやった結果なんだから俺たちは責めないよ。それに試合前に言ったじゃん!僕とルディが後ろに控えてるから気楽に行けって」
「ああ、そうだな」
「だから気にしなくてもいいよ。あとは僕達に任せてくれ!」
「分かった。あとは頼んだぞ!ユーマ、ルディ」
「ああ!(うん!)」
「ユーマ」
「ん?どうしたの?」
「この武魔法大会が終わって今後お互いが時間ある時にまた一緒に練習というか指導してくれないか?来年こそフェリア嬢に勝ちたいんだ」
オーグは真っ直ぐに僕を見つめたまま言ってきた。
「うん、良いよ。またみんなで練習しよう!来年絶対にフェリアに勝とう!」
「ああ、ありがとう!」
僕達はオーグと握手をした。
ーーーーーーーーフェイルバードsideーーーーーーー
「すみませんでした。勝てなかったです」
フェリアは控え室に入るなりメンバーに頭を下げた。
「構わないよ。それに良い試合だったし、オーグもかなりの実力者だろう?」
「ええ、私の全力でも引き分けまでしか行きませんでした」
「恐らくオーグも全力だったと思う。それで引き分けだったんだから来年は勝てるさ」
「ええ、ありがとうございます」
フェリアはそれでも勝てなかった事が悔しいのか握り拳を作っていた。
その時、ふわりと良い香りがフェリアを包んだ。
「フェリアちゃん、お疲れ様。我慢しなくていいの。悔しい時は思いっきり泣いてもいいのよ」
ヴィオラが、背中からそっと抱きしめたのだ。
その時フェリアの中で何かが決壊した。
「ヴィオラさん!うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇん(泣)悔しいよ。私勝つつもりで....それにみなさんも...ヒック..私を笑顔で送り出してくれたのに.....私...皆さんの期待に...答えようと頑張ったのに勝てなかったです....ヒック....」
フェリアは今まで貯めていた想いやプレッシャーを吐き出すように泣いた。
ヴィオラはフェリアの頭をよしよしと撫でながら、話を聞いていた。
その眼差しは、まるで泣いている妹をあやす姉のようであった。
しばらくして、フェリアは泣きやみ恥ずかしがるようにヴィオラから離れた。
「すみません、ヴィオラさん。胸を貸していただいて。他の皆さんもみっともない姿を見せてしまい申し訳ないです」
フェリアは顔を赤くしながら、頭を下げた。
「いいや、気にする事はないさ。それにフェリアがそんな弱い所を見せてくれたのも俺達を信頼してくれてる証だろ?だから逆に嬉しかったよ」
ほかの3人もうんうんと頷いていた。
「スイウェルさんありがとうございます。みなさんもありがとうございますっ」
フェリアはもう1回頭を下げた。
その様子を見ながら、スイウェルはみんなに聞こえないようにヴィオラにこっそり耳打ちした。
「ヴィオラ、さっきはありがとう。カーラの時と今回もだが、女同士じゃないとああいう本音は引き出せないからな。お前には感謝しかないよ」
「あら、嬉しいわね。でもそんな事ないわ。貴方がリーダーだからこそみんな着いてきてるのだと思うし、それに貴方も私には出来ないことが出来てるから私も貴方に感謝しかないわよ」
「そうか、ありがとうな。この試合が終わったら大事な話があるから時間貰えるか?」
「ええ、勿論いいわよ」
スイウェルとヴィオラは拳どうし合わせた。
この後、両校の控え室は談笑が続いた。
副将戦以降も続く激闘の試合を知らないままで...
はい!どうも。皆さんこんにちは。ユウキです。
さてさて、3話構成でお送りした中堅戦もやっと決着が着きましたね。
実は、この武魔法大会を書く時から決勝の中堅戦はオーグくんとフェリアちゃんを戦わせて引き分けにする算段をつけてました。
決勝も3タテしてしまってもいいのかな?とも思ったのですがやはりそこは決勝戦ですからね(笑)
一筋縄では行かないところも書きたかったわけです。
本編の最後でもちらっと触れてますが、副将戦以降もかなりの激闘が予想されますがユーマくんとルディちゃんには頑張って欲しいですね!
読者の皆さんも2人を応援してくださると嬉しいです。
それでは次回をお楽しみに!
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次回予告
武魔法大会決勝も後半戦の副将戦に突入!
登場するのは1年生のルディと3年生のヴィオラ
お互い剣も魔法も高いレベルで扱えるということもあり激戦必至の副将戦
最初から激しくぶつかり合う2人にお互いのチームキャプテンはそれぞれ同じ事を思っていた
次回:武魔法大会決勝 副将戦 ルディVSヴィオラ




