第45話〜カーラの必殺技とフィオの秘策そして決着〜
第45話スタートです!
今回のお話で次鋒戦の決着です。
カーラの必殺技とフィオの秘策とは一体何なのか?
......
......
フィオのゼロ距離<フレイムインパクト>が効いてるのだろう。
カーラは何とか立ち上がったものの、よろよろしているし立っているのもやっとっていう感じだった。
(カーラ、立っているのもやっとなぐらいダメージを受けているのにまだやれるのか?)
そんなふうに考えていると、カーラがぶつぶつと何かを喋り始めた。
(ん?カーラ、何をしているんだろう。モニターごしじゃあ聞き取れないな)
カーラが喋り終えたと思った瞬間、カーラの周りに魔力が集まり始め、それは次第にカーラの体内や体を覆い尽くすかのように集まり始めた。
(あれは、無属性の身体強化魔法か?それにしては集まる魔力が多いな。魔力が暴走しているふうには見えないし、一体何をするつもりなんだ?)
「フィオさんならわかると思いますが、今使ったのは身体強化の魔法です」
「うん、だよね。でもそれにしては集まってる魔力が多い気がするけど?気のせい?」
「いいえ、気のせいではないですよ。私の全力を出すならこれぐらいいるんです。ただ欠点として使う魔力が多いのであまり時間がかけられないという所ですね」
「そうだよね。でも良いの?」
「何がですか?」
「敵に自分の弱点を言ってるようなものだよ?正直実力差は拮抗してるから試合を長引かせるだけなら私でも出来るよ」
「ええ、良いんですよ。大体の方はこの身体強化を使ったら短時間で終わってしまいますから」
「なるほど。凄い自信だね!じゃあ、おしゃべりしてる時間ももったいないから続きしようか」
「そうですね!」
カーラはフィオと話終わった瞬間、地面を蹴りフィオに向かって走った。
身体強化をしているから、スピードがさっきよりも桁違いに早い!
「っっっ!<デュオ・リベレータ!>」
いきなり目の前に現れたカーラにより振り下ろされた剣をフィオは慌てて光属性の双剣を作って、ギリギリ受け止めることが出来た。
ただ、それも長くは持たなかった。
何と、受け止めたと思われていたフィオの双剣が壊れ、フィオはフィールドの端まで吹き飛ばされていたのだ。
「いっててー....これはまずいね」
今にも決着をつけようと、フィオに迫るカーラ。
(これは本格的にやばいね....このままだと食らっちゃうし、今の私の体力ならあれを食らうと試合に負けちゃうよね。ユーマくんに教わった魔法もあるし、この状況を打破する秘策ももう一個あるけど悪目立ちするよねぇ。確実に....)
「これで終わりです!フィオさん!!」
フィオの元に辿り着いたカーラは剣を振り下ろした。
(迷ってる場合じゃないよね!確かに悪目立ちはすると思うし、私のことを狙って抱え込もうとする人もいるかもだけどこの試合絶対勝たなきゃ行けないし何より私の婚約者を信じよう!あの子ならきっと私を守ってくれるから!!)
フィオはガバッと顔を上げると魔法を唱えた。
「<ワープ!>」
フィオはカーラの剣が当たる瞬間、突如として消えた。
これには会場のみんなやフェイルバード学園の控え室が騒然となった。
「おい、フィオのやつどこ行った?」
「急に姿が消えたと思ったけど、どこ行ったんだろうな」
「あれは空間魔法か?」
「でも、空間魔法って使い手がほとんどいないって聞くぜ?それに魔力もかなり持ってかれるから使わないって言われてる」
「そんなもん使って大丈夫なのか?」
「さぁ、でもフィオは使わなきゃいけねぇんだよってくらい追い込まれてたんだろうな」
ーーーーーーーーフェイルバードsideーーーーーーー
「フィオ、急に消えたわね。あれは空間魔法かしら?」
「だろうね。流石に俺もこれにはびっくりだ。まさか空間魔法が使えるなんて思ってもみなかったよ。去年まで見なかったことを考えると、ユーマが空間魔法を使えてそれをフィオに教えたんだろうね」
「ユーマ君が教えたということは、向こうは全員が使える可能性があるって事よね?」
「教えない理由がないからね。全員が使えるといった認識で勝負した方が良さそうだね。フェリアも気を付けなよ。おそらくオーグも使ってくるぜ」
「1人が使えるというのにも驚きですのに全員が使えるなんて信じたくありませんが、実際にフィオさんが使っているのを見たので恐らく全員が使えるのでしょうね。分かりました!警戒しておきます」
「うん、その方がいいよ」
ーーーーーーーーイングレアsideーーーーーーーー
「やっぱりフィオは使ったか。まあ、使わなかったらあの場面は脱出出来てないしカーラの剣を受けてたら試合に負けてただろうから仕方ないね」
「ユーマくんが試合前に本気を出さないとフェイルバードには勝てないって言ってたからフィオさんは使ったんだろうね」
「そうだと思うよ。この状況下で良く使うっていう判断ができたよね。いや、この状況下だからこそか....」
「でもユーマ、良いの?」
「どうしたの?シルフィ」
「空間魔法って使い手がほとんどいないんだよね?」
「うん、その認識であってるよ。僕の場合空間魔法の中でも最上位であり伝説とされてる転移魔法を使えるからもっといないというか僕以外に数人いるかいないかくらいじゃないかな?空間魔法だけでも使ってる人は見た事ないね。それがどうしたの?」
「そんなに使い手がいない魔法を使っちゃったら、私みたいに悪目立ちしないかな?最悪貴族のお偉いさんや国のお抱えにされそうだけど」
「そんなことは僕がさせないし、シルフィもフィオもルディも僕が守ってあげるよ。勿論オーグもだからな?」
「ありがとう、ユーマ。俺もユーマの親友としてユーマやルディ、シルフィ、フィオさんは個人的にも国を上げてでも守るさ」
「というわけだから安心して!オーグもルディも存分に僕が教えた空間魔法を使ってくれ!出し惜しみして勝てる相手じゃないからな。勿論僕も使う予定だよ」
「「「おう!(うん!)」」」
僕は改めて親友や婚約者たちが、変な輩に絡まれないようにしっかり守る事を心に誓った。
一方その頃フィールドでは、カーラは未だに消えたフィオを探していた。
(フィオさんは一体どこに!?このままだと私のかけた身体強化の魔法が切れちゃう....そうなったら反動で動けなくなっちゃうし、何より私の体力的に次にフィオさんの魔法を食らったら負けちゃう。だから、絶対見つけだしてやる!)
カーラはフィオを探しまくってるのか、辺りをキョロキョロしていた。
「ユーマくん、フィオさん中々出てこないね」
「恐らくフィオが姿を表さないのには理由があるんだと思う。これはあくまで推測だけど、カーラの身体強化が解けるのを待っているんだと思う。身体強化中は攻撃力やスピードだけでなく、防御力が上がるのは知ってるよね?だから、解けるのを待ってダメージが入るようになったら、姿を現して魔法を撃つんだと思う。それに、カーラもあれだけの魔力を使っての身体強化だからね。おそらく使用後は、体が動かないなどのデメリットもあると思う。だから、フィオは姿を表さないんじゃないかな?」
「なるほどね!さすがユーマくんだね」
「いや、それほどじゃないよ」
おそらく、カーラの身体強化はそろそろ解けるだろう。
そのタイミングでフィオは現れる。
僕はそういった確信があった。
僕が考え事をしている時だった。
突然横から声をかけられた。
「ユーマくん、あれ見て!」
ルディに促され、モニターを見ると、試合が動いていた。
「くっっ!!?」
カーラの体内や体の周りに纏われていた魔力の影響で光って見えていたカーラの体から光が失われていた。
それは、カーラがかけた身体強化の魔法が切れた事を表していた。
「こ....ここで.....切れる....なんて(ハァハァ)」
カーラはフィールドに膝を着いたまま、息を切らしていた。
恐らく身体強化の反動が来たんだ。
「フィオさん、どこかで見ているんでしょう。隠れてないで出てきてください!そして、私にトドメを刺してください!私はこのとおり1歩も動けないので....」
カーラがそういうと、フィオはカーラの後方10メートルくらいの所に現れた。
「やっぱり切れちゃったね。本当は、身体強化中に決着を付けようかとも思ったんだけど、身体強化中は防御力も上がってるし、カーラちゃんが身体強化に使った魔力の量を考えると耐えられる恐れがあった。だから、<ワープ>を使って危機を脱した後隠れてたんだ」
「それですよ!<ワープ>を使えるということはフィオさんは空間魔法が使えるんですか?」
「うん、使えるよ。と言っても簡単なものだけだけどね」
「空間魔法って使い手が少ないはずなのに、どこで覚えたんですか?少なくとも去年の武魔法大会では使ってなかったですよね?」
「今年のうちのリーダーである1年生のユーマくんが教えてくれたんだ。絶対役に立つからって。本当に役に立ったよ」
「なるほど、ユーマくんでしたか。それなら納得できます」
「どうして?」
「うちのリーダーであるスイウェルさんがユーマは何をしてくるか分からない。それは個人的にでも残りのメンバーに対してもだ。何をしてくるか分からないからこそ全員最大限の警戒をしておこうと言ってたので」
「スイくん....」
「さあ、勝負に決着をつけましょう!私はこの通り、1歩も動けません。だから、遠慮なくトドメを刺してください。その方が、私もスッキリしますから」
「うん、分かった。カーラちゃんとは仲良くやれそうだね。勝負が終わったら、お友達にならない?」
「私で良いんですか!?」
「うん、そうなってくれると嬉しいな」
「私もフィオさんと仲良くなりたいと去年から思ってたので、私で良ければ是非!」
「ありがとう!じゃあ、そろそろ決着を付けようか」
「ええ!」
フィオは少し離れてカーラに右手を向けて、魔法を唱えた。
「行くよ!カーラちゃん。<エクスプロージョン!>」
フィオが放ったのは、炎属性の超級魔法である<エクスプロージョン>だった。
「きゃああああ!」
フィオの<エクスプロージョン>を無条件で食らったカーラは、あっという間にフィールドの外まで飛ばされていた。
「そこまで!カーラ・フォン・マクウェルの戦闘不能を確認しましたのでこの試合、勝者フィオ・ローレンツ!」
審判の人が右手を掲げ、フィオの勝利宣言をした瞬間会場が割れんばかりの大歓声に包まれた。
「おめでとう、フィオ!」
「お前ならきっとやってくれるって信じてたぞ!」
「フィオさん、おめでとうございます!」
「フィオ、おめでとう!」
「フィオくんならやってくれると信じておったぞ」
フィオは、会場の歓声に恥ずかしそうにはにかみながら右手を上げて応えていた。
ーーーーーーーーイングレアsideーーーーーーーーー
「ユーマくん、フィオさん勝ったよ!」
「うん、そうだね!流石だよ」
「フィオさんが勝ったおかげでイングレアの2勝になって、3年ぶりの武魔法大会優勝までリーチがかかったわけか」
「そうだね。次のオーグが勝てば、うちの優勝だ!気合い入れてけよ?」
「勿論だ。本気でやってフェリア嬢とは互角か俺がちょっと上くらいだからな。力の差はほとんど無いと言っていいだろうな」
「なるほどな。でも、僕はオーグが勝つって信じてるから!」
「ありがとうな、ユーマ」
僕とオーグは、拳を合わせた。
暫くみんなと話していると、フィオが戻ってきた。
「みんな、ただいま!」
「おかえり、フィオ。勝利おめでとう!」
「ありがとう、ユーマくん。何とか勝てたよ」
そういうフィオは疲れきった顔をしていた。
あんなに激しい戦闘を繰り広げたんだからな。当たり前だよね。
ルディはフィオが部屋に入ってきた所で、抱きついていた。
「フィオさん、おめでとう!」
「ありがとう、ルディちゃん」
「お疲れ様でした、フィオさん」
「シルフィちゃんもありがとう!これで私たちの優勝に王手なんだよね?」
「そうだよ。次の試合でオーグが勝てば、3年ぶりの優勝が決まるよ」
「そっか・・・」
フィオは感慨深そうに上を見上げた。
フィオが顔を上げてから暫くして、僕はパンッ!と手を叩いた。
「フィオ。感慨にふけるのも分かるけどまだ試合は終わってないし、何より優勝も決まってないんだ。思い出に浸るのは優勝が決まってからにしよう」
「そうだね。次はオーグくんとフェリア様だよね?オーグくん、頑張ってね!」
「ありがとうございます!絶対優勝をもぎ取ってきますよ」
「うん!」
フィオとオーグは、固い握手を交わした。
ーーーーーーーーフェイルバードsideーーーーーー
「ごめんなさい!」
私は控え室に帰ってすぐ、負けてしまった上に相手に優勝へ王手をかけさせてしまったことをメンバーに謝った。
「頭を上げなよ。謝ることじゃないし、カーラは真剣にやったんだろ?」
「それは、勿論です!」
「ならそれで良いじゃないか。良い試合だったよ!」
「ス...スイウェルさん!うぅぅ.....うわぁぁぁぁぁぁ(泣)」
私はスイウェルさんの言葉で、耐えてたものが決壊して涙が止まらなかった。
「カーラちゃん、お疲れ様」
泣いている私を、ヴィオラさんが背中を擦りながら抱きしめてくれた。
暫く泣いた後、私は顔を上げた。
「ごめんなさい...みっともない姿を見せてしまって」
「みっともないなんて思ってないですよ。あとは任せてください」
「あ...ありがとうございます。フェリア様」
「こら!(こつん)様付けは要らないと言ったでしょ?」
私は、頭を小突かれた。
「は...はい。フェリアさん」
「まあ、良いでしょう」
フェリアさんはクスクスと可愛らしく笑っていた。
「フェリア、あんまりいじめてやるなよ?」
「ごめんなさい、カーラさんの反応が可愛くてつい意地悪をしてしまいます」
「あ...ありがとうございます///」
フェリアさんの言葉に、私は顔が赤くなってしまった。
「さて、俺たちは追い込まれてしまった訳だがまだまだ大会は終わってない。諦めずに最後まで足掻こう!」
「おう!」
「ええ!」
「「はい!」」
「みんないい返事だね。次の中堅戦はフェリアが出場だったな」
「ええ。相手はオーグさんなので私も本気でやらないといけないですね。手を抜いて勝てるほど相手は甘くないので」
「強いとは聞いたことがあるけど、実際の強さはどうなんだ?」
「そうですね。私が全力で戦って五分か若干オーグさんの方が強いくらいですね」
「オーグはそんなに強いのか!」
「ええ。ですが、最後に手合わせしたのは3~4年前なのでそこから成長した姿をオーグさんに見せつけますよ!」
「向こうも強くなっているだろうが、俺はフェリアが勝つって信じてるよ!」
「ありがとうございます!スイウェルさん」
スイウェルさんとフェリアさんは拳を突き合わせていた。
はい!どうも。ユウキと申します。
本当はこのお話は去年の年末までに投稿する予定だったのですが、内容に納得がいかない部分がありそれを修正したり加筆をしたりしたので少し遅れてしまいまがやっと自分の納得出来る話になったので投稿することになりました。
今後も不定期にはなりますが、自分や読んでくださっている読者様達が面白いと思えるようなお話を書いていきますので今後ともよろしくお願いします。
なるべく早く次の話を投稿できるよう頑張りますので「頑張れ!」とか「更新待ってるぞ!」と思ってくださった方は、是非ブックマーク追加とポイントをよろしくお願いします!
なろうの制度が変わり☆アイコン1つにつき、2ポイントとなり、評価点は一人一作品に対し、2~10ポイントまで入れることができるそうなので、この作品を読んでくださってる方、これからこの作品を知る方も是非評価していただけると嬉しいです。
もしこの話が面白いと思ってもらえたら評価とブックマーク登録も忘れずにしてもらえると、嬉しいですし主の執筆活動の励みやモチベーション維持にもつながりますのでよろしくお願いします。
1人1人の評価はとても大切ですし投稿や作成の励みになります。
また「ここはこうした方が面白くなるよ」とか「ここ面白かった」などの感想もどんどん受け付けています。
感想は確認次第返信していきますのでじゃんじゃん送ってきてください。
次回予告
武魔法大会の決勝。
次はいよいよオーグとフェリアの中堅戦。
オーグとフェリアの実力は拮抗しており、開始直後から長い間撃ち合いに発展する事となる。
次回:武魔法大会決勝、中堅戦 オーグVSフェリア
次回は今月末か来月頭での投稿を予定しております!




