第19話〜冒険者登録とパーティー結成〜
第19話スタートです!
今回でいよいよユーマ達がパーティーを組みます!
......
......
冒険者になる為の修業をお父さん達につけて貰い、5年の時流れた。
最初の3年で父さんとユリウスさんに武器での戦闘を、母さんとエイナさんに魔法の訓練を付けて貰い、その甲斐あって僕は2年で、ルディも3年で免許皆伝になった。
そしてこの2年間は、外に出て魔物との実戦を行った。
最初の戦闘は張り切り過ぎてしまい、ギルドで換金したらとんでもない報酬金額になってしまった。
よって、僕とルディ、そしてシルフィは次から自重する事を心掛け、父さん達が指定した魔物や数を討伐する事で、実戦を積んでいった。
そして遂に、僕らは冒険者登録が出来る10歳になった。
僕は年相応とまではいかず、身長は150cm台でルックスも相待って、男の子よりも女の子に見られる事が良くある。
絡んできた人(ナンパしてきた人)にはO・HA・NA・SHI(物理)をした。
勿論手加減はしている。
ルディは僕より少し高い160cm台に成長して、同時に髪も腰位の長さまで伸ばして、ポニーテールに纏めている。
胸は、年相応より少し大きく、D以上はありそうだ。
それでいて腰は細くくびれ、お尻も肉付きがいい。
ルディは実はかなりの大食いで、毎日僕や母さんの料理を沢山食べている。
その結果、その凄まじい食欲と日々の冒険者修行の生活がこの発育を生んだんだろう。
今僕は、ルディやシルフィ、それにそれぞれの従魔と一緒に冒険者ギルドに来ていた。
冒険者として登録する為だ。
「こんにちわ、エミリア」
「エミリアさん、こんにちわ」
「こんにちわ、ユーマ君にルディちゃん。今日はどういったご用件ですか?」
この受付嬢のエミリアさんは、僕達が最初に換金に来た際対応してくれた受付嬢さんだ。
あれから顔見知りとなった僕らは、エミリアさんに対応して貰う事が多くなり、彼女とは自然と親しくなった。
親しくなったのと冒険者として慣れるためにと、エミリアさんは僕達に、タメ口で話すようにと持ちかけてきた。
名前を呼ぶ時も、呼び捨てで良いと本人から言われていた為、僕は呼び捨てで呼び、タメ口で話すことにした。
ルディはまださん付けで呼んでいるが、話すときはタメ口に慣れたようだ。
「僕もルディも、10歳になったから冒険者登録に来たんだ」
「それに、あたしとユーマくんとユーマ君の横にいるシルフィの3人でパーティー登録もしようと思うんです」
「そういえば、ユーマ君の横にいる方は初めましてですね。ここのギルドで受付嬢をしているエミリアと言います。よろしくお願いしますね」
「初めまして、エミリアさんですね。私はユーマの専属メイドをしておりますシルフィと申します。ご覧のように狐人族です。こちらこそよろしくお願いします」
「シルフィさんですね。3人とも、おめでとうございます。では、この用紙の記入事項を埋めてください」
エミリアが差し出した用紙に名前、年齢、従魔名、パーティー名を記入して、エミリアに渡した。
「確かに確認しました。まずは、試験の前に魔力調査をします。魔力が少なかったからと言って冒険者登録できないとかは無いので安心してください」
やっぱり母さんが言ってた通りの展開になった。
実は魔法の授業の時に僕の母さんからギルドで冒険者登録する時は魔力調査があるわよと聞いていたのだ。
この世界ではみな誰しも魔力を少なからず持っていてその魔力は人によって量が違う。
魔力量は色で区分けされていて順番に黄色→赤色→青色→緑色→黒色となっている。
「では、順番にこの水晶に手を置いて魔力を流してください」
エミリアは受付のカウンターに魔力を測れるという水晶を置いた。
「どうする?」
「シルフィからやりなよ」
「私から?分かった。良いよ」
シルフィは僕達よりも前に出て、水晶に手を置いた。
「行くよ!えいっ」
シルフィは可愛らしい掛け声を出した後、水晶に魔力を込めた。
水晶はだんだんと色を変えていき、黒色で勢いを止めた。
「く、黒色!?シルフィちゃん凄いです!かなり多いんですね!!」
「へへっ!ありがとうございます。そんなに褒められると照れちゃいますよ」
シルフィは顔を赤くしながらも喜んでいた。
どうやら満更でもないらしい。
周りにいた冒険者さん達はシルフィの魔力量に驚いていた。
「あの子、魔力の色黒色だってよ!」
「まじか!?じゃあ相当な魔力の量なんだろうな」
「顔も可愛くて魔力も多いなんて羨ましいわ!」
「あの子、うちに入ってくれないかな?」
「無理だろうな。あの子の後ろにもう1人可愛らしい女の子が2人居るからな。3人でパーティーを組むんだろう」
「そっか、残念。ん?」
「どうした?」
「さっきあなた、後ろに女の子が2人いるって言ってたけど身長の低い方は男の子だと思うわよ?」
「まじか!?よく気付いたな」
「背は小柄だけど筋肉の付き方が男の物だったからね」
「へ〜。あの子達は将来大物になれる予感がするしお友達になれたらいいな」
会話をしていた男女はAランク冒険者パーティー「日月を極めし者」のリーダーであるアロンとメンバーのカリナである。
この2人を含め「日月を極めし者」とユーマ達はこの先かけがえのない親友でありライバルになるのだが、それはまた今後の話である。
「次はルディだね。頑張って!」
「うん!」
ルディもシルフィと同じように水晶に魔力を込めた。
すると、水晶の色は黒色になった。
エミリアはまたも驚いていた。
「ルディちゃんも黒色になった!?この子達はどうなっているの?」
ルディの魔力量にまたもや周りがざわついていた。
さて、次は僕の番だ。
っと、そこまえにエミリアに伝えておかないとな!
「エミリア、今から僕が魔力量測るんだけど驚かないでね」
「え?それはどういうこと?」
「僕の魔力量、シルフィやルディより多いから」
僕はそう言うと、水晶に魔力を込めた。
すると水晶は黒色になった後、パリンっと音を立てて割れた。
これには、周りにいた冒険者さん達も絶叫していた。
「う、嘘だろ!?水晶が割れるなんて聞いた事ないぞ」
「確か500年前に実在していたとされている大賢者エリンダース様が魔力を測れるあの水晶を割ったとされているわ」
「という事はあの男の子はそのエリンダース様と同じって言うのかよ」
「当時と今では技術も当然違うから一概には言えないけどそれに順当する魔力量を持っていることは事実ね」
エミリアはツッコミ疲れていたが、ちゃんと自分の仕事は全うするようだ。
「では、これより冒険者登録の為の試験を行います。付いてきてください」
言われるまま、エミリアに付いていくと大きな広場というか闘技場についた。
「まず、剣技の試験を受けていただきます。その後魔法の試験に入ります。どれか1つを選んでも良いですし、全部やられても構いません。自分の戦闘スタイルに合う試験を行なってくだされば大丈夫です」
「私は拳闘士なのですが、どうしたらよろしいですか?」
「拳闘士の方は、あそこにある丸太を思いっきり殴ってください」
「分かりました」
少し考えた後、それぞれが決めた試験内容を受けることにした。
僕は、剣(本当は刀が良かったが、無かった)と魔法、ルディは二刀流と魔法、シルフィは拳闘士と魔法を受ける。
「先ずはルディちゃんからね。剣士は今からくる試験官と勝負するのよ」
説明していると、背の高い男性が入ってきた。
「俺が剣の試験官を務めているキベックだ。一応ランクアップのための試験官も併任している。よろしく頼む」
「よろしくお願いします。試験内容を教えてください」
「俺と勝負するのは、嬢ちゃんとそこにいる男の子か。試験内容は俺に参ったと言わせたら合格だ」
「分かりました。ありがとうございます」
試験官のキベックとルディがある程度離れた所で、止まった。
「それではこれよりルディちゃんの冒険者登録試験を行います。では...始めっ!」
開始の合図と共に、ルディが動いた。
右手の剣を振り下ろす所で、キベックの持つ剣が受け止めた。
そこだ!とばかりに左手に持っていた剣でキベックの右脇腹を狙ったが、ギリギリの所で躱されてしまった。
「嬢ちゃんはルディと言ったか?」
「はい!私はルディです」
「二刀流にも驚いたが、剣技も素晴らしいし動きに淀みがない。一体どういう修行をしたら、こんな動きになるんだ?」
「修行に関しては、お父さんやお母さんに鍛えられましたからね」
「君の父親と母親は?」
「冒険者パーティー、紅銀の大地のユリウス・リザベートとエイナ・リザベートが私の両親です」
「何⁉︎ユリウスさんとエイナさんの子どもか!それは強いわけだ!という事はあそこにいる男の子はもしかして?」
「そうです。同じく紅銀の大地のブライト・シンフィールドさんとサリー・シンフィールドさんの息子であるユーマ君です」
「やはりな!という事は3人に修行を付けたのは紅銀の大地の皆さんか?」
「そうですよ!」
キベックは暫く考えた後、剣を鞘に戻して両の手を上げた。
「参った!降参だ。ルディとユーマに関しては俺では勝てないな。エミリアくん、俺の試験は終了だ!次の試験に移ってくれ」
「よろしいのですか?」
「ああ!今の俺では、紅銀の大地の皆さんが鍛えた3人には勝てないからな。文句なしに合格だよ」
「分かりました。では次の試験に移りますので、3人とも付いて来てください」
キベックにお礼を伝え、僕達は闘技場を後にした。
(あの3人は更に強くなりそうだ。ギルドマスターにも報告しておくか)
キベックと別れた僕達は、次の魔法の試験も合格し晴れて冒険者になる事ができた。
因みにシルフィが受けた拳闘士の試験も問題無くクリアしていた。
「3人とも合格おめでとうございます。では、ギルドカードを発行しますので、その間に冒険者の説明をします」
エミリアは用紙を係の人に渡して、僕達に向き直った。
「では、説明をします」
エミリアの説明を纏めるとこうだ。
冒険者はG〜SSSまでの10段階に分けられていて、それぞれギルドカードの色が違うようだ。
Gが灰色、Fが水色、Eが赤色、Dが朱色、Cが青色、Bが緋色、Aが金色、Sが黒色、SSが深紅色、SSSが白金色といった具合いだ。
このランクは、一定の依頼をこなしたり魔物を討伐したりなどと、それまでの活動でランクアップに十分な実績を出せば、1つ上のランクへ昇級できる。
しかし、Cランクから上はランクアップの試験を受ける必要があり、Aランクからは試験に加え、推薦状が必要となる。
依頼はクエストボードで依頼用紙をとって、受付カウンターに持って行けば受注できる。
ただし依頼を受けられる上限は、今のランクより1つ上のランクまでの依頼となる。
また、常駐依頼といって常に募集している以来については、用紙を持って行かなくても討伐した証明部位を持っていけばクリアとなる。
また、依頼中に別の依頼の魔物と遭遇し、討伐してきた場合も一応買い取ってもらえるし、活動実績にはなるが、正式に受けた依頼ではないため、依頼完了とはならない。
そして、依頼を受けた後、その依頼遂行に失敗する、もしくは何らかの事情で中止する場合は、違約金としてギルドに依頼報酬の3割の代金を払わなければならない。
それが3回連続で行われると、実力不足と見做されてペナルティーとして1ヶ月の冒険者活動を禁止されるので注意しなければならない。
また、それがあまり悪質だとランクが下がったり、他にも街の人に暴行を働いたり、ギルドの信頼を落とす様な事をすると、最悪ギルドから除名される事もある。
除名された冒険者は、その記録が世界中のギルドへと報告され、もう2度と冒険者登録する事が出来なくなる。
「……説明は以上ですが、ここまでで何か質問はありますか?」
これらの説明は母さん達の授業で予め聞いていたが、これと言っての相違点はなかったので大丈夫だ。
「大丈夫。丁寧な説明ありがとな」
「ありがとう、エミリアさん」
僕とルディはエミリアに説明してくれたお礼を言った。
「うふふ。どういたしましてです」
その時にちょうど、係の人が3枚の灰色のカードを持ってきてくれた。
「お待たせしました。こちらが、3人の冒険者としてのギルドカードになります。これは各自の身分証明になります。発行には代金はかかりませんが、紛失して再発行される場合は銀貨1枚の手数料がかかります。ですから無くさない様に気を付けてください」
ギルドカードは冒険者の身分証明書にもなる。
つまり、検問所を通過する際にこれを見せれば、通行費として税金を払う事なく通過する事が出来る訳だ。
僕達は自分達のギルドカードを受け取った。
「「「ありがとうございます」」」
受け取ったギルドカードには、僕の名前、種族、年齢、ランク、従魔の欄にリムルとルクスの名前、パーティメンバーの欄にルディとシルフィの名前、パーティーランク、そして、僕達のパーティーの名前が刻まれていた。
「これで登録完了です。そしておめでとうございます。以上で、冒険者パーティー、蒼銀の双翼の登録が完了しました」
蒼銀の双翼、これが僕達のパーティー名だ。
これは大分前から僕とルディ、シルフィ、リムル、ルクス、クリスの6人で話し合っていて決めた。
僕やルディの髪の色に、僕達の従魔はどちらも、立派な翼を持っていて、リムルの白銀の体などの特徴を合わせて考えた名前だ。
名前の響きもいい為、この名前でいく事に話はすぐに纏まった。
こうして、後の歴史に名を残す事になる冒険者パーティー、蒼銀の双翼が誕生した。
あとがき
もしこの話が面白いと思ってもらえたら評価やブックマークをよろしくお願いします。
1人1人の評価はとても大切ですし投稿や作成の励みになります。
また「ここはこうした方が面白くなるよ」とか「ここ面白かった」などの感想もどんどん受け付けています。
感想は確認次第返信していきますのでじゃんじゃん送ってきてください。
次回予告
冒険者登録を終えたユーマ達は、家に帰った後、いつものように過ごしていた。
1ヶ月後に迫る王都にある王立学園への入学試験の為に、更に経験を積むこととなる。
そしてユーマは、ある決断をし、ルディとシルフィを呼び出す。
次回:2人への告白とプロポーズ




