『えっちな奴隷』
お久しぶりです……。やっと投稿することが出来ました。待たせてしまった方々(もしいたら)、本当に申し訳ございません!!恐らく不定期になると思います。
【前回のあらすじ】
フィオナの洗脳が解け、エリナはその衝撃で倒れ込む。
フィオナは洗脳されていたとはいえケイトを裏切ろうとしていたことに後悔をして嘆いていたが、その事情を知らなかったケイトに助けられた。
倒れ込んだエリナは殺されないようにケイトに祈願した。ケイトは殺す気満々かと思いきや、何故かナイフでエリナを刺さずに「自分」を刺してしまった。
【本編】
「ケイトっ!? 何してるのっ!?」
フィオナは俺がナイフで自身を刺すことに驚いたのかマヌケな声を上げていた。
俺はナイフで自分を刺したまま、フィオナの方を向く。
「フィオナ。安心しな、俺が刺しているのは心臓じゃ無くて手の甲だよ」
自殺願望などさらさらない。俺はあまり殺戮などしたくはないし、出来るだけ平和な方法で解決を望んでいる。そして考えた答えが今の行動だ。
手の甲から血が広がり、流れ出る多量の血を恐怖で身が竦んでいるエリナに思いっきりかける。罪悪感などサラサラない。なにせ、俺を殺そうとした女だから。
「――ひゃぁ」
「お前なら俺が何をするか……分かるよな?」
俺がいつもより低音な声を出して威圧をすると、威圧が少し効いたのかエリナは目に涙を浮かべていた。これだけ冷酷だった人間が、今はこうな弱々しいだなんて目の前の現実が信じられない。
「魔法で抵抗すれば良いのに……」
俺は皮肉を込めるように言った。エリナは血に濡れた醜い顔で、涙をボロボロ流しながらも、首をフルフルと横に振った。
「どぉ……奴隷にする洗脳術が解かれた時、その洗脳術をした本人に大きな負担が掛かることを知って言ってるんでしょ!! この勇者の皮を被った悪魔め!!」
「お前みたいな奴に悪魔呼ばわりされるなんて、俺も堕ちたもんだな。だが、あんな偽女神に騙されたお前が招いたことだ。しっかりとこれで償いな。それに、やっぱりフィオナに洗脳術を使っていたのか……」
エリナは洗脳術を使っていたのが俺にバレて落ち込んでいた様子だった。しかし間もない内にいきなり、怒声を上げる。
「これも全て偉大なるルミネス様の考えだ。ルミネス様はこの世界の神だッ!! 偽女神など貴様が言える立場か――」
言い終わる前に、エリナはバタリとそのまま倒れた。かなりの負担が掛かっている状態であんなに叫んだら、そりゃあ、こうなるわ。
流石のエリナでももうお疲れらしいからさっさと奴隷の儀式を済ませよう。
「転生前より弱くなった=転生前の知識が無くなった。ということにはならないからな? 元勇者だった時の知識を今ここで存分に使わせて貰うぜ」
そして俺はエリナに向かって奴隷の儀式を始めた。コレと言った呪文詠唱は無いが、奴隷にしたい奴を肉体的か、精神的に弱らせて自分の血を掛ける。そして自分の思うがままに操りたいという、「心の闇」を解放し強く念じる。念じ方が強ければ強いほど、洗脳は解けにくい。てか寝顔可愛いなおい。
「――完了だ」
こうしてエリナは俺の完璧な奴隷となったのだ。あまり気分は良いものではないが、相手側もフィオナを洗脳しようとしたから仕方ないか。
エリナはゆっくりと立ち上がると俺に向かってこう言葉を発した。その表情はあまりにも冷めていて例えるならば「氷の女王」だった。ひどく冷徹な表情のソレは大きく息を吸い込むと――
「……ご主人様。私とエッチな事しませんか?」
「えっ?」
エリナはコロッと変態そうな表情に変えた。その姿はとても可愛げがあるのだが、甘い吐息を漏らしながら自身の身体を舐め回すように様々な部位を触っているのを見てしまうと男としてのナニかが湧き上がってしまい――
「……喜んで!!」
予想外の展開に一瞬戸惑ったが、きっと俺は最善の道を選んだだろう。悔いはない。というか、「悔い」というよりも俺が「喰い」気味だった。なんてね。
「善は急げですっ♪ご主人様っ。今夜しましょう?」
「しょうがないなぁ~って今夜!?」
エリナは俺に密着するようにくっついた。未だにハァハァと顔を赤らめて甘い吐息を吐いている。これ以上近づくな。これ以上言わせるな。俺のムラムラがそろそろ限界だ。こんなにエッチな女の子なんて……ケイトくん知らなかったよぅ……。
俺のエクスカリバーが進化しようとするときに、俺の前に鋭い声音が入り込んだ。
「ケイト……? いい加減にしてね?」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! フィオナ様ごめんなさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!」
怒りに満ちたフィオナの鉄槌の様な拳を喰らい僕はめでたくノックダウンしましたとさ。めでたくないめでたくない。
×××
何故エリナを奴隷にした際、こんなにエッチな子になったのかは見当が付かない。そりゃあ、俺にとっては万々歳だけれど――エリナのキャラにギャップがありすぎてどれが本物か分からない。
「……おい。そろそろ機嫌直せよ~」
「あっ……ふんっ」
フィオナはさっきからずっとこんな調子だ。どんだけ怒っているんだか……。フィオナは男の気持ちが当分分かりそうじゃないな。そしてエリナも――
「ご主人様っ。今日から私とご主人様の沢山のぉ……愛を育んでいきましょうね?」
「もちろ……冗談はよせ」
危ない危ない。もし今度あんな事になったらフィオナに殺されてしまう。俺は肩を竦めると前方に何か怪しげな物体が現れた。もしかしてあの石野郎か? デジャヴ?
「ククッ……」
低い声で笑った主―――怪しげな物体は原型を留めていなかった。何と表現すれば良いか、簡単に言うと幽霊のようなハッキリとは見えない靄がかかったような感じだ。
「私に任せて下さい♪」
エリナが俺達の一歩前へと出た。その熱い雄志に俺は心を打たれた。普通の魔物ならまだしもソイツは攻撃が当てられるかどうかも定かではないのに。
素直に、かっこいいと感じた。
「エリナ……。俺達も行こうぜ!!」
「気を付けてねケイトっ」
光風霽月な澄み切った青い空。日の光の中を吹き渡る心地よい風を感じながら、輝きを増す太陽の下で俺達は戦闘を開始した。
ケイト「はぁ……展開が急すぎる」
エリナ「よかったら評価やブックマークなどを御願いします!!」
ケイト「いやだから展開が急だって!?」