最終回
満足そうな表情を浮かべる彼女たちに、どうして体力がこんなにも続くんだ、と嘆く少年。
その三人の姿ときたら、強い絆で結ばれた家族のような温もりを感じるほどだ。
「割と楽勝だったね」
「でも、緑色のモグラの魔物なんて初めて見ましたよ」
「あれ、変だったね」
楽しげな会話を繰り広げる二人には、友情が芽生えたようで良かった。
「私が女神だ」
ででーん。
空からなんか出てきた。
変なおばさんが飛んでるぞ。
周囲の樹木が揺れる。バサバサ。
「うわー、お前っ、変装していたのか。本物の女神は何処だー」
俺は咄嗟に叫ぶと奴は微笑を浮かべ、驚きの事実を口にした。
「奴は私だ」
なんと、最初からその女神は悪魔だったのだ。
長年、儚き姿に化けて闇の計画を実行しようとしていたのだ!
「てめぇ、ゆる三蔵」
俺は怒りを自身のエネルギーに変えて立ち向かった。
勇者の力の一割にも満たないこの身体だが、特別なモノは備わったみたいだ。
「俺の能力は《ブラック・アイド・ピース》。周囲の動植物に意思を持たせるッ! そして意思を持つ彼らには攻撃の対象は明確に分かるハズだッ! お前達、やーっておしまい!」
意思を持った樹木や草や石粒や鳥やダニやごみが、一斉に女神を襲う。
「う、うわー。やられたぁ」
ばーん!
そして世界は平和になった。