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ケイト・クロムはてんせいさせられた!!

タイトルと一部内容を変更いたしました。

「もう駄目ですね」


 遂にバレてしまったのか。


「ふぇっ!?」


 とぼけておこう。


「貴方みたいな勇者が多すぎます、こっちの身にもなって下さい」


 もうバレてるみたいだ……って他の勇者も俺みたいなのがいたのかよ!?


「では、勇者失格なんで『アガンパレス』の「平民」に転生して、「平凡」に暮らしてください」


 ……転生!?


 女神様は透き通った空色の目で、俺に言い放った。洗練された服を美しく着こなす女神様はいっそう女神様を引き立てていた。素直に美しい。だが、そんなことより、


 おいおい、冗談だろ?


「いや、待って待って!? 給料いいのに辞めたくないんだけどっ!」


 女神様は苦笑した。


「せめて勇者の姿で転生させて下さい」


 いやいや、と手を振って女神様は答える。


「それはできません、貴方を信仰している人々からお金を貰う気ですよね。冒険者から努力して下さい」


「……」


 ――図星だった。

 でも、転生してからすぐに冒険者になれるのだったらまだマシかも……何しろ、サボった勇者を、赤ちゃんから転生させた女神様もいるのだ。


「一度、勇者まで昇格した貴方ならしっかり出来ますよ」


「この世界は厳しいなぁ……また冒険者からですか」


「貴方がしっかり仕事していればいいものを……自業自得です」


 女神様は微笑んででこう話してくれた。


「貴方みたいな者も今頃、冒険者をやっています。その者達とパーティーを組めば良いですよ」


「はぁ……」


まあ、勇者にまた昇格するのなら冒険者が最適だ。しかし神から、農民やら商人になった人は、少なからずいるだろう。しかし……その勇者達も、転生させられ、女神様に姿を変えられたのであろう。


 だったら元勇者が誰か分かるハズも無い。


「私は忙しので。では」


「女神様が忙しそうな所を私は見た覚えが――」


 ――俺は話し終わる前に光の渦に巻き込まれた。









 目覚めると、そこは『アガンパレス』という街だった。


「はあ……飛ばされちゃったよ」


 ケイトはため息をついた。私は遂にこの街に、飛ばされてしまったのだ。


「まあ、仕方ないか」


 ん……? あ、容姿に違和感がありますねこれは。


「どうなったんだ……?」


 女神様、ふざけた容姿にしていたら精神的に病むからな俺。

 ……鏡でも見つけたら、容姿を確認しよう。


「少しは……かっこいいよな?」

 


 俺は『アガンパレス』を見守る女神、ルミネス様の下で働いていた。

 最初は、給料も高いし勇者としての位になったのがが誇りだった。


 ただ――


「ブラック過ぎなんだよ……」


 この街の管理は大変だ。魔物などを、近づけない結界を一日に何度も張り直さないといけないし、朝昼晩危ないことが起きないように見回りに行ったりする。ちなみに見回りは、注意深く見なければ行けないので下界に降りなければいけないのだ。でも、ここら辺のことを全て把握しているかと聞かれると、自信が無いところも結構ある。敵がほとんど出ない場所はあまり行かないからだ。


 その時は俺の姿が見えないように魔法をかけて貰う。

 確か、【透明化】という激レアスキルだったな。


 しかも終わったら身体を2時間清める。

 『清めの塩』だとかの、レアアイテムだ。


 というか、女神様は何故こんな良いスキルやアイテムがあるのだろうか。

 こんなんチートや! チーターや!


 でも、今は俺達に指示やら何やらこき使っていたルミネス様の下で働かなくなって良かったかも知れない。


 勇者って仕事は本当にキツいんだよな……もう仕事しなくて良いけれど。


「あ、鏡」


 俺はゆっくりと魔道具店の入り口付近にある鏡を覗く。


 緊張が走る――新たな人生。どうか……かっこいい容姿にしてください女神様!


「……あぁぁ、やっぱり」


 もちろん、容姿は変わっていた。着ている服も質素にはなったのだが……


「意外と良いなコレ……」


 鏡には、自分を睨んでいる少年が映っていた。

 目つきは少し鋭く、皮の防具がいっそう、どこかの悪者っぽさを演出させていた。

 少し、イケてるなと思ってしまった。

 背は以前より少し高く、茶髪のショートヘアが、意外にも似合っている。

 もしかしたら……前の容姿よりは好きかもしれない。


 もしこれでヒキガエルみたいな姿だったらショック死していた。絶対。


 しかし、これからの人生、どうすれば良いのか。

 『アガンパレス』のみんなに、「俺の前世は勇者だ! だからお金を恵んでください!」と頼んでも、頭がおかしい人にしか思われない。


 やはり、女神様の言った通り――


「冒険者になりますか」


 そして、俺はふらり、とした足取りで冒険者ギルドに向かう。

 どうせ、神という仕事も飽きてきたし、丁度良かったのかも知れない。


 いや、むしろ冒険者で暮らしていくか……

 少し投げやり気味だったのは言うまでも無い。









「ここだ……」


 冒険者ギルド『風月』。冒険者の幅が広く、初心者から上級者まで多くの冒険者が所属している。

 俺が勇者になるまで、ここでお世話になったものだ。


「まさか、またここに来るとは」


 何故か緊張する。やはり一度辞めたギルドにまた、入らせて貰うのは恥ずかしい様な気もする。

 だが、そんな所で立ち止まってはいけない。

 勇気を出せ、ケイト!


 扉を勢いよく開ける。


 ――バンッ!


「こんにちは! このギルドに所属を希望するケイトです!」


 ギルドの連中が、俺をジッと見つめた。


 ――次の瞬間、ギルドから歓声が響いた。


「なかなか度胸のある新入りじゃねーか」

「ガキのくせに威勢だけは良いな! 悪くねぇ!」

「おい、俺と一勝負でもしねぇか?」

「子供だから手加減しろよー」

「意外と強いかもしれねーぞ!?」


「あはは……」


 相変わらず賑やかで、冒険者ギルドは男の人が多い。そもそも、酒を飲んだ中年の冒険者が絡んで来ると対応が面倒くさいから苦手だ。


「冒険者ギルド『風月』へようこそ!」


 奥の受付嬢が、大きくハリのある声を上げた。


 うんうん。この感じだ! 懐かしいな、冒険者ギルド!

 俺が一人、懐かしんでいると奥の方から


「こちらへどうぞ!」


 と、声が聞こえた。遂に来たぞ!


 俺は挨拶代わりに


「朝っぱらなのによく飲んでいますね」


 と、話しかけた。


 フレンドリーは大切よ!


「あはは……」


 意外にも、反応が薄かった。

 そうか、ここのギルドでは日常茶飯事だった。

 少々、反応の薄さに凹む俺。メンタル力0です、ハイ。


 気を取り直して……


「冒険者の登録に来ました」


「かしこまりました! では冒険者カードを発行いたします。ではギルドについて簡単にご説明しますね! 冒険者カードには、ご自身の能力などが記載されます。能力に応じて、Eから、Sランクまであるんですよ!」


 思い出した。当初の俺はレベル1の時点で難しいクエストも難なく突破した。つまり、元々の能力がずば抜けて高いのだ。おかげですぐランクアップして勇者になれた訳だが……


「今回はどうなるのか」


 女神様に能力をかなり下げられたらショック死する。絶対。


「魔物などを倒し、レベルアップされた場合、冒険者カードが青白く輝き、レベルアップを教えてくれます。無くされた場合、再度、発行出来ますが手数料が掛かりますのでご了承下さい。クエストをクリアするとギルドから報酬が出るので頑張って下さい! クエストをクリアし続けるとランクも上がり、なれる職業も増えていきます。迷宮へ行く際には自己責任でお願いします。死亡してもギルドは責任を負いません……」


 まあ迷宮にいくのは、もう少しレベルを上げてからで良いだろう。

 万が一死んだらかっこ悪すぎる。勇者だったやつが。


「冒険者カードの発行が完了しました! ではご自身の手を冒険者カードに触れて下さい」


 やはり手だけで能力が分かるのは良いな。

 どこか別の所だと自分の血で能力を知れたりするものだ。

 正直、こっちの方が痛くないし手軽だしで俺得だ。

 しかし……前々から思っていたが、どういう原理なのだろうか。時間があったら調べてみるか。


 俺は右手を恐る恐る冒険者カードに近づける――


 触れた瞬間、冒険者カードに沢山の文字が浮き出てきた。自分の能力について記載されているのだ。


「やはり神秘的だ」


「はい! 完了しました!」


 冒険者カードに手を触れると、その人の名前や能力や装備品、スキルなどが記載される。

 個人情報がビッシリ載っているのだ。


 私の能力を見て彼女は一言。


「うーん」


 え? なに「うーん」って。まさか微妙って事!?

 ショック死の準備は出来ています。


「これだとなれる職業が『冒険者』ぐらいですかね」


 ――そんな。


 視界が揺らめいた。


「う……嘘だろっ! だって――前は、勇者だったんだぞ俺は!」


「スゴイデスネー」


 受付嬢は苦笑いしていた。

 絶対信じてないだろコイツ。


 渋々俺は、自分の冒険者カードを手に取って見る。


 名前  ケイト・クロム

 年齢  16

 種族  人間

 レベル  1

 職業  冒険者


 体力 70

 筋力 62

 防御 31+3

 魔力 91

 魔防御 72

 俊敏性 30

 知力 32


 武器

 防具 【革の服】


 スキル


 年齢は何故かいじらなかったらしい。

 良かった、容姿や能力は大分変わっても、年は変えないのね。

 もし、年齢を変えられたら職業が【年齢詐称冒険者】になりかねない。

 いや意外と格好いいなこの名前……


 いや、そんなことより――


「俺の能力低すぎだろ!?」


 当初の俺はだいたい今の5倍だったぞ。

 どんだけ下げたんだ女神。


 あんまり知力は変わんらないんだけどね!


 おいそこ、元から馬鹿とか言うな。

 確かに平均知力は60だけどさぁ……


 そういえば、勇者に昇格するのはそこまで大変ではなかったな。

 勇者と言っても能力が高ければ意外と採用される。


「ま、まあ冒険者なんて最初はそんなものですよ! レベル1でこんなに魔力だけが高い人なかなか居ませんし……。これから頑張って行けば良いのです!」


 これ絶対、遠回しに俺の事馬鹿にしているよね。だけ――とかそれ以外悪いって意味じゃ無いか。

 確かに魔力はいいけど、他が少し心許ないだろ。

 まあ、今の俺の能力は大体、一般より能力が下レベルってところか。


 さて、第二の人生は『冒険者』として生きますか!

 もう、普通の能力でいいや!


 俺は涙目で頷いていると奥の方から、


「勇者だったと言うのは本当か」


 と、力強い声で誰かが発した声が聞こえた。

 俺は力強い声の聞こえた奥の方を振り返る。


 ――すると、大剣を担いだ男が俺を睨んでいた。

作者「ケイト。お前ショック死どんだけする予定だ……こんなのが主人公務まるのか?」

ケイト「お前が設定したんだろ……」

作者「いやメタいって。あ、この台本を読み上げてくれないか?」

ケイト「えっと…………面白かったら画面下部から評価やブックマークなどをして頂けると嬉しいです――って何で俺に言わせる!?」

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