~異世界転移!?~
ある日、目が覚めたら見知らぬ場所にいた。寝ぼけているわけでも、夢を見ているわけでもない。
周りを見渡すとひびが入った壁と、ぼろぼろのテーブル、そして椅子に座った見知らぬ女性がいた。
ショートで赤色の髪、身長は150か155だろうか、白色のワンピースを着ている。
目覚めたばかりというのもあり、今の状況が飲み込めていない。というのも部屋に一人ならわかるが女性がいるのだ。どうすればいいのかわからない。
とりあえず体を起こす。そして昨日のことを思い出す。
昨日、確かテレビゲームをしていて...。そのあと何があったんだっけ。
何も思い出せない。というより思い出そうとすると頭が痛くなる。
「ん...。あら、いつの間に寝ていたのかしら」
彼女が起きたようだ。聞きたいこともたくさんあるし、兎に角話しかけてみよう。
「あの...。ここはどこであなたは誰ですか?」
彼女は首をかしげながら言った。
「どこって、あなたと私のお家ですよ?そして私はあなたの嫁です」
は?今何て言ったんだ、俺と彼女の家?俺の嫁?
「ああ、正確にはこれからなる予定ですね」
いきなりこんなことを言われても人は戸惑うだけである。目が覚めたら知らない場所にいて、知らない女性からいきなりこんなカミングアウト。
「えっと、許嫁みたいな?」
考えた末に出た言葉がこれだ。
「まぁ、そんなところですね」
彼女はあたりまえのように話す。そんな彼女に対して僕はどうだ、いきなりすぎて頭がオーバーヒートしている。とりあえず名前を聞くことにした。
「よくわからないけど、僕の名前は矢城優夜、君は?」
「私はミュウ・クレイアと申します、ミュウとお呼びください」
「素敵な名前だね、それで、ミュウはどうしてここにいるのかな?」
一つずつ聞いていこうと考えた僕はここにいる理由を聞いた。
「それはあなたを呼んだのは私ですから、ここにいないとおかしいと思いますわ?」
呼んだって聞こえたが気のせいだよな…。聞いてみよう。
「呼んだってどういうこと?」
「そのままですわ。あなたを召喚したのです。」
言葉が出なかった。召喚されたということは、ここは異世界になるということだからだ。
「これからよろしくお願いしますね、優夜!」
まあ、もとの世界に帰る方法もわからないし、帰るまで付き合ってあげることにしよう。
「さて、お腹空きましたよね?いろいろ用意してあるので食べてください!」
見るといつの間にかテーブルに美味しそうな料理が並んでいた。異世界の食材ということもありとても美しく見える。椅子に座り匂いをかぐ、とてもいい香りがする。
「いただきます」
「召し上がれ」
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食事も終わり、彼女は用事があると言って出掛けたので、いろいろ考えてみる。これからのこと、この家のこと、そして彼女のこと。まずこれからだが、しばらくは一緒に生活するしかない。異世界ということもあり自分の常識が非常識の可能性がある。まあそこらへんは彼女の意見も聞かないとわからないから後で考えよう。この家はどうだ、外見も綺麗というわけではない。蔦があったりひび割れてたり、それに家具もあまりきれいではない。これについては買ってくる、もしくは自分でどうにかするしかないかな。家具くらいなら道具さえあればどうにかなる。道具があるかは別としてだが。これも後で考えよう。さて、彼女のことだが…。正直に言えば彼女と過ごすのは嫌ではない。だからといって嫁ですとか言われても困る。一度じっくり話をするしかないか。
「結局ミュウが帰ってこないと意味ないな。とりあえず自分にできることをやるか」
と言って日記を閉じた。これからどうなっていくのか楽しみで不安な自分を落ち着かせるために、家の掃除を始めた。