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第1話 「恋した君は」
もうずっと、人に惹かれることも、恋に落ちることもないと思っていた。
過去のトラウマから、軽い女性恐怖症になっていた俺は
もう人を好きになんてならない、一生独身でもいい
いつもそう思っていた。
実際、ずっと恋人なんていないし、
人を好きになることもなかった
好きになるという感情も、人を好きになる方法も忘れてたのかもしれない
そんな寂しい人間になってしまっていた俺が
ある日突然、ある人に恋をし、好きという感情を思い出した。
その人は、会社の同僚でも無く、同窓会で再会した古くからの友人でも無く、合コンで出会った女でも無く、
今、隣の席で授業を受けている女の子だった。
けれども、その恋が叶うことはありえない。
その子は女子高生で、俺は高校生でもなく、教師でもなく、普通の社会人だ。
いい歳した大人が高校生と付き合うなんて許されない。
いや、そもそもそんなことはたいした問題じゃないほど、決定的にこの恋が叶わない理由がある。それは
彼女には夢の中でしか会えないってこと。