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首に交われば黒くなりて  作者: 人生浪人
6/8

第一首 4話

――はや…だ!

――そ…ッ!!



なにやら辺りが騒がしい。

眠っていたローレンスがぼんやりと目覚める。

(…眠ってしまったようだな。)

(このような状態になるまでは睡眠などとは無縁だったのだが。)

(やはり…)

そう思いながら目を開けた時、その光景に一瞬目を疑った


檻に閉じ込められている。

いや、それは正確には鳥かごだったが首だけのローレンスには十分檻であった。


「これは…!」

「お目覚めかな、【デュラハン】。いや、ローレンスと言ったか。」

鳥かごの外から初老の男性がローレンスに話しかける。周りの男が村長と呼ぶのを聞く限り

おそらく、この者はメアリーの住む村の長なのだろうとローレンスは思った。


「ご老人、これはどのような冗談ですかな?私のことをご存知のようだが。」

「冗談などでは無い、デュラハンという存在を知っておるものならば当然の処置であろう。」

「…私にはそんな気はありませぬ。勝手にこの村の近くで寝泊りした非礼も詫びましょう。

即刻、村も立ち去ります。」

冷静な口調で話すも、内心ローレンスは嫌な予感がしていた。


「騙されるもんか!この死神め!!」檻を囲んでいる男の一人が叫ぶ。

「それはできぬ相談じゃな。なにせ我が村の娘までたぶらかしたようじゃしな。」


!!(この者、私の名を知っていた…。まさか…!)

「御老人、メアリーをどうしたんだ…」

ふんっ、と鼻を鳴らし村長はローレンスの入った鳥かごを若者に持たせ隣の部屋へ連れて行く。扉の先には


挿絵(By みてみん)

《変わり果てたメアリーの姿があった。》


女として最大の屈辱と凌辱を味あわされたのだろう。

あのきらきらした瞳は光を失い、優しげな顔は苦痛に歪み  メアリーは死に絶えていた。


「あ…あぁ…。」

「き、貴様らああああああああッ!!」


鳥かごの中で怒りをあらわにするローレンス。

それにおののき思わず鳥かごを落とす若者。


「何故だ!何故私ではなくその娘を殺した!!」

怒りと後悔、悲しみでローレンスの顔は端整などとは程遠くなっている。


「お主自身に何をしても無駄だったからじゃよ。」

「火あぶりにしろ。切り殺そうにしろお主にはまるで傷ひとつつかなかった。

だからメアリーから何か知らないか聞き出そうとしたのじゃ。」

「その結果死んでしまったに過ぎん。」

淡々と村長が話す。


「くっ…!(…私が、あの子の優しさに甘えさえしなければこんな事には!!)」


「まあ、貴様は体を先に仕留めたあと海にでも沈めてやるわ。」

それを聞きローレンスは周りを見て初めて気づいた。


    いない


「貴様ら、あの子と私を離したのか!?」

「?頭だけであるお前を攫ったのはむしろ体を先に片付けるためじゃ。」

「お主の愛馬は確か川を渡れぬようじゃからな。この家は川を渡らんとたどり着けん。

 川岸で立ち往生した所を退治してくるわ。」


この者たち『わかっていない』


「愚か者が!」

「あの子は、私の体などではない…!!」


それを聞いた村長は眉間にしわを寄せ「なんじゃと?」と少し困惑した。

とその時



「-~~----~~~~~--------------ッ!!!!」



なにやら声にならない叫び声のようなものが聞こえてきた。

村人達もそれを聞きギョッとした顔をしている。

叫び声を聞いたローレンスは叫ぶ。


「貴様ら!死にたくなかったら早く逃げるんだ!!」



――――もうすぐ彼女がやってくる。

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