第一首 3.5話
――嘘なんかでは無い!!俺はこの目で確かに見たんだ!!
一軒の家で若い男が村の長と思われる初老の男性に何事か訴えていた。
――あれは間違いなく【デュラハン】だ!メアリーの奴が連れてきたんだ!!
――村外れのアイツの納屋にメアリーが匿うのを俺は見たんだ!!
村長を含め、聞いていた村人達がどよめく。
――しかし、何故真面目なメアリーがデュラハンなんぞと…。
――もしかしたらメアリーは【魔女】なのでは…
村長を囲む村人達の一人がぼそりと言う。
――メアリーが魔女だとは…。にわかには思えんが。
村長は眉をひそめ信じられんと言った表情をしている
――そんなこと知ったことか!!問題はそこじゃない!
――誰かが今夜<死を告げられるかもしれない>ってことだ!!
男がそう叫んだ時、その場が一瞬凍りついた。
――どうすんだよ!この村にかけられた結界はデュラハンには無意味のようだし、
うちには駐在してる騎士様なんていないんだぞ!
――…確かに、由々しき事態じゃな…。幸いデュラハンに対する知識ならば書物にもある。
――向こうが動く前に対策を練るべきじゃな。
そして、村長は腰掛けていた椅子から立ち上がり言った。
――…誰かメアリーをここへ。