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首に交われば黒くなりて  作者: 人生浪人
1/8

第一首 0話

――私は、もう疲れた。



男の声がした。



――もう、疲れたのだ・・・。



暗い森の中を首の無い漆黒の鎧を纏った者が、同じく首の無い馬に跨り進んでいく。

右手に手綱を、そして左手に生首を抱えている。

その顔は女性のような顔立ちだが白く、まるで死人のように見える。

鎧からは煙のようなものがゆらめき、馬の首から上も同じくゆらめいている。


――私は、これ以上彼らにあのような仕打ちをしたくなど、無いのだ・・・。



男の声は抱えられた首から発せられたものだった。

首無し馬はゆっくりと森の中を歩いていく。



――本当は、もっとわかりあい、愛し合いたいのだ。



彼の脳裏に浮かび、聞こえてくるのは彼を見て怯える人々、そして彼らの悲鳴。



――しかし、このような体ではそれは叶わぬ願い。


――何故、私はこのような者に生まれてしまったのか。



いつしか彼らは森を抜け、海へとたどり着いていた。

首を抱えた鎧は馬から降り、水面に写る自分を見ている。

そして顔を上げ、遠くを眺めた。



――この世界で私はもう、数百年過ごしてきた。


――だが、誰一人として私に優しくしてくれる者などいなかった。


――そういう存在なのだから、致し方ないことだ。


悲しく、寂しげな表情をして彼はただ、遠くを眺めていた。

挿絵(By みてみん)

何かを察したのか、首無し馬が彼に寄り添った。



――ああ、お前だけは優しいな。ありがとう。



彼は馬の体を撫で、決意した表情で語った。



――決めたよ。私はもう、終わりにする。



彼らがこの場を去ろうとしたその時



バシャァンッ!



突然、海の方から音が聞こえた。

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