君の小説。
テオの散歩の後、嬉しさを胸に帰宅した。
携帯電話をふと見ると、紘兄からの着信履歴があった。
急いで紘兄の携帯へ電話を掛けた。
「もしもし?紘兄?」
『おっ!奏真』
「何か用だった?」
たんたんと進む会話。
『俺の日記見た?』
「...見た」
いけないとはわかっていても、どうしても気になってしまったんだ。
『じゃあ多分勘違いしてるな。あれは俺の小説だ』
「は?」
ん?どうゆうこと?小説?
『俺の小説、まさかの名前被りで、だったらしい、奏真、お前は俺の弟に変わりはないから!』
「へ?」
ん?ん?ん?
「俺は小説の題材で、現実に少しマッチングしたってこと?」
『うん、そうだな。そんなとこだ。なんか勘違いしてただろ?ま、勝手に見たバチが当たったんだな。おつ!』
ん?つまり、俺は
「勘違いで真実を突き止めたってこと?」
『そうなるな』
なるほど、...え?
『それで、会ったのか?奏真、ほんとの父さんに』
兄の声に、少し躊躇があった。それでも、出した声は届いた。
「もう、亡くなってるらしい」
『そうか、えっ?でも、』
夜乃さんの父親...
「夜乃さんは、従姉に当たるらしいよ、俺にはもう一人兄が居たんだ。それが凜夜さんだよ。色々ごめん。もう大丈夫だから」
俺の中では、もう心配などない。
『そ、そうか』
紘兄の声は、しゅぅっと小さくなっていった。
「だから、俺伝えたよ」
『ん?何をだ?』
「好きって言った。交際してほしいって言った」
俺は、嬉しかったんだ。そう、言えることが。そう、素直に喜んでいいことが。




